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最近、自分の行動に不安を感じ始めている。若いときからそんな性格を多少は持っていたと自覚はしているのだが、孔子が諭したところの「耳に順(したが)う歳」が目前に迫ってくるとともに、その傾向がますます強くなってきた。犯罪に繋がる性悪なものではないから、自分の人生を台無しにしてしまうような失敗に繋がる事は滅多にない。しかし、あまり褒められたことでもない。かと言って石油類がこれだけ値上がりすると、却って家計の助けになっている側面もある。まぁ、要するに大層な事ではないのだが、義理の母から聞いた「加齢の影響」なのかと、心配になってきているのだ。
此処数週間、出張したときを除くとウィークデイにお酒を殆ど飲んでいない。『ホント?ウソだ!』との外野の声もうるさいようだが……。無視だぁ−! 体重を75s以下に保つ為にやっている涙ぐましい努力なのだ。しかし、かなり無理をしていることもあって、土日に飲むとその反動が出て、ともすると秘かに決めている規定量をオーバーしてしまう。すると“ほろ酔い加減”では納まらず、気分は“程酔い加減(?)”まですんなりと到達してしまい、何事に対しても面倒くさくなってしまうのだ。よい例が風呂だ。
女性の目を気にしていた20代では考えられない事だ。ところが、耳順の歳が視野に入ってきた昨年あたりから、女性に興味がなくなったわけではないのに、度々「入浴は面倒くさい」と思うようになって来た。特に冬の間は、滅多な事では汗をかかないので1日、2日入らなくても然程気にならない。必然的に、「面倒くさい」が増えてきた。悪い事に、若いときほど脂分が出なくなってきたのか、以前ほど“汚れを洗い落とさない気持ち悪さ”も感じないのだ。特に、次の日が休みの日などに酒を飲むと、顕著になってしまう。
元々汗かきで脂性なこともあって若いときなどは、夏は勿論、冬でも1日風呂に入らないと肌がベトベトとして気持ち悪かったものだが、この歳になると脂分が抜けてきたのか冬場のベトベト感はトンと無くなってきた。勿論、食の好みの変化や、高脂血症のきらいがある私の健康を気遣って妻が用意してくれる食事の影響も大きいだろう。しかし、それらの影響とばかり言えないのではないかと、秘かに悩んでいるのだ。
以前も毎日入っていたわけではない。酔っ払ってそのまま眠ってしまったときなどは、勿論入れない。しかし多少酔っ払っていても、つい4、5年前までは「面倒くさい」と思ったことは殆ど無かったのだ。なにがそうさせているのだろうか。
半年ほど前、何の話題について話をしていたのか記憶は定かでないが、義理の母が電話口で言っていた『みんな歳を取ると面倒くさくなるものよ。私もそうだから』の言葉に、今年で87歳になった私の母の行動を思い出し、『成る程』といたく納得した事がある。納得した、つまり感心した為なのか、仲間をからかう為のデータとして使おうとした遊び心なのか、或いは既にその心配を抱えていたのか、自分自身でも良く分からないが、運が悪いことにそのとき、『面倒くさくなってきたら歳を取った証拠なのだ』と私の脳にインプットされてしまったのだ。記憶力は落ちているはずなのに、こんなくだらない情報は意外と鮮明に記憶されて、ひょんなときに甦り私をからかうようになる。
久しぶりに風呂に入り湯船に浸かっていると、高笑いしながら何やら叫んでいるもう一人の自分が、湯気の向こうにいるような錯覚に陥ってしまう。『こんなに気持ちが良いのに面倒くさくなるなんて、お前も歳を取ったな!』、と癪に触る言葉が聞こえる気がするのだ。自責の念に駆られているらしい。
そんな事を何回か経験して、「加齢と意欲」には相関関係があるのだろうな、と思うようになってきた。といっても直接的な相関関係ではなく、加齢に伴う「体力の低下や記憶力の減退」が意欲と強く関係しているのに違いない。
中でも、「体力の低下」との相関は極めて強い、と考えている。体力が落ちてくると“やろうと思った事”ができなくなってくる。そして、そんなことが続くと自信が無くなり、『もういいや』とあっさりと諦めるようになってしまう。それともう一点大きなマイナス要因がある。若いときと同じ事をしても疲れがなかなか取れなくなり、体を動かすことが億劫になってしまうのだ。酒を飲むのも、風呂に入るのも体力を結構使う。必然的に、酒が過ぎると「風呂=面倒くさい」の等式が成り立ってしまうのだ。
こうしてみると、体力に自信が無くなるとチャレンジしようとする意欲が萎えてくるのも頷ける。以前には考えもしなかったことだが、加齢による体力の低下によってそんな事が日常的に起こり、しかも加齢とともに出来なくなる事が増えてくると、益々自信が無くなって意欲が減退し負のスパイラルに陥ってしまう。凡人の凡人たる所以なのかも知れないのだが……。
筋力が落ち、体が硬くなって、その上関節が痛み出すと、体を使う事への意欲減退は尚更顕著になってくるだろう。目が衰えてくるのも大きい。細かな字の説明書などは、見ただけで読もうとする意欲は霧散してしまう。やはり、幾つになっても意欲を強く持ち続けるためには、――目は如何ともし難いが――体力に自信を持つことが肝要だ。
となると、体を鍛えることは意欲減退を阻止する為の重要な予防策になるのではないだろうか。体力増強は難しくても、健康と体力維持の為に適度な運動がお勧めだ。そう言えば、酒を飲まないときにやっているスクワットと腕立て伏せのお蔭か、血圧の調子がすこぶる良い。やっていなければもっと頻繁に「面倒くさい」を感じているのかもしれない。何かに付け「面倒くさい」と感じ始めたご同輩、酒ばかり飲んでいないで、たまには運動をしたほうがいいですぞ!
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