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『おせち料理』

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2008年1月9日

いよいよ子年の2008年がスタートした。記憶が正しければ、社会人になって初めて、9日間もの長い年末年始の休みを過ごす事ができたのではないだろうか。この自由な時間を有意義に使わない手はないと、休み前には「この長休みを利用して“あれもしたい”、“これもやりたい”」と思っていたのだが、それが出来たのも大掃除を含めた暮れまでの事で、除夜の鐘を聞いた途端に酔いどれ親父の本性が出てしまった。本当は“災い”などとは勿体なくて言いたくないのだが、周りを気にすることなく大手を振ってお屠蘇が飲めた事が災いして、“食っては寝、飲んでは寝”のぐーたら寝正月となってしまったのだ。  

『これではイカン!』と、多少パソコンの前に座って仕事らしきことをやってはみるものの、飲みすぎの為か寝すぎの為なのか、数時間も経つと睡魔が襲ってくる。キーボードの上に指を載せたままウトウトすると、目が覚めたとき、画面に広がる解読不明の文字や記号に唖然とさせられる。反省しようとするが、『滅多にあることではなし、マッ良いか!』と、ボーッとした頭で考えると答えは妙に物分りがよい。どうも切れることなく飲み続けたお屠蘇が血液に混じり、悪さをしているようだ。血の巡りは良いのだが、酔っ払ったヘモグロビンがいつもほど酸素を運んでいないのだろう。だらしない奴だ!

これと言うのも、私の精神が堕落状態から抜け出せないままいることに加え、台所に行けば重箱に詰められた「おせち料理」がいつでも摘め、酒の肴に事欠かない為だ。しかも私の好物が多い。元旦から食べ始めて、この四方山話を書き始めた5日まで、すっかり「おせち料理」のお世話になっている。さすがに5日目になると飽きてきたが、今年は娘たちの料理が多いとか、心して味わせてもらった。

 

黒豆、栗金団、数の子、紅白ナマス、蓮根、牛蒡、里芋、人参、椎茸、筍、田作り、二色卵、鰤の照り焼き、桜海老の佃煮等々手間ひま掛けた23品に、紅白蒲鉾など切って並べただけの2品を加え、総数25品の見事な「おせち料理」が出来上がった。大したものだ。

食べなれた妻の味付けに比べるとやや薄味ではあるものの————本人達の弁によれば、上品な味付けにしたのだそうだ————なかなかどうして上手に出来上がっている。チラシに入ってきた市販のおせち料理に比べて遜色もないし、第一偽装もない。安全な上に格安だ。

ところが妻や娘たちには内緒だが、この美味しく出来上がった「おせち料理」のお陰で、昨年の年頭で決心したある目標を破ることになってしまったかも知れない。日が沈みかけるとスーッと杯に手が伸び、「おせち料理を肴にまずは一献」の状態がスグに出来上がってしまうのだ。ストレスは解消されるが、何は溜まる一方だ。

食卓に華々しくデビューし(?)記念撮影をした元日の朝食以来、片付けられても台所に追いかけ、重箱の蓋を開けてはちょくちょく口に入れていた。いつでも摘めるという事は、非常に便利ではあるが健康には考えものだ。とはいっても、暴飲暴食を自覚しながらも多少は気を使っていて、焼き豚や鶏肉など脂肪やタンパク質が豊富な料理は子供たちに任せ、もっぱら野菜と海の幸を酒の肴にさせてもらった。恐ろしくて昨年の暮れ以来体重計に乗っていないが、その努力が功を奏してきっと昨年末と変わらないはずだ。と切に願っているのだが……。

 

ところで、写真に写っているように、我が家の「おせち料理」は三段重ねの重箱に入れた。入りきれない料理は、そのまま鍋に入れてあったりもう一つの重箱に詰めてあったりするのだが、「日本人なら知っておきたい暮らしの歳時記 伝えていきたい、和の心」(宝島社新書、監修新谷尚紀)によると、おせちを詰める重箱は五段重ねが伝統らしい。我が家にあるような三段重ねの重箱は、簡略化したものだという。しかもその詰め方が独特で、一番下を「五の重」、あるいは「控えの重」と呼んで、なにも詰めないのが正式なのだそうだ。あえて余裕を作る事で、繁栄の余地が残っていることを表しているらしい。

確かに、黒豆が「黒くまめに暮らせるように」とか、数の子が「数の子のように子孫が増えますように」、あるいは出世魚の鰤にあやかり「立身出世をしたい」、など語呂合わせや縁起が良い食材を集めたのが「おせち料理」ではあるが、それを詰める容器にまで縁起を担いでいるとは驚きだ。まるで、健康的な食生活として良く言われる「腹八分目」とそっくりだ。女性なら、最後に出てくるデザートの分を空けておくのと一緒だ。そう考えると、「余地を残す」という考え方は、体に限らず全てに通じるのかもしれない。

 

昨年の年頭で三つの目標を立てた。①四方山話の下書きを手書きする事、②体重を75kg以下に保つ事、③失敗談を集める事、の三つだ。②はほぼ守れたものの、①の達成度は50%ぐらい、③は集まってきてはいるものの道半ばといったところだ。今年は昨年の三つの目標に加え、「余地を残す」、あるいは「余地を見つける」を基本的な考え方として持ち、三つの目標達成と「知取気亭」の繁盛を期したいと思う。

 

さて、最後に寝正月の結果を報告しておこう。『サア、今年一年の始まりだ! 頑張るぞ!』と気持ちを新たに、昨日(8日)の夜、恐る恐る量ってみた。何と77sもあるではないか。急いでスッポンポンになって再度量ってみた。それでも76.5sだ。体は何と正直なことか。自業自得とはいえ、明日から暫くきつい日々が続くことになりそうだ。

【文責:知取気亭主人】

     


『日本人なら知っておきたい暮らしの歳時記』
— 伝えていきたい、和の心 —

【著者】新谷尚紀(監修)


【出版社】 宝島社
【ISBN】 978-4-7966-5861-4
【ページ】 221p
【サイズ】 16.8 × 10.6 × 1.4 cm
【本体価格】 ¥756(税込)
 

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