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『消防団がピンチだ!』

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2008年1月30日

昨年3月に起こった能登半島地震から丁度10ヵ月後の1月26日午前4時33分ごろ、余震と見られる強い揺れが再び能登半島を襲った。マグニチュードは4.8と規模としてはあまり大きくはなかったが、3月の地震で大きな被害を被った輪島市門前町では震度5弱を記録した。地元の人たちはさぞやビックリした事だろう。目立った被害も出ていないようだからホッとしているところだが、なかなか地震活動も終息しないものだ。忘れかけた頃にまた揺れる、そんな状態が今後もしばらく続きそうだ。

ところで今回の地震で、昨年10月から始まった「緊急地震速報」に技術的な限界があることが露呈した。震度5弱以上が予想されると速報が出される仕組みになっているのだが、誤差が大きく、今回は実際よりも弱い震度4と算出された為、速報が出なかったという。甚大な被害が出るような震度では、多少の誤差があったところで致命的な欠陥とはならないと思われるが、既に受信装置を導入しているところでは、「折角導入したのに、これでは応急対応や心の準備ができない」などの不満や不安が聞こえてきそうだ。「何事も完全や万全が如何に難しいか」の象徴的出来事だったのかも知れないのだが、防災の観点からすると少々問題を残すことになった。

 

しかし、防災の観点からするともっと大きな問題が、一般市民の知らないところで静かに、そして確実に進行している。火災や災害時にお世話になる消防団が、人手不足と高齢化の問題を抱えているのだ。東京都23区における消防団の定員は1万6,000人なのだそうだが、2,000人近い定員割れの状態が続き、平均年齢も全国平均に比べ10歳以上も高いという。そんな新聞記事を読み、義弟が分団長をやっていたこともあって、消防団について調べてみた。

そもそも、消防署と消防団の違いが分からない。義弟が住む地域では、或る年齢に達した成年男子は必ず消防団員になる不文律があって、その地域に住んでいる若者は消防団員として地域活動をやる事で一人前の男として認めてもらい、地域住民としての結束を固めるのだそうだ。確かに地方にとっては重要な役割を担う組織のようだが、彼らの身分はどうなっているのだろうか。

 

上の図は、消防団のホームページ(http://www.fdma.go.jp/syobodan/index.html)のデータを基に作成したものだが、消防署の職員も消防団員も、どちらも市町村長の管轄下に入ることになっている。そして、消防署員は常勤の地方公務員で、一方消防団員は自営業や会社員がいざと言うときに出動する非常勤職員となっている。手当、つまり消防団員の給料はどうなっているのだろうか。興味のあるところだが、義弟が分団長をやっていた町では、個人毎の給料は支給されず、37名を擁する団に年間260万円が支給されていたそうだ。月に直すと一人当たり6千円弱となる。『町によって違う』とは言っていたが、これらは団員が死亡したりケガをしたとき等の見舞金、或いは備品や夜回りのときの食事・菓子などに消えてしまうという。要するにボランティアなのだ。

ところがである。上の図に書いてある数字を見ていただきたい。各々その組織の数を表しているのだが、消防署と消防団の数を見て愕然としてしまった。圧倒的に消防団の数の方が多いのだ。分団の数は、消防署と出張所を合わせた数の約5倍もある。人数にいたっては6倍近くもある。ともすると我々は「消防」という同じ括りで見てしまいがちだが、その多くが善意のボランティアで支えられているのだ。過酷な労働の消防署員も含め、我々一般市民は消防団員にもっと感謝と敬意を払わなくては罰が当たるというものだ。

ところが、「感謝が足りないから、敬意を払ってくれないから」と言う訳ではないと思うが、下のグラフに示すように消防団員の数が減り続けている。微増の消防職員数と合わせても、終戦直後には200万人を超えていた総数が、昨年には105万人まで減っている。消防団員に限ってみると、昨年で90万人を割っている。
 

 

減り方が急激だった終戦直後から1970年(昭和55年)までは、丁度高度成長期にあたり、地方から都会への人口移動や、農林水産業から都市部の会社勤めへの変更が急激に行われた事が大きいのだろう。その他にも、市町村の合併や村落の消滅により分団が減った事や、消防車などの消化能力の向上や建物の耐火化が進み火災被害そのものが減少した事が影響しているのではないかと、素人なりに考えている。1970年以降の減少は、都市部への人口の集中と自営業者が減ってサラリーマンが増えたことが大きいのだろう。競争が激しくなりサラリーマンが休みを取りにくくなった現状もあるに違いない。いずれにしても、減り続けているということは、憂うべき事だ。

そんな中で、先のホームページによると、消防職員も消防団員も、近年女性の数が僅かではあるが増えている。これを素直に朗報と捉えて良いものだろうか。消防職員は良く分からないが、少なくとも消防団員に関しては、時々ニュースで流れるように、日常男手が家を空けている事が多く女性だけで分団を組織している、そんな地方が増えてきているのではないだろうか。そうではなく、消防活動や防災活動に熱い思いを持っている女性が増えてきた、そう思って止まないのだが……。

とまれ、日本の地域防災がそのようなボランティアによって守られていることを我々一般市民は知っておくべきだろう。

 

ほぼ出来上がったこの原稿を妻と娘に読んでもらっていたところ、消防庁が「消防団員100万人キャンペーン」をやっている、とのニュースが流れてきた。全ての消防活動を消防職員で担う事は、費用の面からも人材の面からも現実的でない事を考えると、消防団員の確保は極めて重要勝つ緊急の課題で、このようなキャンペーンは消防団の事を知ってもらうためにも非常によいことだと思う。このキャンペーンが功を奏して、早く100万人を突破してもらいたいものだ。併せて、サラリーマンがもっと消防団活動に参加しやすくなる仕組みが早急に整備される事を、政府にはお願いしたい。

消防団の前身は徳川8代将軍吉宗が設けた「いろは四十七組」の町火消しだそうだが、自分達の町は自分達の手で守る、そんな当時の熱き思いを持った若者達が今も沢山いることを願っている。

【文責:知取気亭主人】

 

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