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知取気亭主人の四方山話
 

『福袋』

 

2009年1月7日

いよいよ波乱含みの丑年がスタートした。本来であれば“夢多く華やかな新春”である筈なのに、昨年末に世界を震撼させた金融危機の後遺症がどこまで深刻なのか、さらにはどこまでこの痛みを引きずらなければいけないのか、華やかどころか不安が一杯の出発となってしまった。いったい今年は、どんな丑年になるのだろうか。世界経済も株価も乱高下する激しい闘牛タイプの“猛牛”になるのだろうか。或いは、どん底不況にジッと耐え忍ぶ“ねまり牛”を決め込まなければいけないのだろうか。はたまた、酒で憂さを晴らす酔いどれ牛の“酔牛”になってしまうのだろうか。全く先が読めない。
 そんな世間の沈滞ムードがあってか、或いは身を置く建設業界の土砂降り状況がそうさせるのか、私も何となく気分が乗ってこない。干支をそらんじられるようになって以来記念すべき4回目の年男を迎えているというのに、昔からよく言われている“赤いちゃんちゃんこ”や“赤いパンツ”で還暦を祝う気分にはなれないのだ。尤も、世間の沈滞ムード以外にも、「還暦」という呼び名そのものに避けて通りたい響きを感じている事も大きな要因ではあるのだが……。考えてみれば分かることだが、誰だって、携帯メールの文字が読みにくくなった辺りから、「もう歳は取りたくない」と秘かに願っているものだ。「そんな事できやしない」と分かっていても、だ! 

 さてさて、そんな私事は脇に置いておくとして、日本の為にも世界の為にも、何とかしてこの沈滞ムードを吹き飛ばさなければいけない。それには、景気回復が何よりの特効薬である事は勿論だが、スタートしたばかりの今の時期は、落ち込んでしまった気分を高揚させる事も大変大事だ。気分を高揚させるとなれば、私の大好きな“お祭り騒ぎ”が何といっても一番だろう。そして、今の時期の“お祭り騒ぎ”とくれば、正月の定番イベントとなっている初売りで決まりだ。
 初売りにはトンと縁の無い私でも、ニュース映像で流される「初売りに殺到する人の群れ」を見ているだけで、人の多さに驚き、買い物のハシゴをするという人に呆れ、都会の活況に羨ましさを覚えつつも、一時的にせよ何となく明るい気分にさせられるから不思議だ。中でも、超お買い得だと言われる「福袋」には絶大な人気があるようで、福袋売り場のニュース映像を見ていると、まるで不景気知らずだ。商魂も、買い物に殺到する客も、どちらも本当に逞しい!これが一年続いてくれれば、と思うほどの活況を呈している。

 しかし、そんな「福袋」にも、今年は世相を反映した変わりダネが登場しているという。テレビニュースを見ていて目を引いたのは、2009年にあやかった2009円の「野菜の詰め放題+メロン1個」だとか、サラリーマン向けの「ワイシャツ1週間分」、あるいは「ダイエット食品の詰め合わせ」など、これまでに無い生活支援タイプの福袋だ。しかも、その買い方にも変化があるらしい。娘が店員から聞いてきた話だと、以前は表示されている中身の豪華さだけで買い求めていた客が多かったのに、今年は中身をしっかりと確認し金額も計算して最もお買い得な福袋を買っていくという。これなども、生活防衛意識の成せる業なのだろう。どれだけ「お得感」をアピールできるかが、売れ行きに大きく影響している。考えてみればもっともな話だ。
 そんな中、1月3日の朝日新聞朝刊によれば、割安感のある生活用品や食料品が詰まった福袋は、この不況にも拘らず売り切れが相次いだという。一方、「不況だからこそせめて福袋ぐらいは豪華に」ということなのか、数は少ないながらメダリストによる水泳指導とか小学生向けの体験型福袋なども登場しているという。福袋も随分と様変わりしたものだ。
 また、ニュース映像では、百貨店の福袋を抱え「この日のために1年間働いてきました」と興奮気味に答える若い女性が映し出されていたが、“福袋命”とでも言いたげだ。何故そこまで夢中になれるか不思議でたまらない。しかし、どちらにせよ私の懐が痛むわけではないので、そういった方々には大いに福袋を買い求めて頂いて景気浮揚に一役も二役も買ってもらいたい、と秘かに「ガンバレ!」とエールを送ってしまった。「人の褌で相撲を取る」ではないけれど、世のため人のためにもドシドシ買い物をして頂きたい、とやっかみも含め本気半分で願っているのだが……。

 

冗談はさておいて、そんな福袋を買い求め幸せそうな顔でインタビューに答える人達の映像が映し出されている同じ画面から、幸せとは裏腹の「食と住まいを失った人達への緊急炊き出し」の映像が映し出されている。そして、年末年始を海外で過ごした人達の帰国ラッシュの映像も映し出されている。どれもこれも同じ日本の空の下で起こっていることだというのに、まるで他人事のように淡々と見ている自分に気が付きハッとさせられている。どうやら、子供の頃に貰った筈の「感性という福袋」や、苦労して手に入れた「感謝という福袋」、そして愛されて与えられた「思いやりという福袋」にほころびが見えてきたらしい。「還暦がどうしたこうした」などと暢気な事を言っていてはダメだ。ほころびを緊急に修繕しなければいけない。
 ところで、 “お祭り騒ぎ”とは全く縁の無い話だが、今年一年を佳い年にするためには世界中の人々がそんな「福袋」を手にする事が最も大切だ、とは少々格好付け過ぎだろうか?

【文責:知取気亭主人】

 

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