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『四方山流メダル量産計画』

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2008年08月27日

今月8日に華々しく開催され、凡そ2週間に亘り数々のドラマを生んできた北京オリンピックも、最終日恒例の男子マラソンなどが行われた24日を最後に、真夏の、本当に熱い戦いの幕を閉じた。四方山話の第267話「何がそうさせるのか?」で書いたように私の中では盛り上がりに欠ける大会となってしまったが、心配された大きな混乱も起きることなく、無事に終えることができたことは何よりだった。

「口パク問題」や「少数民族の偽装演出」など我々との異質性が気になるところも多々あったが、こと「スポーツの祭典」とだけに限ってみれば、運営上の大きなトラブルもなく、国際社会に向けての国威発揚としては大いに成功した、と言って良いだろう。しかも、金メダルの獲得数でも前回の32個から51個へと大躍進し、スポーツ大国の米国を大きく上回り初めて第1位となった。開催国としての"面目躍如"と言ったところだ。

 

しかし、メダルの数に関して言うと、最近の大会はやたらと競技種目が増えてきており、オリンピックの肥大化が問題視されている。「エッそんな種目があったのか」とニュースで知って驚くようなものもある。今回の北京オリンピックを調べてみると、何と28競技302種目もの戦いが繰り広げられていた。必然的に302人・チームの金メダリストが誕生し、――銅メダルが二人いる競技もあるので――金、銀、銅を合わせると凡そ千個ものメダルが授与されたことになる。そんなにあったとは驚きだ。

そして、このメダルを目指して世界中から一流アスリートが集まり、熱い戦いを繰り広げてきたのだ。ただ、一流アスリートといえども心身のコンディションを大会に合わせるのは大変難しく、波乱の競技も沢山あった。金メダルの数が"期待された二桁"に届かなかった日本選手団に限らず、実力を十分に発揮し期待通りの成績を収めた選手がいる一方で、残念ながら実力を発揮できずに涙にくれた選手も沢山いた。中には、マラソンの野口選手や大崎選手、あるいは中国の英雄劉翔選手のように、直前になって故障に見舞われ、競技に参加することなく無念にも棄権を余儀なくされた選手もいる。こういったニュースに接すると、お互いの力の差は紙一重で、ギリギリのところで戦っていることが良く分かる。

ところが、陸上競技や球技などでは、いくらコンディションが上々であっても、体格、体力の違いをまざまざと見せつけられるような戦いも、良く目についた。「鍛え方の違いかな」と思う部分もあるが、努力ではどうしようもない部分もある。身長差だ。こればかりは、技術や体力をいくら鍛えてもいかんともしがたいものだ。今一歩で勝てない日本人選手を見ていると――当然贔屓目に見ているのだが――、「外国選手と同じくらいの身長があれば絶対勝つのにな!」と思うことが多い。

 

確か前回のアテネオリンピックでの日本の金メダルは16個で、今回はこれを上回るメダル数が期待されていたと記憶しているが、結果は9個にとどまった。この残念な結果を受けて、各競技団体は次回のロンドン大会に向け強化対策を講ずることになる筈だ。しかし、技や体力は鍛えることができたとしても、身長を鍛えることは不可能だ。だとすると、飛びぬけた能力のある天才アスリートを発掘するか、中国の卓球選手のように子供のころから英才教育をするか、あるいはとんでもない秘策でもない限り、アテネを超えることは難しいだろう。しかしながら、英才教育をするにしても、次回のロンドンでメダルを量産するには、時間がない。そこで、身長で劣る選手が不利にならないよう――もっとはっきり書けば日本選手が活躍できるよう――秘策中の秘策「四方山流メダル量産計画」を考えてみた。御笑覧あれ。

 

まずは水泳だ。二つの案がある。ひとつは、格闘技などが体重別になっているのと同じように、身長でクラス分けをするやり方だ。例えば男子であれば、@170cm以下、A171〜180cm、B181cm〜190cm、C191cm以上の4クラスに分けるのだ。

もう一つの方法は、各種目の世界記録を持っている選手の身長を基準に、身長の差をタイムに換算し、足したり引いたりする方法だ。分かりやすいように身長200cmの選手が100mを50秒で泳いだ記録が世界新記録だとする。泳力が同じだとすると、180cmの選手には、ターンとゴールタッチの2回分に夫々「身長差+腕の長さの差」がハンデとして生じることになる。腕の差も身長と同じ程度と考えれば、50mごとに40cmのハンデが生ずることになるから、[50÷100×(0.4×2)=0.4秒]を180cmの選手から減ずる措置を講ずるのだ。実際には足の大きさや手の平の大きさも影響するが、そこまでは言わないでおこう。どちらの方法を採用するにしても、2,3個のメダルは増えるのではないかと思う。

 

次は、球技だ。特に、バレーボール、バスケットボール、ハンドボールについてだ。これも二つの方法を考えてみた。ひとつは、"コート内の選手の平均身長"に制限を設ける方法だ。例えば、女子のバレーボールであれば、175cm、あるいは180cmまでとするのだ。

もう一つの方法は、水泳と同じようにクラス分けする方法だ。同じように女子のバレーボールを例に取れば、@平均身長170cm以下、A171〜180cm、B181〜190cm、C191cm以上の4クラスに分けるのだ

どちらの方法を取っても、身長で劣る日本にはメダルのチャンスがぐんと増えるはずだ。

 

柔道も考えてみた。今の柔道は、東京オリンピックで初めて正式種目に採用された頃と比べると、技がすごく分かりにくくなり、その戦いぶりはレスリングに近くなってきた。昔柔道をかじったことのある私にとっては、訳の分からぬ技やポイントで勝敗が決まっても、さっぱり面白くない。そこで、訳の分からぬルールになってしまった今の柔道を「JUDO」、正式種目に採用された頃の柔道を「本家柔道」として、二つの競技に分けてしまうのだ。「JUDO」を「着衣レスリング」としてレスリングの一種目とするのも面白い。「コスプレ・レスリング」の名前も考えたが、悪ふざけが過ぎるのでこれは取り下げることにした。

 

最後に陸上にもスポットを当てよう。オリンピックの一方の花であるこの競技でも、是非日本人選手が活躍できるようにしたい。心肺能力が大きく影響する長距離走を除けば、短距離走や跳躍競技は、足の長さが大きく関わっている。勿論、筋肉の質だとか、ジャマイカのように小さな子供の頃から坂道でのダッシュが遊びの一つとして行われている国との違いは埋めようもないが、足の長さを考慮すれば、決勝レースに残る選手も増えるだろうし、あわよくばメダルの常連になるかもしれない。為末選手などはその筆頭だろう。

その秘策は、身長ではなく足の長さ、股下の長さを基準にするのだ。そして、股下の長さでクラス分けをする。男子の競技であれば、@75cm以下、A76〜80cm、B81〜85cm、C85〜90cm、D91cm以上、の5つのクラスに分ける。くれぐれも身長ではない。私の見分からすると、身長で分けるのは胴長短足の日本人には不利なのだ。

この方法が採用されれば、走り高跳びや走り幅跳びは勿論、短距離のトラック競技でもメダルが期待できそうな気がするのだが……。

 

さて、如何だっただろうか。酒も飲まずに真剣に"秘策"を練っていたら、文部科学省が2016年に開催されるオリンピックでのメダル量産を目指し「競技力向上ナショナルプロジェクト」と称する国家プロジェクトをスタートさせる、というニュースが流れてきた。確かに競技力を向上させることも大変重要ではある。しかしだ。冬季オリンピックのノルディック競技で荻原健司選手が連勝を重ねると、勝てなくなった欧米が自分たちに有利なルールに改正した例もある。だから、ルールの改正も重要なのだ。

私の考えた秘策は、日本人だけに有利なルールではない。身長によるハンデをなくする平等の精神に溢れた素晴らしい秘策だと思っている。JOCの委員のどなたか、私の秘策に賛同してIOCに提案してくれないかな? もっとも、それでなくても懸念されている肥大化が益々進んでしまう後ろめたさも、あるにはあるのだが……。

【文責:知取気亭主人】

 

ナデシコ
(なでしこジャパンは大健闘した)

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