いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
 
 

『口は禍の巣』

戻る

2007年4月18

 3月25日に能登半島地震が発生してから3週間が過ぎた。四方山話で言えば、3話が終わり今回で地震発生後第4話目となる。その間、各地で地震が発生し大地を大いに震わせている。4月2日には南太平洋のソロモン諸島沖でマグニチュード8(M8)の巨大地震が発生し、最大約8bの津波が静かな南国の島々を襲った。
 また、能登半島地震から丁度3週間後の4月15日には、三重県中部を震源とする強い地震(M5.4)があり、三重県亀山市で震度5強の強い揺れが観測された。知り合いに電話を入れたところ、『地震が発生する2分ほど前に爆発音のような大きな音がした』という。『近くでガス爆発でもあったのではないか』と思っていたところ、突然グラッときたらしい。知り合いが住む津市では目立った被害もなかったようだが、三重県は東南海地震で激しい揺れが想定されているだけに、さぞや肝を冷やしたことだろう。
 いずれにしても僅か3週間の間に随分頻繁に地震が発生している。否が応でも東海・東南海・南海地震の発生がグンと現実味を帯びてくる。手遅れにならないように、地震に対する備えを今一度見直さなければいけない。そんな思いが強いためか、四方山話も前話まで3週連続して地震関連の話題となってしまった。でも、やはり暗い話は気が重い。この辺で気分一新をしたい。ということで、今回は明るい話題を紹介したい。能登半島地震が起こらなければ3月28日に掲載する予定だったもので、没にするには勿体ない話だ。文中に出てくる日にちは1ヶ月ほど古いが余り気にしないでもらいたい。

 昔から口にまつわる諺や慣用句は結構多い。「口の端に上る」や「口も八丁手も八丁」、あるいは「人の口には戸は立てられぬ」などがその代表例だ。しかし何といっても、「口は禍の門(かど)」(「口は禍の本、舌は禍の根」ともいう)がよく知られている慣用句だ。「うっかり言った言葉から失敗を招くことがある」という意味から、戒めとして使われている。紹介したいずれもが、口から言葉が発せられることから言われているものだ。
 ところが最近の我が家では、「口は禍の巣」が昔からの諺ではないかと思わせるような珍しい出来事に悩まされている。しかも、どちらかというと口数が少なく口の前に戸が立つことの多い息子たちが、突然の禍に襲われているのだ。
 先に襲われたのは次男だ。昨年も同じ症状が出ているのだが、初めてその症状、というよりもその物体を見せられたとき、『エッ、これ何だ!』と思わず叫んでしまった。それまで見たことも聞いたこともないものが彼の口の 中に出来ている。兎に角その形状と大きさに ビックリだ。
 『チョット診て』といわれて覗いた次男の 喉チンコの手前に、「ほうずき」にそっくり な真ん丸い物体がぶら下がっている。色は薄 いピンク色で直径は1.5cmほどだ。丁度、洞 穴の天井に風船がくっ付いている感じだ。右 の写真がそのときのものだ。とくと御覧あれ。

 次男の話では、朝起きたら出来ていて上手く口が閉じないという。破れそうで無理が出来ないのだ。早速医者に連れて行くと、先生も『見たことがない』と笑いながら医学書を調べている。結局原因も病名も良く分からないまま、アレルギーの薬と感染症の治療薬を貰い此れを服用したところ、ウソのようにケロッと治ってしまった。どうやら細菌による感染症だったようなのだが、家の中で感染したのは彼だけだ。外で何を食べているのやら……。

 さて、次の被害者は長男だ。彼も変わった災難に襲われた。3月22日の真夜中、0時45分ごろ、突然長男に起こされた。何事かと眠い目をこすって長男を見ると、何か様子が変だ。『何だ、どうした?』と聞くと、口を開けたまま恥ずかしげに『あごが外れた』という。よく状況が理解できないまま『あごが外れた?』と聞き返すと、寝ている間に外れたらしく閉じようとすると痛くてたまらないという。ようやく状況が理解できると、彼には申し訳ないが思わず笑がこみ上げてしまった。可笑しな夢を見て大笑いでもしたのだろうか、寝ていて欠伸(あくび)でもないだろうし、けったいなことがあるものだ。
 しかし、外れたままにしておくわけにもいかず、大学病院の救急に電話を掛け治療してもらうことにした。電話であごが外れたことを伝えてあったためなのか、当直の看護婦は笑みを浮かべながら『あごが外れたんですね。先生がいらっしゃるまで暫くお待ち下さい』とさも楽しそうに、たったそれだけを伝えに待合室に現れスグに治療室に消えた。マスクをしているので知らない人が見れば気が付かないが、マスクの下は口を大きく開けたままだ。
 『開けたままで痛くないのか?』と聞くと、『無理に閉じようとすると痛いが開けたままでは痛くない』と聞きづらい声で説明してくれる。そうこうしているうちに当直医がやってきて、長男を治療室に招き入れた。どれくらい掛かるだろうかと案じていたら、5分もしないうちに顎がはまった見慣れた顔の長男が戻ってきた。しかし、頭と顔には癖になるからと伸縮包帯が巻かれていて痛々しい。本人は全く痛くないようなのだが、見た目は重症患者だ。包帯が巻かれた彼の顔を見ながら、『あごが外れるって本当にあるんだな!』と変に感心させられた次第である。

 1月ほど経った4月19日の夜、当の本人にほぼ出来上がったこの文章を見せたところ、笑いながら『いいじゃない』という。『その後大丈夫かい?』と聞くと、『今は、欠伸も笑いも7分ほどしか開けないでやっているからもう大丈夫』との完全無欠な対策が返ってきた。                             

【文責:知取気亭主人】

    

 
欠伸ならぬアケビの花

戻る

 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.