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7月7日から9日にかけて開催された北海道洞爺湖サミットが閉幕した。最大の焦点だった地球温暖化防止の新たな枠組み構築とともに、Fuel(燃料)、Food(食料)、Finance(財政)の3つのFが緊急課題、と言われていたがどれが解決されたのだろうか。どれもこれも解決の糸口さえ見つからないまま終わってしまった、そんな感想を私は持っている。中でも、日本が消費量の殆どを輸入に頼っている燃料について、効果的な解決策が示されないまま閉幕してしまったのは、非常に残念だ。最近の原油価格の急激な高騰は、既に自助努力の限界を超えており、個人の消費活動に冷水を浴びせ始めているとともに、急激に、しかも確実に企業の体力を奪い始めている。各業界から「悲鳴」が上がっているのだ。
私が住む金沢では、7月に入りレギュラーガソリンの店頭価格が180円を超え、夏の気温同様にまだまだ上昇しそうな勢いだ。冗談抜きに、200円の大台を突破するのもグッと現実味を帯びてきた。一体どこまで上がれば落ち着くのだろうか。車の使用が手控えられて環境に優しい生活を送る事になる、という点では喜ばしい事なのだが、石油に頼りきっている今の日本では手放しで喜べない。深刻な影響を受けている人たちが沢山いるのだ。
例えば、車を足として使う市民は勿論だが、原油高を価格に転嫁しているはずのガソリンスタンドも、客足が遠のいて悲鳴を上げているという。最近の日本は、価格が引き上げられるたびにそんなニュースが流れ、将来に対する不安もあって消費者マインドは益々冷え込んで来ている。そして、消費者マインドの冷え込みは、砂浜に造られた砂の造形が波に削られていくように、企業の業績を刻々と蝕んでいる。
特に、石油を燃料に使う陸、海、空の各運輸会社は大変だ。ガソリンスタンドと同じように、運賃や商品価格に転嫁すればすぐに消費者離れが起こってしまい、痛し痒しの状態になっている。例えば、燃料を大量消費する航空会社は、その悲哀を一番感じているのかも知れない。ビジネス客の多い主要路線はまだしも、搭乗客の少ない地方路線や客単価の安い観光客がメインの海外路線は、苦戦を強いられているという。そして、原油高を転嫁した高額の燃油サーチャージ料は、客離れに拍車を掛ける。日本航空や全日空などの航空各社は秋のダイヤ改正に合わせ不採算路線の廃止や減便の検討を始め、全日空では搭乗率が比較的高そうな「関空−グアム便」さえ廃止の検討をしているという。もう必死だ。
燃油サーチャージ料については、陸運業者の中にも同制度の導入をする会社が増え、国土交通省によれば7月7日時点で約930事業者の届出があったという(2008年7月10日、日刊工業新聞)。こういった制度が顧客に受け入れてもらえればいいのだが……。
同じ陸運のタクシー業界も悲鳴を上げている。参入の自由化による競争の激化と運賃高騰による乗り控え、そしてここに来ての燃料の高騰が三重苦となって重くのし掛かってきている。創業以来36年間運賃を据え置いてきた金比羅タクシー(徳島市)も、日本一安いとされている初乗り運賃280円を350円に値上げ申請したという(同、日刊工業新聞)。自助努力の限界を超えた、ということなのだろう。確かに、肝心要の燃料がこんなに上がってしまっては、「♪金比羅 船 船〜♪」と陽気に歌ってばかりいられない。
そんな中、第260話で取り上げた"漁船の休漁"が全国的な広がりを見せ、ついに昨日(15日)、日本全国の凡そ20万隻の漁船が一斉に休漁した。「こんなに燃料が高くてはもうやっていけない。何とかしてくれ!」と燃料費高騰による苦境を訴えるための行動だ。東京の集会では、政府に対して"燃料費の補てん"の要求を訴え、販売価格への転嫁を消費者に理解してもらうためのプラカードを持ってデモ行進していた。これは正に漁民のストライキだ。
既にヨーロッパではもっと過激な抗議行動が取られており、燃料費の高騰に抗議して漁民やトラック業界のデモが行なわれた、と報じられている。ヨーロッパでそのような抗議行動が行われていても、日本の漁業関係者はこれまでグッと我慢をしてきた。しかし、我慢ももう限界なのだろう。ついに日本も、だ。
鮮魚価格はセリによって決まるため、他の食品のように販売価格への転嫁が自由に出来ない。そこが漁業を苦しめている大きな要因でもある。このままいけば廃業するしかない、とインタビューに答えている漁連関係者もいる。もうギリギリのところまで来ているのだ。 漁業ばかりではない。いずれ日本の陸運業界も追随するのではないかと思っている。そしてそれは、何れ家計という車に火をつけることになるのに違いない。
家計の中のガソリン代や灯油代、更には食料品の高騰を目の当たりにしていると、メディア同様悲観的な将来予想しか立てられなくて、新聞を読んでいてもついつい悲鳴を上げている記事に目がいってしまう。こんなときこそ、歌にあるように「♪ケセラセラー なるようになるわ〜♪」ともっと楽観的な発想が必要なのかも知れない。
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