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『地域力』

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2007年11月21日

先週来、新聞・テレビで大きく報道されているように、香川県坂出市の祖母と二人の女児が16日から行方不明になっている。報道によれば、室内や玄関に血痕が見つかっているらしく、何らかの事件に巻き込まれたのではないかとみられている。残念ながら、これまでの懸命の捜査にも拘らず、20日現在三人の安否は依然不明だ。

三人の無事を祈るばかりだが、相変わらず子供が巻き込まれる事件・事故が多い。折しも、兵庫県加古川市の小学2年生が自宅の玄関先で何者かに刺殺されて16日で1ヶ月が経ち、奈良の小学1年生が下校途中で誘拐・殺害された事件から早いもので、17日で3年が経つ。この間、昨年春には秋田で子供二人が犠牲になった連続殺人事件も起き、“実の母親による殺人”に衝撃が走った記憶も新しい。悲しくなるほど世の中が荒んできている。

小さな子供ばかりではない。一人住まいのお年寄りを始めとして高齢者を狙った犯罪も増え、治安の悪化が目立ってきた。地方都市の金沢でも近年犯罪が増加していて、私が住む団地近郊でも空き巣狙いが増えていると聞く。NHKの「ご近所の底力」で以前放送されていたように、犯罪防止の最も有効な抑止力である「地域力」が、大都市ばかりでなく地方でも低下してきているのだろう。「地域力」の低下は子育てにも、防災・減災にもマイナスの作用こそすれプラスは無い。「価値観の多様化」や「(義務を履行しない)自由」という便利な文言で、なんでもありの世界を知らず知らずに作り上げてきたツケが、地域力の“低下や消滅”という形で我々に降りかかってきているのだ。

 

災害に対する基本行動は「自助・共助・公助」だという。子育ても含めた地域の安全確保もやはり「自助・共助・公助」だ。自助も共助もしないで“公助だけを求める身勝手な住民”も増えているようだが、自分が被災したときに初めて共助の大切さや有り難さを知ることになる。共助、つまり近所付き合いは確かにメンドクサイ一面もある。しかし、それには換えがたい多くのものが得られるはずだ。

今回は、私が住む町会の地域力回復に向けた取り組みを紹介し、地域の結びつきが強く、みんなで子供を育てていた昔の日本を思い出していただきたい。あの当時に戻すにはかなりのエネルギーが必要だが、一歩一歩近づけば若い母親達が抱える“子育てのストレス”も“犯罪”も減るはずだ。今からでも遅くはない。

 

チョットした弾みで妻が町会の婦人会長をやり始めて今年で2年目になる。婦人会の存続そのものが議論に上ったこともあり、「婦人会の存在意義」を皆に知ってもらおうということで、“地域力回復”をキーワードに、以前の婦人会と違う取り組みを今年の春から積極的に実施してきた。

まず、一人でも多くの人に集まってもらうことを目的として、縁のないと思われていた能登半島で大きな地震が発生したこともあり、「町会員の命と財産を守る取り組み」と題する集まりを3回に亘って計画した。

1回目は、3月の能登半島地震発生の際「共助の有用性」を伝え聞いた事もあり、「防災・防火講習会」と称して、“集まり”を開催した。金沢市防災安全課の職員の方に講師をお願いして、被災地の様子を話してもらったが、能登地域の人たちの地域力の高さとその必要性を痛感させられた。次に、消防署員の指導の下、平成20年5月31日までに設置を義務付けられた火災報知機についての説明を受け、消火器を使った簡単な消化訓練を行った。少しだけ顔見知りが増えた

 

2回目は、警察の方の懇切丁寧な講義で、犯罪の手口や簡単な護身術を覚えることができた。トイレの小さな窓からも簡単に侵入できることを実演してもらい、施錠の大切さを改めて感じた次第である。1回目に参加した人と、気軽に挨拶を交わすことができた

 

3回目は、9月に「防災・救急講習会」を開催した。新潟県中越沖地震の後で行ったこともあり、1回目と同じように地震が中心の講習会である。講師は、金沢市防災安全課と消防署の職員だ。地震被害の事例や金沢近郊の活断層が動いた場合の我が町会の震度予想が発表され、出席者一同ビックリ仰天の情報入手となった。その後、緊急炊き出しの実演をして、その手際の良さで婦人会の面目躍如となったが、練習だけに留めておきたいものである。

消防署の職員には、三角巾を使った緊急介護の方法や、竹竿と毛布を使った簡単なタンカの作り方を教えてもらった。参加者同士が負傷者や介護者を演じたおかげで、顔見知りが増え、道で会っても顔と名前が一致するようになった

 

そして、今月の18日に開いた4回目は、「みんなで遊ぼう!伝承の遊び」として、子供会から老人会まで幅広い人たちに声を掛け、交流会を実施した。第1部は、ボランティアで“笑い”を提供している「おもろえ一座」に出演を依頼し、総勢50名を越す老若男女が腹を抱えて笑う、賑やかな“集まり”となった。

昔懐かしい珍問屋があり、南京玉簾(なんきんたますだれ)があり、素人芸の面白さを存分に見せてくれた。


地元出身だと紹介された泥鰌掬い(どじょうすくい)の踊り手(実は我が息子)にビックリしたり、「♪麦畑♪」の音楽に合わせて登場した高齢の「松っつぁん」にこれまたビックリしたりと、老いも若きも大喜びだ。最後に登場したセミプロの手品を真剣な眼差しで見ていた子供たちが、手品師や玉簾のお師匠さんが作ってくれる“風船アート”に歓声を上げた。写真に写っている幼子の真剣な表情を見ていただきたい。テレビゲームでなくても、こんなにも熱中できるのだ。


第2部は、紙を使った交流会だ。町会のお爺ちゃん(80歳)に教えてもらった、「紙鉄砲」を鳴らしたり、「紙飛行機」を飛ばしたりと、大いに盛り上がった。その後も全員で“ワイワイ、ガヤガヤ”と折り紙を楽しみ、大変中身の濃い交流ができた。1歳の子から86歳の私の母まで、なんと4世代に亘る交流だ。妻が後で聞いたところによると、参加した子供たちの中には、会場でもらった“風船アート”や折り紙のプレゼントを『ボクの宝物だよ。絶対なくさないで!』と親に報告した子もいるという。素晴らしいことに、お金をかけない昔ながらの遊びでも、子供達の感性はこんなにも揺さぶられるのだ。そして、その喜ぶ子供たちを見て、大人も幸せになれる。優しくもなれる。

 

町会、婦人会が計画・実施をしてくれたこの交流会のお陰で、参加したみんながお互いの顔を大分覚えたに違いない。これで町会の安全度が少し向上した。そして、地域力向上に向け、大きな一歩を踏み出すことができた。有り難いことだ。

【文責:知取気亭主人】

 

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