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『日本の姓は難しい』

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2007年09月26日

福田43位、小沢164位、小泉216位、安部260位、菅471位、そして麻生764位、これは何の順位か分かるだろうか。そう、街頭で訊いた政治家の人気ランキング、ではない。第一、人気ランキングだとすれば、臨時国会直前で辞意を表明した安部が、自身の後継者選びとなった自民党の総裁選で福田に挑み、善戦した麻生よりも高いはずがない。

実は、「静岡大学人文学部 言語文化学科 比較言語文化コース城岡研究室」が主宰している、「日本の姓の全国順位データベース」を使って調べた、今注目を浴びている政治家の苗字(以下、姓とする)の全国順位なのだ(http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~jjksiro/kensaku.html)。

このデータベースには、電話帳に登録されている姓(芸名やペンネームなども含む)が、約10万種類が集められているという。「特殊な漢字を使わない姓であれば現在日本に存在するほとんどの姓について順位と全国の電話番号登録件数が検索できる」と、トップページで謳っている。10万種類も網羅されていればそうだろう。厳密に言えば、携帯電話の普及や、振り込め詐欺など電話を使っての犯罪の増加に伴い、電話帳への登録を控える人も増えてきているから、“電話帳の世帯数=実世帯数”とは限らないが、おおよそ実態を反映しているとみていいだろう。ただし、例えば小山と書く姓は“オヤマ”とも“コヤマ”とも読むが、このような読み違いは考慮していないそうだ。

 

しかし、何故このようなことを調べたかというと、先日非常に珍しい姓の方とお会いして、「姓の全国ランキング」の話題になったからだ。その方の姓は「目」と書く(読み方は、最後のお楽しみにしよう)。漢和辞典で調べたところによれば、その読み方の「目」は、昔の官制で国司の第4等官を意味しているという。鍛冶屋のように職業が姓になった話は良く耳にするが、昔の官制に由来するとは、明治維新前後までしか遡れない我が家の家系図と違い、歴史のある由緒正しき姓なのだ。

その目氏が、ご自身の姓の話題に絡み、『インターネットで姓のランキングを調べられるサイトがあって、同じ読み方をする“”の方が、“”より世帯数が少なくて全国順位は低いんですよ』と、耳寄りな話を聞かせてくれた。そこで、早速姓のランキングサイトを探し、冒頭の調査をしたという訳だ。

そして今ひとつ、それに輪をかけたのが、「政財界のフィクサーとも呼ばれた“熊取谷稔氏”とグループ企業が、2006年までの7年間で計約30億円の所得隠しを指摘された」との新聞記事に目が留まったことだ。所得隠しを指摘されたニュースのメインキャストなのに、“熊取谷”が読めない。必然的に、姓の後に括弧で書かれた読み仮名を凝視することになるのだが、漢字を素直に読んだのではとても浮かんでこない。「目」にもビックリだが、世の中には随分と変わった姓があるものだと、つくづく感心させられ、『是非、四方山話で取り上げねば』と、今回のテーマとなったわけである。

 

ところで、日本で一番多く電話帳に登録されている姓をご存知だろうか。約10万種類の中から晴れて栄冠を獲得したのは「佐藤」だ。481,980世帯登録されているという。以下、鈴木、高橋、田中と大衆的な姓が続いていく。また、冒頭で紹介した政治家の姓を、最近ニュースに良く出てくる人たちについて、思いつくままに調べてみたところ、調べた中では「与謝野」が僅か15世帯と、一番少ない事が分かった。“政治家としての能力や適性”と“姓のランキング”との因果関係は特に聞いたこともないが、舛添、鳩山、二階も意外と少ない。

 

 

調べてみると結構面白い。“この際”ということで、今回の切っ掛けとなった「目」氏も含め、これまでに名刺交換させていただいた方や、会社の仲間、さらには年賀状をやり取りしている私や家内の知人も調べてみた。驚いたことに、私の周りには非常に貴重な姓が多い。電話帳の登録世帯数が10万を超えるメジャーな姓も勿論あるが、2桁、3桁の世帯数しかないものや、僅か1桁の非常にまれな姓もある。素直に読めるのに意外と世帯数が少ない姓があることにも驚かされる。

 

知人に読み方の確認をするため電話を入れたところ、彼の姓は有る地域に集中していて、新田開発の時に付けられた集落名がそのまま姓になっているのではないか、と話していた。確かにそんな付け方もあるのだろう。随分前になるが、「日本人の姓の付け方は節操がなく、何にでも関連づけて付けてしまう」と聞いたことがある。それが、世界の中でも特に姓の多い国になっている原因だという。確かに、読み方に窮するときも多々あるが、裏を返せば、日本人は鷹揚だということだ。

さて、能書きはそれくらいにして、最後に、「目」、「属」、そして「熊取谷」も含め、私の周りにいる珍しい姓の幾つかを、その読み方と共に次表に紹介する。ただし、同じ表記で読み違いの可能性があることと、世帯数の中には芸名やペンネームなども含まれている可能性もあることを、重ねて付け加えておく。敬称は略させていただく。なお、使っている漢字が特殊なのだろう、当該データベースでは調べられない姓が二つあった。やはり日本の姓は難しい。

 

 

【文責:知取気亭主人】

 

 

 

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