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17日、今年一番の寒気が日本列島を覆い、金沢も久し振りの積雪となった。昨年の冬は暖冬で金沢市内には全く積雪が無かったから、2年振りの本格的な雪だ。積雪は10cm程と大した量ではないのだが、心の準備ができていなかった事もあって、朝起きてビックリだ。しかも丁度出張と重なったため、階段の除雪やら車の除雪やらで、慌しい朝になってしまった。今年は例年並みの寒い冬でそれなりの積雪があるだろう、との予報が出されていたのでスコップを始めとする除雪グッズは既に用意してあったものの、いざ実際に積もられると、朝の除雪作業は時間との競争になって気が急いてしまう。
電車の時間が気になって仕方なかったが、簡単な除雪で済ませ、何とか越後湯沢行き特急の「はくたか」に間に合った。『やれやれ』と席に座り新聞を読み始めたまでは良かったのだが、朝の思いがけない運動と程よい暖房と振動、そして眠気を誘う車輪の音で、いつもの通りすぐに眠ってしまった。どれ位寝ただろうか、『直江津、直江津です』との車内放送で目が覚めた。外を見ると、結構雪が積もっている。30cm程あるだろうか。さすが雪国だな、と感心しながら家並みを眺めていて、変わった風景に気がついた。二階建ての家のほとんどに、一階部分の屋根から二階部分の屋根にかけて梯子が掛かっているのだ。よく見ると、建てたときから家に取り付けられているようだ。屋根雪を下ろすためのものだと気付くのに時間はかからなかったが、何回も同じ景色を見ている筈なのに初めて、梯子にこの地方の雪の多さを教えられた。
直江津を過ぎ「ほくほく線」を走り始めると、山間に入る分少しずつ雪が多くなってきた。雪も舞い始め、視界が悪い。目を凝らしても地面と空の境界が判らない。白一面の世界だ。こんな景色を見ていると、盛んに言われている「地球温暖化」が間違いではないのかと錯覚してしまう。しかし、20年以上前と比べると、これでも随分と少なくなったのに違いない。終点の越後湯沢駅周辺を見回しても、思った以上に少なくて雪国のイメージが壊れてしまいそうだ。ホームで新幹線を待っている間も、正月の間にしっかりと身に付けた肉布団の思わぬ効果なのか、思ったほど寒さを感じない。息子に言わせると「中途半端に付いていると却って寒い」らしいから、私の温度感覚が変わったのではなく、実際に暖かいのだろう。
そんな事を考えながら上越新幹線に乗り、暫くすると、どんよりとした空模様は大清水トンネルの闇の中に吸い込まれてしまった。そしてトンネルを抜けると、真っ青な空が一気に広がってくる。すると先程とは逆に、理由もないのに「温暖化」を感じてしまう。それほどの上天気だ。『こんなに天気がいいのに東京は本当に寒いのだろうか』と、持ってきた厚手のコートが邪魔にならないか心配になってしまう。しかし東京駅に降り立ち行き交う人の服装を見て、その心配は無用である事が分かった。みんなしっかりと着膨れをしている。
「今冬一番の寒気」と言うだけあって、確かに東京も寒かった。しかし手がかじかみ、耳が痛くなるほどではない。子供時代を過ごした静岡県の西部地方は、天気が良くても“遠州のからっ風”が吹くと生半可な寒さでなく、耳が痛くなるほどだった。それに比べると、寒いといってもまだ暖かい。暖房が利いた乗り物や職場から外に出ると寒さを感じる事は感じるのだが、マフラーを巻き厚手のコートを着て僅か30分歩くだけで、汗ばんでしまう。夏場だったらいざ知らず、真冬に、しかも今冬一番の寒さだと言われている日にたった30分歩いただけで汗をかいてしまうなんて事は、記憶にない。しかし、色とりどりのネオンや明るい照明で照らし出される東京の街を歩いていると、それも仕方ないな、と納得してしまう。そこには眠らない巨大なモンスターがうごめいている。
話は変わるが、正月のバラエティー番組で、『氷が解けても海面は上がりませんよ』と、したり顔で発言しているコメンテーターがいた。番組を盛り上げるために敢えてそう言っている節もあるのだが、彼らは陸上にある氷床や氷河、あるいは高山や極地方に広がっている永久凍土の事を忘れている。特に南極大陸やグリーンランドには、2,000m――ところによっては3,000m――を超す分厚い氷床が分布している。これらが解けたらどうなるのか。
確かに海に浮かぶ氷が解けるだけでは――水温上昇による海水の膨張を無視すれば――海面上昇はない。しかし、グリーランドの全ての氷床が解けてしまうだけで、現在よりも7.2mも海面が上昇するという。その氷床とは別に、グリーンランドを始めヨーロッパアルプスや南米パタゴニアなど世界各地に分布する氷河が予想以上のスピードで後退している、と環境番組で良く報じられている。氷河が解けているのだ。シベリアの永久凍土も急速に解けているという。氷の形で陸上に固定されていた水が、海に流れ込んでいるのだ。
日本でも、ワカサギ釣りで賑わう湖の結氷の厚さが年々薄くなり、このままではやがて楽しめなくなる、と心配する関係者もいる。原因が何かは別にして、温暖化が進んでいる事は間違いない。後5年も経ったら、東京では厚手のコートは必要なくなるのではないかとすら思えてしまう。折りしも、21日は二十四節気の一つ「大寒」で、一年でもっとも寒い時季と言われるが、有難くない事に長いスパンで見ると年々過ごしやすくなって来ている。
頓珍漢な意見や解答はガマンできるとしても、バラエティー番組の出演者が『今は夏だったか?』と見紛うような衣装でこれ見よがしに肌を露出しているのを見ると、同じ局で環境保護番組をやっている事に凄く違和感を覚えてしまう。あのスタジオの設定温度は何度だろう? それとも録画か? どちらにしても、出演者や番組制作スタッフには、もう既に季節感なんて無いのかも知れない。環境へのやさしさを競うスポンサーも番組の中身までは吟味していなのだろうな。どこかおかしい……。
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