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2009年4月15日
4月12日、我が家で初めての結婚式・披露宴を経験した。長男の結婚である。これまで、司会の大役を仰せつかった友人の披露宴も含め、独身時代から数えれば十指に余るほど出席してきたが、どれもこれも招待される側で、言ってしまえば気楽に参加できる式である。義理の弟や甥や姪の結婚式にも出席したが、結婚が決まってから式当日までの"あれやこれや"は、当然のことながら手も気も煩わすことは全くなかった。したがって、我々夫婦が新郎新婦として皆さんに祝ってもらった式以来、久しぶりに結婚式・披露宴を執り行う側に立ち、"あれやこれや"の雑事に接することとなった。接してみると、30年前に挙げた我々の披露宴と比べると、随分と趣向を凝らしていることが良く分かる。それが本人たちの希望した演出なのか、式場の企画なのかは別にして、如何に出席者を楽しませるかが良く考えられている。その分、本人たちの企画への参加がかなりあったとみえる。
結婚することが決まり、晴れて式を挙行するまでの長男の行動を見ていると、今時の披露宴事情が見えてくる。我々のころは要点だけを取り決めれば、後は式場任せだったのだが、最近は式場との打ち合わせが――多分そうだと思うが――結構頻繁にある。そして、本人たちの関わりが求められているようなのだ。その一方で、以前に比べると随分と明朗会計になったようで、サービスの一つ一つの単価がハッキリと示されていて、自分たちでできることも結構ある。例えば、経費削減をするため、「招待状の宛名書き」は妻の役目となった。同様に「席次表」も、長男本人が作成することになった。尤も、長男の場合は、経費削減の目的よりも作る楽しみを味わうための方が、強かったようだ。それでなくても帰りが遅い仕事なのに、深夜遅くまで作っていたのを見ると良く分かる。しかし、自分で席次表を作成したことで、出席者への感謝の念が強まったのか、奇をてらうような奇抜な演出はなかったが、気配りの演出が随所にちりばめられていて、親が言うのもなんだが大層良い披露宴になった。
まず、席に着くなり目に飛び込んできた手書きのメッセージに驚いた。そこには、長男直筆の言葉が書かれていた。親兄弟だけかと思っていたら、どうやら二人で出席者全員に認めたらしい。出席者一人ひとりに60〜80文字ほどの文章を書くだけでも大変なのに、各々違うメッセージを考えるとなると尚更大変だ。良く頑張ったものだ。「結婚式の準備があるから」と借りたアパートで連日深夜まで作業していたのは、こんな準備をしていたのだと、当日にやっと気が付いた次第である。
また、「決して涙は見せまい」と臨んだのだが、今時の演出はそれを許してくれないらしい。宴の〆で思わず"ウルッ"としてしまうような嬉しいプレゼントを貰った。誕生したときの"可愛い足形"と今の"デッカナ足形"を並べ、それにメッセージを添えて額に入れ、各々の両親にプレゼントしてくれたのだ。10cmにも満たない小さな足形の横に、28年間で3倍ほどビッグに成長した足形が並んでいるのには驚かされるが、こんなにも小さかったと思うと万感のお思いが駆け巡ってきた。こんな素敵なプレゼントをしてくれるなんて、親が知らないうちに"足"以上に"心"も成長していたようだ。
そういった気配りは、どうやら二人の類まれな性格と趣味によるところが大きい、と私は見ている。いつごろからそんな趣味があったのか、3年ほど前の卒業謝恩会で突然弾けて家族も知ることになったのだが、息子は人前でお笑い劇を披露したりドジョウすくいを踊ったりと、人を楽しませることが人一倍好きらしい。ではお相手となる新婦は、というと実は新郎の上を行くほど人を楽しませることが、これまた大好きなのだ。似たもの同士とはよく言ったもので、新郎新婦揃って、良く言えばサービス精神が旺盛、有り体に言えば目立ちたがり屋なのだ。
職場結婚の二人は揃って同じ劇団に入っていて、長男は劇団唯一の男優にも拘わらず、派手な化粧を施し110pを越す豊満な胸をこれ見よがしに揺らして、黄門さま一行に助けられる町娘役を得意にしている。新婦もこれまた派手な化粧と衣装で、「よくもまあ、若い娘が!」と驚くような役を喜々としてやっている。親からすれば「これだけでも十分」と思っているのだが、二人にとってはこれだけでは飽き足らないらしい。新婦の友人と三人で大道芸のクラブに入ってしまった。今、修行中なのがドジョウすくいなのだそうだ。以前、町会の催し物に出演をお願いしたことがあったが、安来節に乗って踊るユーモラスな姿は、中々堂に入っていて観ているものを笑わせてくれる。勿論、参加者一同大喜びだった。
その愉快な仲間たちが披露宴に参加し、いつものドハデな衣装でお祝いの口上や、楽しい寸劇を披露してくれた。見慣れていた職場の上司や仲間も、遠くから駆けつけ初めて観た友人も、そして両家の親族も大喜びだった。おもてなしとして用意した料理の記憶は食べた先から忘れ去られていくが、二人の趣味の仲間が披露してくれたパフォーマンスは、ずっと記憶に残ってくれるに違いない。仲間がパフォーマンスをしてくれるとは以前から聞いていたが、最高のおもてなしだったよ、お二人さん!
最後に長渕剛の「乾杯」を号泣しながら歌い上げた弟、妹たちと、大合唱をしてくれた皆さんにも深く感謝したい。妻のアイデアによるこの大合唱で、新郎新婦は勿論、出席者全員の絆も一体となった気がする。披露宴の最後を飾るに相応しい素晴らしい歌声だった。出席していただいた皆さん、本当にアリガトウ!
【文責:知取気亭主人】
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枝垂桜 |
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