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知取気亭主人の四方山話
 

『プレゼント』

 

2009年4月8日

新年度となった4月1日、何年ぶりかの入社式を行った。新しい仲間を迎えるということは、なんとなく改まった気分になり、周りを華やいだ雰囲気にしてくれる。その華やいだ入社式で、新しい仲間の1人が目から鱗の面白い言葉を教えてくれた。「あらかん」という言葉だ。昨年の流行語大賞になった「アラフォー」をもじった言葉で、アラウンド還暦、つまり60歳前後の年齢の人たちを指しているらしい。一瞬何のことか理解できなかったが、直ぐにピンときた。しかし、実に言い得て妙だ。語感も良い。早速、彼には無断で私の辞書に登録させてもらった。もう随分前から使い込んでいるような、そんな図々しい感覚で好んで使わしてもらっている。何しろ、かくいう私もアラ還の1人で、もうすぐ正真正銘の還暦を迎えることになってしまう。だから、今が“使い頃”なのだ。

 

耳に心地よく残ったアラ還の面白い響きを題材に「これから四方山話に登場させよう」と思っていた矢先の日曜日(5日)、そのアラ還の“還”に関連して子供たちから思ってもみなかった、そして感激のプレゼントをもらった。「少し早いけど還暦の祝いだよ!」と言って渡された包みを見て驚いた。以前から、いつか手に入れたいと思っていた物ではないか。「エッ、これ前から欲しいと思っていたやつだ!」と思わず大きな声が出てしまった。包みを開けながら、余りの嬉しさに半調子ほど上ずった声で「何で分かったの?」と訊くと、以前から私の行動を見ていたら「これがきっと欲しいのだろうな」と分かったという。流石我が子だ。以心伝心とはこういうことを言うのだろうか。もう、本当にビックリ仰天だ。我が子ながら人間観察の鋭さに感心するとともに、四人の心遣いに涙腺も緩みがちだ。

妻の話では、このプレゼントを知らなかったのは私だけで、今年の正月明けからの計画だったという。そんな嬉しい計画を相談しているとは露も知らなかった。素敵な子供たちに感謝だ。思いもよらぬ、そして何よりのプレゼントに感激して、布団に入ってもなかなか寝付けない。明かりを消して目を瞑ると、子供たちが小さかったときのことが走馬灯のように甦ってきた。

 

思い起こせば、長男が小学校に入学したころから、父の日や母の日には何やかやとプレゼントをしてくれていた。最初のころは折り紙や歌といったお金の掛からないプレゼントばかりだったが、やがてお小遣いがもらえる年齢になってくると、その中から買ってくれるようになった。その原資となる「お小遣いは」と言えば、次女の記憶では4年生から貰えるようになり、月に500円だったという。そんな僅かな小遣いの中から、消しゴム付の鉛筆を1本とか、B5版のノートを1冊とか、彼らが考えられる限りの品物の中から、しかも買える範囲で、ささやかなプレゼントしてくれていた。決して高価なものではないけれど、もらった時の嬉しさは格別だった。その後お小遣いの額が僅かずつ増え、全員が中学生以上になった頃には、鉛筆や消しゴム、ノートを卒業し、旅行用のネクタイケースなど仕事でも使える物に変わって行った。中には、15年ほど前にもらったシャーボ(シャープとボールペン)のように、今でも会社のペンたてに納まり現役の第一線で活躍している物もある。

就職し始めた頃には、“メタボ対策に”ということなのだろう、足踏み健康器(ステッパー)をプレゼントされた。その数年前には、腰痛対策用の腰当エアークッションをもらったことがあるから、もうこのころから、“感謝”のプレゼントから“労わり”のプレゼントに変わってきていたのかもしれない。そう言えば、私たち親から子供たちに誕生日プレゼントを渡さなくなった当たりから、親の健康を気遣うようになっていたようだ。こうやって振り返ってみると、知らない間に成長していたのだなぁ、と気付かされる。正直、少し寂しい気持ちもするが……。

 

子供たちからのプレゼントと言えば、この話を忘れてはいけない。まだ末っ子の次男がお小遣いを貰えないころ――多分、幼稚園の年長さんの頃だったと記憶している――、今でも私たち夫婦の記憶に鮮明に残っている、それはそれは素敵なプレゼントを、貰ったことがある。3人の兄や姉たちが私にプレゼントを渡すのを見ていた彼は、お金が無くてプレゼントが買えなかったことを「どうしようか」と思い悩んでいたに違いない。小さな頭で一生懸命考えたのだろう。暫く考えて、「ボク、超ウルトラチュッチュでいい?」と訊いてきた。「いいよ」と答えると、突然抱きつきながら「超ウルトラチュッチュ!」と言って頬っぺたにキスをしてくれたのだ。子供たちが幼かった頃の話になると、必ず出る、我が家取って置きの話題だ。当時を思い出すと今でも暖かい気持ちになれる。何も換えがたい、そんな素敵なプレゼントだった。

しかし、こうやって振り返ってみると、親よりも子供たちのほうが親のことを思いやっているのかも知れない。今回のプレゼントでも……。改めて、子供たちに感謝である。アリガトウ!

【文責:知取気亭主人】

 

コブシ
 

 

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