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2009年4月29日
金融危機で世界中の経済が痛めつけられているこの大変な時に、今度は生命を脅かす暗雲が再び世界に広がり始めようとしている。先週の土曜日(4月25日)、数年前から地球規模での危険性が喧伝されてきたパンデミックに関連して、チョッと心配な情報が世界を駆け巡った。メキシコで1300人を超す人たちが豚インフルエンザウィルス(H1NI型)に感染したのではないかとの疑いが持たれ、多数の死者も出ているというニュースだ。また、お隣のアメリカでも感染が報道されており、11人から豚インフルエンザウィルスが検出されたという。4月26日19時の時点で、アメリカで死者が出たとの発表はないものの、メキシコでは81人が死亡し――その後も増え続け28日朝のニュースでは死者は100人を越えた――、このうち20人からウィルスが検出されたという。幸いにもアメリカの感染者は症状が軽いというが、"豚から人への感染"ではなく、既により人に感染し易くなった形に進化していて、"人から人への感染"が疑われている。
メキシコの患者や死亡した人たち全てから豚インフルエンザウィルスが検出されたかどうかはまだ検査中だが、仮に全ての人たちから検出されたとすれば、新型インフルエンザの脅威が叫ばれ始めてから、いちどきの発症数としては一番多いことになる。そんなこともあって、このまま感染が広がりパンデミックへ一気に突き進んでいくのではないか、と世界各国は警戒を強めている。世界保健機構(WHO)も、今の危険度を "動物から人への感染" のフェーズ3から"人から人への感染"のフェーズ4に引き上げる、かの検討に入った。26日の時点では「もう少し正確な情報を収集してから」ということになったようだが、メキシコ、アメリカ以外の国々でも感染者の報告が相次ぐようになり、27日に「フェーズ4」への引き上げを発表した。パンデミックへの危険度は確実に増している、と言って良いだろう。
しかし、「豚インフルエンザ」とはあまり耳にしないウィルスだ。元々、パンデミックを引き起こす最右翼と目されていたのは高病原性鳥インフルエンザウィルスH5N1型であるが、今回の豚インフルエンザウィルスも人にとっては新型のインフルエンザウィルスであることに違いない。そうなると、気になるのが感染力やその毒性などだが、NHKのニュースによれば、人が感染するA型インフルエンザと同じタイプであることから、感染力は通常のインフルエンザと同程度だという。したがって、むやみやたらに心配することはないようだ。今のところ、"手洗い"と"うがい"の励行、そして人ごみの中での"マスク"の着用、といった通常言われている風邪やインフルエンザに対する予防を実行しておくことが一番の対策だろう。つまり、平静に対応することだ。
ただ、人や物の移動がグローバルに行われている今の時代、感染が世界に広がるのは時間の問題であることも事実だ。この四方山話を書き始めた26日も、それまで感染報道がなかったカナダでも夜のニュースでは感染者が見つかったと報道されており、28日の朝のニュースではヨーロッパでも感染者が出ているという。インターネットでは、お隣の韓国でも感染の疑いが持たれる患者が出ているというニュースが流れており、一気に広がる様相を示している。したがって、日本ではまだ感染の報道がないからパンデミック宣言が出されてから対応しよう、などと呑気なことを言わないで、"マスクの着用"と"手洗い"、そして"うがい"を積極的に行うことだ。とにかく、先手、先手の対応が大事に至らずにすむ秘訣だ。
中国で紀元前に書かれた「春秋」には、先手、先手の大切さを唱えている有名な文章がある。良く知られた「備えあれば患いなし」だ。原文では、次のように書かれている。
居安思危 思則有備 有備無患
(安きにありて危きを思う 思えばすなわち備えあり 備えあれば患い無し)
つまり、「何もない平穏無事なときにこそ襲いくる危険性を考え、備えをしておくことが大切だ」と言っているのだ。まさにその通りだ。豚インフルエンザに対しても、慌てず騒がず、けれども確実に予防対策をしておくことが、大事に至らない何よりの備えである。
さあ、外から帰ったら「手洗いとうがい」を忘れずに! そして、出張の時にはマスクも忘れずに!
【文責:知取気亭主人】
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タマキンポウゲ |
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