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『意地悪爺さんの苦言』

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2007年2月21日

 人気(?)テレビ番組「発掘!あるある大事典2」に端を発した捏造問題が世間を賑わしている。他局はここぞとばかりに制作局の関西テレビをやり玉に挙げているが、早くから「最近のテレビには低俗な番組が多く、見る気がしない」と嘆いていた意地悪爺さんの私としては、『やはりな』との感が否めない。ましてや、集中砲火を浴びせている他局の番組も似たようなものだろうと、報道合戦を冷めた目で見ている。
 データ捏造といえばテレビ番組だけに止まらず、電力会社の測量データや取水データにも波紋が広がっており、少し前(2005年)には大阪大学や東京大学、早稲田大学など最高学府の研究者達が発表した研究論文のデータ捏造疑惑も報道されていた。そういえば、韓国を舞台にした国際的な学者のクローン胚ES細胞研究の捏造疑惑問題もついこの間のことだ。こういった研究者の捏造問題は、名声と名誉、あるいは画期的な発明や研究によってもたらされる莫大な研究資金を当てにしてのことだろうが、捏造によって一旦失ってしまった信用を回復するのは難しい。
 また、民間企業、特に電力会社のように公共性が高い企業の信用失墜は、原子力問題という敏感な問題も抱えていることもあり、この件だけに留まらず今後色々なところに波及して来るだろう。常に厳しい目で見られていることを忘れないで、厳に襟を正して頂きたいものだ。

 さて、「発掘!あるある大事典2」の捏造内容については、余りにお粗末で今更言及するまでもないだろう。しかし、今回の問題に限らず最近のテレビ放送は、公器としての使命を忘れてしまったのではないかと疑いたくなるほど、内容に乏しく子供に見せたくない番組が多い。そんなテレビ界に、亡くなった青島意地悪ばあさんに代わり、意地悪爺さんが苦言を呈したい。

 今回の「あるある大事典」問題は、日本人の尋常でないダイエット願望が背景にあるとはいえ、報道機関としてあるまじき短絡的な番組制作方法に仰天させられる。踊らされた視聴者は勿論、関係方面に与えた影響も計り知れない。テレビの持つ影響の大きさを逆手に取った番組作りは以前からあったのだろうが、テレビ番組はいつ頃からこんなにも低俗になったのだろうか。
 以前、ある人がテレビ局の人から聞いたと話として、「今のテレビ局は、夕方6時ぐらいから10時ぐらいまでの時間帯は小学校5年生が見て喜ぶ内容の番組作りをする」と言っていたことを思い出した。確かに、民法にチャンネルを合わせればニュース番組はコマーシャルで“ぶつ切り状態”だし、7時を過ぎればどこのチャンネルをひねってもお笑いタレントのオンパレードだ。中でも、出演者同士が笑いを取ってそれを視聴者に見せている番組などは、私からすると「覚えておきたい」と思うような内容もなく、何がそんなに面白いのだろうかと不思議でならないが、小学生にはきっと受けるのだろう。それを大人も一緒に観ているのだから、その昔大宅壮一氏(おおやそういち、1900〜1970)が嘆いた「一億総白痴化もグンと現実味を帯びてくるというものだ。ましてや、テレビ漬けの子供たちが、想像力や思考力が十分育たないまま大人になり子供を持つようになったときのことを考えると、四方山話の第188話「給食費滞納報道に思う」で書いた「常識が通用しない親」の増加に益々拍車がかかるのではないかと心配している。大宅壮一氏が懸念していたように、テレビ文化が日本人の思考パターンに与える影響は真に甚大なのだ。

 もう、こうなると意地悪爺さんとしては黙っていられない。「これ以上低俗番組を子供達に見せたくない」ということで、テレビ各局に次なる改善を進言する。
 まず第1は、コマーシャルの時間をもっと短くすると共に、番組の途中では流さないようにしていただきたい。例えば、60分の番組でのコマーシャルは最長でも10分で十分だ。そして、同じ10分間のコマーシャルでも、「番組の始めか終わりに集中させて途中でぶつ切りにしない」ということを実現していただきたい。既にサッカー中継はそうなっている。
 第2は、「8時以降は小学生ではなく高校生、大学生以上を対象にした番組作りをする」というものだ。まず真っ先に、視聴者そっちのけで出演者だけが喜んでいるような内容のない番組は止めてもらいたい。それを観て喜ぶのは小学生ぐらいだ。せめてニート対策や格差是正に繋がるような秀逸な番組が、この時間帯にあってもいいのではないかと思うが如何だろうか。教育問題を学校や文部科学省に任せるだけでなく、報道する側の立場から教育問題是正に取り組むのは「当然の姿勢」とは、言い過ぎだろうか?
 第3は、週一でも良いから、7時〜10時の時間帯に子育てや生活全般、あるいは政治に関する番組を放映してもらいたいものだ。その時、お茶ら化すようなお笑い番組にしないことが条件だ。折角テーマや取り上げる内容は良いのに、お笑いタレントがメインで出演すると、殆どの場合お笑い番組になってしまう。これでは勿体ない。若者達の政治離れの一因は、テレビ局にあると言っても過言ではない。それをまずもって自覚してもらいたい。

 以上、言いたいことを言わせてもらったが、番組作りに携わっている人達は「一億総白痴化」にならないよう、自分の子供に見せたい番組なのかどうかを良く吟味してもらいたい。そうすることが、テレビという公器に従事するプロとしての最低限のマナーだ。

【文責:知取気亭主人】

     

フキノトウ

 

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