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『パラリンピック』

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2008年09月24日

事故米騒動やら海の向こうからやってきた金融不安やら、最近のニュースは気が滅入るような話題ばかりだ。思わず顔がほころんでしまう様な明るい話題には、トンとお目に掛かっていない。と思っていたら、とんだ思い違いで、ありました、ありました。激震が走ったリーマン・ブラザーズ破綻のニュースに気を奪われてコロッと忘れていたが、北京パラリンピックでの各国選手の大活躍があったのだった。

 

9月6日に開幕した北京パラリンピックは、史上最多となる147の国・地域が参加して12日間に亘って熱戦が繰り広げられ、17日、感動のうちに閉幕した。多分映像を見た人全てがそうだったと思っているが、先のオリンピック以上に沢山の感動と勇気を与えてくれた大会だった。健常者に勝るとも劣らない彼らのパフォーマンスは、"素晴らしい"の一言に尽きる。水泳、陸上、テニス、どの競技を取ってみても、見ごたえのある素晴らしい戦いを見せてくれた。中には、車椅子バスケットボールや車椅子ラグビーなどのように、健常者以上の激しさで、迫力満点の試合を堪能させてくれたものもあった。

兎に角、選手のパフォーマンスの凄さには圧倒されっぱなしだった。国枝選手が金メダルに輝いた車椅子テニスのあの機敏性は、どうやったら養えるのだろうか。運動機能障害のスイマーたちの残された四肢の運動性の凄さと、その精神力の強さはどうだ。どの競技を見ていても、思わず拍手を送りたくなる。あれだけの凄いパフォーマンスを見せるには、器具の発達もさる事ながら、それ以上に日々の血の滲むような練習があったに違いない。そう思わせるに十分過ぎる程の戦いぶりだ。その努力を思うと、ただただ頭が下がる。

 

また、選手たちの努力ばかりでなく、表舞台に立つ事はない数多くの裏方の支えがあったことも想像に難くない。NHKラジオの朝の番組で中国国際放送局の記者が現地レポートをする時間があるのだが、閉幕直後に放送されたレポートはそんな裏方の人の話だった。

話題に上ったその人は、田舎から出てきて、車椅子ラグビーのチームに"車椅子の修理担当"として参加したという。車椅子ラグビーは激しいスポーツなので、試合中に良くパンクをするのだそうだ。そのパンク修理は当然の事として、選手は脊椎損傷で排尿・排便のコントロールが出来ない人が多く、睡眠中にも排尿・排便用の袋や汚れた衣服の取替えを手伝わなければならなかったという。勿論、練習中や試合中でも然りだそうだ。そんな苦労があるとは、初めて知った。あれだけのパフォーマンスの陰には、選手の才能と努力以外に、観ているだけでは分からない裏方の人達の大きな支えが必要だったのだ。

勿論、"選手と一緒になって競技に参加した裏方さん"以外にも、運営などに参加していたボランティアの人達の活躍も、北京パラリンピックを支えた大きなパワーだ。改めて、参加した全ての選手、関係者に「感動を有難う」と伝えたい。

 

一方、メダル獲得では、先のオリンピックと同様に、中国の圧倒的な強さが際立った大会となった。しかし、日本人選手も、目標には届かなかったものの、大健闘だったと思う。ただ、残念だったのは、第141話「もうひとつの金メダル」にも書き、今回も"幾つのメダルを取るのだろうか"と注目していた成田真由美選手が、北京から障害の程度によるクラス分けが変更になり、より障害の軽いクラスに振り分けられた為メダル獲得がならなかった事だ。そして、もう一人残念だった選手がいる。車椅子競技の5000mとマラソンで2冠が期待されていた土田和歌子選手だ。初日の5000mのレースで事故に巻き込まれ転倒して背中を痛めたために、5000mの再レースとマラソンを断念せざるを得なかった。冬季パラリンピックでも活躍している選手だったので注目していたのだが、残念な結果に終わってしまった。しかし、そういった残念な結果に終わってしまった選手も含め、結果に関わらず本当に多くの感動と勇気をもらったと思っている。関係者全員に、心から拍手を送りたい。

 

そして、今後の選手たちの益々の活躍を大いに期待したい。ただし、日本の政府には一言苦言を呈したい。早く「オリンピック委員会」と「パラリンピック委員会」をひとつにまとめてもらいたいのだ。第141話「もうひとつの金メダル」でも書いたように、所管が文部科学省と厚生労働省に分かれていたのではまずい。一日も早く一本化されるべきだ。今回の北京パラリンピックを見ていれば、最早「リハビリを目的とした大会」という程度のパフォーマンスでない事は一目瞭然だ。その競技ぶりは健常者と遜色ない。もう分ける理由もないだろう。

 

最後に、健常者のオリンピックにも挑戦し、今回のパラリンピック陸上で100m、200m、400mの3冠を成し遂げたオスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)が語った言葉を紹介しよう。彼は生後11ヶ月で両足の膝から下を切断する手術を受けているという。

 

「障害があるんじゃなく、足がないだけ」(YOMIURI ONLINE、2008年9月17日、http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/news/paralympics/news/20080917-OYT1T00494.htm)

文部科学省も厚生労働省も、こんな前向きな発想で障害者スポーツを見つめても良いのではないだろうか。もうそんな時代になっている。

【文責:知取気亭主人】

 

ヒガンバナ

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