いよいよ今年最後の四方山話となった。残すところ僅か4日である。災害の多かった一昨年、昨年と比べると比較的穏やかな一年であったような気もするが、一年間書きつづった「四方山話」をひもといてみるといろいろな出来事がよみがえってくる。昨年と同様、今年一年の印象深い出来事を、拙い狂歌で振り返ってみたい。
惨敗の 記憶消したか イナバウアー ヒト金(カネ)掛けて メダルは一つ
2月10日から16日間に亘り「第20回冬季オリンピック競技トリノ大会」が開催された。この大会から採用されたスピードスケートの団体追い抜き(チームパシェット)やスノーボードクロスなど、新しい競技のスリリングなレースが開会を大いに盛り上げてくれた。しかし、残念ながら日本選手の成績が今ひとつ伸びず、総勢240名の大選手団を送り込んだものの、獲得したメダルはフィギアスケート荒川選手の金一つに終わってしまった。日本人の特性なのか、金メダルを取ったイナバウアーは多くの日本人に鮮烈に記憶されているが、獲得メダルがたった一つだったことはもう忘れ去られている。しかし、帰国直後はJOCの大選手団方式に批判が集まり、その反省からか、ドーハで行われたアジア大会には少数精鋭で臨んだと報じられている。
トルシエを 超えるジーコも 敗れ去り 走るオシムに 託す四年後
4年に一回開催されるサッカーの祭典ワールドカップが、6月9日から約1ヶ月間、ドイツで行われた。2002年に開かれた日韓共同開催の前回大会で決勝トーナメントに進出した時以上の成績を期待された日本だったが、残念ながら1勝も出来ず予選リーグで敗退してしまった。期待されたジーコ監督の采配も世界の強豪には通じず、大会後ジーコからオシムへバトンタッチとなった。オシム監督にはじっくりとチーム作りをしてもらい、4年後の南アフリカ大会では予選突破は勿論、あわよくば「優勝」という嬉しい話も聞きたいものだ。
小泉の 劇場終わり 主役安部 造反戻して お客激減
今年の8月、かねてからの公約どおり小泉首相が退陣した。後を引き継ぎ52歳の若い安部晋三氏を首班とする政権が誕生した。小泉劇場と揶揄された前首相の数々の言動に比べ、比較的ノーマルで物静かな印象を与えている安部首相だが、郵政民営化に反対した造反議員を復党させ、内閣支持率は急落してしまった。官邸主導で行われる予定だった政府税制調査会も本間会長のスキャンダル辞任で機能停止に陥っており、安部丸にとってはほろ苦い船出となってしまった。これからが心配だ。
血税を 納めた先は 伏魔殿 長期有給 裏金やらせ
お役所は 豆まき好きな 村社会 内には甘く 外には辛い
岐阜県庁や長崎県庁の裏金問題、そして奈良市職員の長期有給休暇(?)問題など、行政の失態が大きく報じられた年でもあった。安部政権に変わったとたんに「タウンミーティングでのやらせ問題」も明らかになり、民意と大きくかけ離れた官僚の意識に“あぜん”とさせられてしまった。また、7月には生活保護の申請を断られた男性がミイラ化した死体で見つかった事件も報道され、杓子定規の対応に憤りを感じた年でもあった。兎に角、「お役所は仲間に甘く納税者には厳しいところだ」と感じさせる出来事が随分と多い一年であった。
いざなぎを 超えた超えたと はやし立て 微笑む大手に 冷める中小
いつの頃だったかもう忘れてしまったが、昔日本にも「いざなぎ景気」と呼ばれる長い間景気拡大を続けていたときがあった。最近の景気拡大はその「いざなぎ」を超えたと言われているが、実感はない。景気が良いのは東京や名古屋など大都市の消費経済や大手企業が中心で、中小企業、特に地方の企業にとっては、景気が良いとはほど遠い状況にある。また、業種によって好・不況の格差は大きく、中でも「いさぼう」が関わっている建設業は、公共事業縮減の嵐の中、土砂降り状態が続いている。来年はせめて曇りぐらいにはしたいものだし、なってもらいたいものだ。
肌触れて 心も触れて ヒト育つ 命見つめて 愛せよ我が子
今年一年を表す漢字として「命」が選ばれた。今年は親が子を殺し、子が親を殺す痛ましい事件がとても多い年であった。いじめによる小・中・高生の自殺も、まるで流行病のように日本中に蔓延した感がある。いじめそのものはいつの時代もあるもので、なくそうなんて考えない方がよい。それよりも、「いじめない子供」、「いじめられても生き抜く力を持った子供」に育てることを考えた方がよい。それには学校任せではダメだ。やはり家庭における親の十分な愛情と躾が基本である。そのためには、親の再教育も必要なのかも知れない。
晦日きて ワンからブヒに バトン継ぎ 幸せに向け 猪突猛進
迎えるは亥年(猪)である。猪は中国ではブタのことを表し、ブタは家内繁盛のシンボルとして置物にもされている。子沢山で見るからに逞しいところが、シンボルとされるに相応(ふさわ)しかったのだろう。亥年は株価も上がるという。家内繁盛のシンボルが猪突猛進で幸せに向け突っ走り、株価も景気もグッと押し上げてほしいものだ。我々地方の中小企業にとっても元気が出るような力強い景気回復を期待したい。
最後の四方山話も拙い文章になってしまいましたが、本当に今年一年ご愛読ありがとうございました。ご愛読していただいている皆様にとって来年が素晴らしい年になりますように、そしていさぼう会員皆様のご多幸とご健勝を祈念して、四方山話2006年の締めと致します。
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