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知取気亭主人の四方山話
 

『大臣の品格』

 

2009年2月25日

「大臣の品格」、こうタイトルに書けば"誰のどういった話題か"お分かりだろう。先週1週間、日本のメディア全てをジャックしてしまった感のある中川昭一前財務・金融大臣のことだ。ただ、あれだけバッシングされているのを見ていると、どうしようもない酩酊ぶりに呆れる一方で、彼だけを槍玉に挙げるのが可哀想になってきた。と言うよりは、正直もう食傷気味なのだ。あの記者会見の模様を面白おかしく、繰り返し報道するテレビの品のなさにも辟易してきている。日米関係や世界・日本経済の先行きなど、酩酊大臣の話題よりずっと重要なニュースがあるのに、この程度の悪さにも困ったものだ。

今回の騒動の主役は間違いなく中川前大臣ではあるけれど、彼があそこまで深酒をした理由の一端は麻生総理の迷走発言や指導力のなさにもあるのではないだろうか。元々酒好きで酒の上での逸話もかなりあるという話だが、「飲まなきゃやってられるか!」の心境にあったとしたら、あの酩酊ぶりも分からないでもない……。

 

私も自他共に認める酒好きだから、食事のときなど自然とアルコールに手が伸びてしまうのも良く分かる。飲み始めれば、程よく酔っ払うまで杯が置けないのも、痛いほど良く分かる。しかし、である。T.P.Oを考えなければダメだ。時には、楽しみは後にとっておきグッと我慢することも必要だ。昔の人の戒めに「酒は呑んでも、呑まれるな」とあるが、最低限のマナーとして、呑まれない量をわきまえなければならない。それが出来ないとなれば、ただの飲兵衛のおっさんだ。私如きであればそれでもいいのだが、一国の大臣となれば、到底それは許されない。しかし、彼はそれをやってしまったのだ。

酒は"キチガイ水"と揶揄されているように、飲みすぎると人を狂わしてしまうことがある。自慢できた話ではないが、私も狂ったときがあるらしい……? 時には大失態をしでかして人生そのものも狂わしてしまう場合もあるが、世界に醜態を晒した今回の騒動はまさにその大失態で、彼の人生を完全に狂わ してしまった。これでもう、余程のことがない限り、閣僚のポストが回って来ることはないだろう。

 

それにしても、なぜ日本の大臣は、任期を全うできる人がこうも少ないのだろう。大臣としての資質や品格がないからだろうか。そういえば、戦後19番目の総理大臣(在任期間:平成元年6月3日〜平成元年8月10日)だった宇野宗佑氏が、セックススキャンダルを原因としてたった2ヶ月余りで退陣を余儀なくされた、なんてこともあった。また、戦後27番目の総理大臣(在任期間:平成12年4月5日〜平成13年4月26日)だった森喜朗氏は、宇和島水産高校の練習船「えひめ丸」がアメリカの潜水艦と衝突した事故の一報をゴルフ場で受けたのだが、その後もゴルフを続けて国民のヒンシュクを買い、結局退陣に追い込まれた。

この二人の総理が退陣に至る直接の原因は、政策の誤りだとか、経済の低迷だとか、いわゆる政治手腕がまずくてではないし、ロッキード事件によって退陣した田中角栄(在任期間:昭和47年7月7日〜昭和49年12月9日)のように事件を惹き起こしたからでもない。どちらも「脇が甘い」と言ってしまえばそれまでだが、行動規範が総理大臣として相応しくないと批判されたのだ。しかし、男女間の恋愛に寛容なフランスやアメリカだったら、――クリントン元大統領に見られるように――宇野氏の場合など退陣に追い込まれることはなかったのかもしれない。それだけ、日本の国民は、大臣に対して清廉潔白の品格を求めているのだろう。尤も、クリントン氏は、大統領としての政治手腕を存分に発揮していたからこそ、女性問題が命取りにならなかったことも忘れてはならない。宇野氏、森氏の総理大臣としての政治手腕は、果たして……?

 

中川氏やこの二人に限らず、失言や失態で大臣の任期を全うできなかったお歴々が沢山おいでる。任期途中で辞任せざるを得なかった元大臣達を思い起こすと、「大臣の品格」が疑われるようなことが原因の先生方が多い。尤も、大臣ばかりでなく、罵声とも取れるような野次を浴びせて小学生のクラス会以下の国会運営しか出来ない国会議員の先生方そのものに、「日本人の品格」が欠けているのかもしれない。

中川前大臣の記者会見騒動に絡み、一緒に食事をしたとされる番記者や随行員の対応の悪さが批判されている。番記者は論外として、随行員にそういった不手際もあったのかもしれないが、それも中川氏の不徳の致すところではなかっただろうか。

 

先日、母が入院している病院にお雛様が飾られていた。雛飾りは、内裏雛を最上段に、三人官女、五人囃子とお供の雛がかしずいている。ジッと観ていると、内裏雛になんとも言えぬ雰囲気が漂っている。国を代表する大臣は、こうでなければダメだ。こうでなければ、随行員としても「必死で支えよう」という気持ちが萎えてくるというものだ。

【文責:知取気亭主人】

 





内裏雛



三人官女



五人囃子

 

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