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今年の桜は綺麗だ。開花のセンサーが壊れたのではないかと疑ってしまった昨年に比べると、今年の金沢の桜は5日の土曜日から一斉に咲き始め、これを書き始めた13日の日曜日まで見事な花を楽しませてくれている。私の家の周辺では13日の午後から降り始めた冷たい雨でぽつぽつと散り始めている木もあるが、まだ山の手はこれからというところもあり、もう少し楽しめそうだ。これだけ長く見頃が続いているのは北陸だけかも知れないが、今年は開花してから然程気温が上がらなかったせいか、通勤時も含めタップリと目の保養をさせてもらっている。「春に三日の晴れなし」と言われるように、開花中に度々訪れた"ナタネづゆ"がもたらす花冷えが、1週間以上も満開の桜を楽しめた理由なのだろう。健康管理が難しい気象現象ではあるけれど、長い期間桜を楽しめるという点では"花冷え"に感謝である。
ところで、桜の花が咲く頃は入園、入学、入社と新しいスタートを切る人たちが多い。私の通勤途中には通学路が沢山あって、この時期になると、真新しいランドセルを背負った新1年生を囲むようにして登校していく集団を、毎年目にすることができる。信号待ちなどで彼らの姿を見ていると、列の中でひときわ目立つ新入生の初々しい姿がまぶしい。そして、何かと世話を焼いている上級生達を見つけると、その微笑ましい姿にも心が和まされる。何度見ても心が暖かくなる。良いもんだ。
小さな子供達というのは、汚れを知らないせいか、どんなことをしても微笑ましいものだ。中でも、生まれて1年が過ぎ歩みもしっかりとしてきて言葉の数が増えてくると、その一挙一動や発せられる一言一言が、親御さんは勿論周りの大人達を至福の一時へ誘ってくれる。正に天使だ。
ご近所にそんな天使がいる。私達夫婦のアイドルとなっている今年3歳になる女の子だ。13日のお昼頃、その子が歌う「♪さいた、さいた、チューリップのはなが……♪」を聴かせてもらった。お母さんに促されて歌うそのたどたどしい歌声は、本当に可愛かった! 我が家の子供達が小さかった頃を思い出させてくれる魔法の歌声だ。お陰で、午前中頑張った"側溝の泥上げ"による疲れもどこかに吹っ飛んでしまった。
また、歌っているのが童謡というのが良い。"歌い手"と"曲"と"季節"がピッタシマッチしていて、チューリップの花が咲く花壇の情景が鮮やかに浮かんでくる。思わず釣られて口ずさんでしまった。やはり小さな子供が歌うのは、童謡や唱歌がお似合いだ。しかし残念なことに、歌番組が減ってきたこともあるのだろうが、最近のテレビやラジオからはトンと聴かれなくなってしまった。寂しい限りだ。特に春は入園や入学と、童謡・唱歌が似合う"おちびさん達"が一杯目に付くのに残念だ。
ところが、さすがNHKだ。天使の歌声を聞いたその日の午後、「にっぽんの歌コンサート」という題名の歌番組で、懐かしい童謡・唱歌を沢山聴かせてくれた。
母と懐かしく聴いていたのだが、出演していた由紀さおり・安田祥子の姉妹が、気になることを言っていた。童謡や唱歌にはお母さんを歌った曲が多くお父さんの曲が極端に少ない、というのだ。中には、子供とお母さんしか歌詞に出てこないから可哀想だと、「♪……そうよ、とうさんもながいのよ♪」と、「ぞうさん」の歌に無理矢理お父さんを登場させている人もいるとか。言われてみれば確かにそうかも知れない。同じ父親でも"おやじ"はちょくちょく歌謡曲に出てくるが、「お父さん」と歌われて出てくる童謡・唱歌は、「♪父さん、お肩をたたきましょう……♪」位なものだろうか。オッと、間違えた。これもお母さんしか登場しないのか!
なるほど、確かに"お父さん"が登場する歌はスグには思い出せない。小さな子供にとっては、やはり父親よりも母親なのだろう。そんなお母さんに嫉妬して作ったわけではないが、我が家の子供達が小さかった20年程前、帰郷する車の中で私が即興で作った「父さんの歌」がある。ライトバンの荷台で寝ころんでいた子供達が大喜びした替え歌だ。大した歌ではないが、紹介しよう。もし口ずさんで頂けるのなら、メロディーは「母さんの歌」だ。ただし、くれぐれも中学生以上の子供の前では歌わないでいただきたい。冷笑されるのが落ちだ。
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父さんが夜なべをして |
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わらじを編んでくれた |
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裸足じゃ足も痛かろうて |
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せっせと編んだだよ |
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故郷の路は糞が多い |
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わらじだったら大丈夫 |
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この替え歌は、私の中学生時代の経験が下地にある。中学生時代、私は柔道部に入っていた。時々練習の一環として、片道4kmほどの山道をランニングして曹洞宗の寺に座禅を組みに行くのだが、その帰り道にとんでもないハプニングがあった。石ころだらけの田舎道を裸足で走るのだが、ある時先輩の一人が野糞(のぐそ)を踏んだ。そのときの大騒動はご想像に任せるとして、この替え歌にはそんな臭い経験が背景にあったのだ。歌も受けたが、その背景も話すと子供たちには大受けだった。よっぽど面白かったのか、我が家では今でも「父さんの歌」として人気がある。
でも考えてみたら、元歌の「母さんの歌」を知っているからこそ、そのギャップが面白く感じたのだろう。そうなると、「母さんの歌」あっての「父さんの歌」、ということになる。やはり、「母さん」にはかなわない!
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