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『意図しない環境の改変』

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2007年07月18日

九州・沖縄から東北地方の太平洋側に掛けて豪雨をもたらした台風4号の心配からやっと開放され、やれやれと思った途端に、今度は中越地方で強い地震が発生した。金沢でも強い揺れを感じ、「スワッ、能登半島地震の余震か」と思ったのだが、テレビをつけると震源は中越地方だという。

連休の最終日となった7月16日10時13分頃、新潟県柏崎市沖のごく陸地に近い日本海を震源として発生したマグニチュード6.8の強い地震により、原子力発電所(以下、原発とする)のある刈羽村を始めとして柏崎市、長岡市、長野県飯綱町で“震度6強”の激しい揺れを観測した。震源に近い柏崎市を中心に大きな被害が出ており、一夜明けた17日12時現在、死傷者は1,000名を超え、300棟を超す家屋の倒壊が確認されている。

「平成19年新潟県中越沖地震」と命名された今回の地震の震源地は、これまでに日本の各地で発生した地震の中で最も原発に近いものとなった。しかも、この地震により原発で火災が発生するという日本の原発史上初めての地震被害を受け、“ぼや”とはいえ消火活動も確認できないまま黒い煙を出し燃え続ける様子がテレビで放映された。「火災による放射能汚染は発生していない」とは言うものの、原発に対する安全性に再び懸念が広がり始めた。そんな話も含め、この地震に関しては、運よく金沢に帰省していて難を逃れた柏崎市在住の娘の現地レポートを待ち、もう一度取り上げてみたい 。

 

それにしても、3月25日に発生した「能登半島地震」から僅か4ヶ月の間に、三重県の地震、今回の地震と立て続けに大きな地震が起こっている。眠っていた“鯰”が目を覚ましたのか、この三つの地震以外にも日本列島の各地が揺れている。懸念されている“鯰の大暴れ”の時が刻一刻と迫ってきている気がしてならない。

ところが、これだけ科学が発達しても未だに“鯰の大暴れ”を的確に予知する技術が確立されたとは言い難いし、ましてや発生をコントロールする事など夢のまた夢だ。スケールの大きな自然の営みと比べると、人間の英知も悔しいけれど程が知れている。もっとも、そういった災難を未然に防ぐ事は難しくても、人間の営みにより自然環境が変わってしまったり、極端な場合には破壊したりすることは、意図しなくても容易に出来る。今盛んに叫ばれている地球温暖化も、人間による「意図しない環境の改変」と捉えることが出来る。

先日もインターネットを見ていたら、「温暖化の影響で、昨年北極圏の池が初めて干上がった」とのニュースに出会った(YOMIURI ONLINE、2007年7月4日読売新聞)。これなども「意図しない環境の改変」の一つだ。

 

『地図帳で見れば、確かカナダやアラスカには無数の湖があったはずだ』と受検時代の古い記憶を思い出し、高校時代に使っていた地図帳を引っ張り出して晩酌がてら見えるはずもない干上がった池を探し始めた。そしてあることに気が付いた。『そうだ! 古い地図帳と最近買った地図帳とを比べれば、温暖化の影響が読み取れるかもしれない』と。
 大事に取って置いた1965年発行の地図帳と、最近買い求めた2005年発行のものを見比べる事となった。40年間の変化が読み取れるのではないかと淡い期待を抱いたのだが、縮尺も精度も違う為変化を読み取る事はなかなか出来ない。ましてや干上がった池を見つけることなど不可能だ。そこで、地図帳の後ろに載っている統計データで、40年間の変化を読み取る事とした。干上がった池に関連すると思われる湖に関しては、大きさを比較する為に掲載した琵琶湖を除き、面積が大きく変化した湖だけをピックアップした。

地図帳で見る40年間の変化

 ※1 データの出典は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ※2 データの出典は、滋賀県琵琶湖研究所ニュース「オウミア」
    (http://www.lbri.go.jp/omia/40/40-5.htm

定価が10倍近くになっていることはさておいて、この40年間で最高気温が0.8℃高くなり、最大年降水量は2倍以上にもなっている。最近の高温化と、台風やハリケーンあるいはサイクロンの強大化の影響が数値にも現れている。また乾燥化の影響なのか死海の湖面標高が13mも低下し、面積も20%近く減っている。

死海以外の気になる湖の面積では、消え行く湖として有名なアラル海がほぼ1/3になってしまったのを始め、中央アフリカに位置するチャド湖はなんと1/7に減少してしまった。ほぼ琵琶湖3つに匹敵する巨大な面積分の水が消滅したことになる。灌漑用水の大量摂取など真因はさておき、大きく捉えれば二つとも「意図しない環境の改変」によるものだ。

また、日本がすっぽり入ってしまう世界最大の湖カスピ海も面積を減らしている。この原因は乾燥化ではなく、巨大なカラボガスゴル湾の入り口にダムを作ったことにより、この湾をカスピ海の面積に参入しなかった為ではないかと思っている。因みに、近年ダムは取り壊され、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、以前とほぼ同じ面積になっている。どこやらの国でも似たような事が行われている。

 

一方、南米ペルーとボリビアにまたがるチチカカ湖は、数少ない「面積が増えている湖」だ。数値で言えばおよそ琵琶湖の2倍の面積が増えている事になるが、この原因が地域の降雨量が増えた為なのか、他に原因があるのか定かではない。ただ、測量誤差にしては大きすぎる。近いうちに調べてみたいと思っている。

 

干上がった池を見つけることは出来なかったが、地図帳を見比べただけで、地球上のあちらこちらで「意図しない環境の改変」が行われている事が良く分かった。「地球温暖化」に対する懐疑的な意見も耳にするが、少なくとも表に示したデータからは、40年前に比べ環境が変わってきていることだけは疑いのない事実である。しかも、上表に示した以外にも水質が悪化した湖などの報道が増え、世界を見渡せば多くの湖沼が人間の営みの影響を強く受けている事が良く分かる。「意図する環境の改変」は勿論タブーだが、「意図しない環境の改変」を助長するような生活習慣を真剣に見直す時期が、ヒタヒタと足下をぬらし始めている。

【文責:知取気亭主人】

 

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