いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
 
 

『文明の利器は脳を退化させる』

戻る

2007年09月19日

チンパンジーが道具を使う事を発見した英国の動物学者に、京都大学が名誉博士号を授与するという。それまで定説だった「道具を使うのは人間だけ」を、覆したことで知られている学者らしい。その発見のお陰もあって、今ではわざわざ道具を使わせるように、餌の与え方を工夫している動物園も在る。また、そんな映像を見ていると、サルからヒトへの進化の可能性を垣間見ているようで、大変興味深い。『このようにして、動物もヒトも進化していくのだな〜』と、感心させられる次第である。

 

科学の発達によってヒトが使う道具が進化したのか、より便利な道具を作り出す為に科学が発達したのか、はたまたより効率的に殺戮が出来る武器を得る為に科学が発達したのかは、詳らかではないが、近年の電子機器の発達により、ヒトが使う道具の便利なことといったら、我々が子供の頃とは隔世の感がある。特にIT関連の道具、例えばパソコンとか携帯電話などは、昭和30年代には鉄腕アトムなどの漫画や小説の世界の夢物語と思っていたものが、ここ数年で日本中に広まった。底知れぬ人間の欲求を満たす為に、高機能、多機能な道具として、多くの日本人の生活に深く入り込んでいる。

なかでも、携帯電話の機能には目を見張るものがあり、ハードもサービスも日進月歩で進化をしている。我々の学生の頃は、調べ物といえば、小さな字で書かれた分厚い辞書だったものが、今では携帯電話でもできるようになってきた。我が家の子供たちも使っているところを良く目にするが、特に漢字を調べるときには手軽で便利だ。かくいう私も、外出先で漢字を度忘れした時には、漢字変換機能を辞書代わりに使っている。文化庁の調べによると、20代の約8割が、漢字を手書きできない時に調べる手段として、携帯電話を使っているという。いつでも、どこでも調べられるとは、便利な世の中になったものだ。

 

ところが、携帯電話の変換機能では、その漢字や言葉の意味まで説明されていない。したがって、間違った漢字を使ったり、「気が置けない」に代表されるように誤用したりしているケースが増えているという。若い人ばかりではない。携帯電話でなくとも、ワープロソフトを日常的に使っている人達は世代を問わず、同じような間違いをしている事が多い。

変換ミスを気付かずに使っているケースや、いざ手書きで書こうとすると、思い出すまでに時間が掛かったり、全く書けなかったりして、冷や汗をかく事がある。50を過ぎてからの私は、自慢ではないがしょっちゅうだ。どうやら、便利になればなるほど、文明の利器は脳を退化させているらしい。

それを見越して、ではあるまいが、脳の退化を遅らせる、あるいは活性化させる道具として、退化させる利器と同じようにITを駆使したゲームが発売され、老いも若きもテレビゲームの世の中になってきている。イタチごっこのような気がしてならないのだが……。

しかし、私はどうも、ITを駆使したゲームは好きになれない、というか肌に合わない。それに比べると、同じゲームでも手書きをしなければならないゲーム(パズルと言うべきなのかもしれない)は、脳の活性化にはもってこいだ。特に漢字に関しては、“書けない症候群”を治癒させる為には、なんと言っても“漢字を書く事”が最も重要である。書かなきゃ覚えない。そんな視点で作られたと思われるパズル本があり、我が家で流行っている。

脳の退化を必死で食い止めようとしているのか、妻が凝りに凝っていて、写真のような本を買い求め、暇を見つけては真剣な表情でやっている。傍目で見ながら、『そんなに面白いものなのかな』と思っていたのだが、ひょんな弾みで、私もはまってしまった。

やってみると、これが意外と面白い。パズルとしては比較的難しい事もあって、ちょっとやそっとでは終わらない。その上、熟語を知らないと解答できない。語彙と記憶力、プラス忍耐力を必要とするパズルだ。それこそ、電子辞書をフルに使いながら、□に当てはまる漢字を考えるのだが、『へェー、そんな熟語もあったんだ』と、初めて知った言葉もかなりある。脳の退化スピードを鈍らせるには、それなりの効果は見込めそうだ。

 

ということで、文明の利器により脳が退化し始め、私同様に漢字が書けなくなってきたご同輩に、是非写真のようなパズル本をお薦めする。脳が活性化すること請け合いだ。知的好奇心もくすぐってくれる筈だ。例えば、次のような言葉の読み方と意味は、お分かりになるだろうか。

 

@断簡零墨 A事事物物 B万世不易 C真水水母
D黒風白雨 E墨書土器 F有象無象 G本本

 

Bは調べているうちに思い出すことが出来たが、それ以外は“へェー”の世界であった。中にはFのように、『成る程、こんな風に書くんだ』と、習った筈なのに“記憶の引き出し”から完全に捨てられた言葉もある。悔しい!

とまれ、私が悔しいのはさておくとして、幾つお分かりになっただろうか。もったいぶらずに、読み方だけでもお教えしよう。順番に、次のように読む。

        

 

@だんかんれいぼく Aじじぶつぶつ Bばんせいふえき Cまみずくらげ
Dこくふうはくう Eぼくしょどき Fうぞうむぞう Gほんぼん

 

どれも意外と素直な読みだ。ところがどっこい、実際には「断□□墨」や「□水□母」などの様になっていて、□を埋めていく問題である為、元々熟語や言葉を知らないと、なかなか問題は解けない。語彙が必要なのだ。勿論、記憶力も。何事も、現実の姿を知ることが、ありたい姿に進む為の基本である。退化していく現実を知りショックを受けるかも知れないが、実際やってみるのが一番だ。是非チャレンジをお薦めする。

ところで、各々の意味は、皆さんで調べて頂きたい。調べるだけでも、脳の退化スピードは鈍るかも……。

 

【文責:知取気亭主人】

 

 

 

戻る

 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.