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2009年6月24日
私が住む金沢は14時間40分。札幌で15時間23分、遥か南の那覇では13時間48分。これ何の時間かお分かりだろうか。これは、昼の長さが一番長い「夏至の日」にお日様が出ている時間、つまり"日の出"から"日の入り"までの長さだ(国立天文台 暦計算室 [こよみの計算]による、http://www.nao.ac.jp/koyomi/koyomix/koyomix.html)。一年中で昼が一番長い「夏至」、今年は日曜日の21日がその日に当たる。
「夏至」に限らず、北と南とでは「日の出、日の入りの時間」などに違いがあることは知ってはいたが、こうして数字を並べてみると、思っていた以上に長い時間太陽が出ていることや、直感的に3都市の中では一番長いと思われがちな南の那覇が、――よく考えれば当然のことなのだが――実は北の札幌よりも1時間25分も逆に短いことに驚かされる。もっと驚かされるのは、「きっとどちらも同じくらいの差だろう」と思っていたのに、「日の入り時間」の方は3都市とも10分以内の差でしかなく、「日の出時間」だけに大きな差があることだ。因みに、北の札幌は3時55分、金沢で4時35分、南の那覇では5時37分が「日の出時間」となっていて、札幌と那覇の差は1時間42分もある。実に、太陽が出ている時間(1時間25分)以上に差があるのだ。
こうやって自分事として調べてみると、知っているつもりになっている事柄でも、新たな発見が結構見つかるものだ。夏至のように良く知られたイベントでさえこうだ。ましてや公にしろ、勝手にしろ「○○記念日」とつけられている記念日については、あることすら知らない記念日の方が多いことを考えると、新たな発見だらけに違いない。こんな書き方をするのも、ある記念日を「是非作ってほしい」と考えているからだ。
先週、知人から携帯に謎めいた電話が入った。最初は話が見えなかったのだが、よくよく聞いてみると、ある植物に関して注意を喚起する内容の話だった。以前――今では使用禁止になっているが――、法面などの緑化用としても使用されていた植物に「オオキンケイギク」という種類があり、それが「特定外来生物」として指定されている、というものだった。
外来生物と言われれば、時々ニュースソースになる「アメリカザリガニ」や「カミツキガメ」、「アライグマ」、あるいは「ブラックバス」や「ブルーギル」などが直ぐに思い浮かぶ。また、今年になって激減が報道されているミツバチのうち「セイヨウミツバチ」もその仲間に入るし、小動物のアリや蛛などにも外来生物として知られるものもある。植物では、至る所で猛威を振るっている「セイヨウタンポポ」や「セイタカアワダチソウ」などが一般には知られているところだ。中国から伝来した「サツマイモ」も、広義の意味では外来生物といえるのかもしれない。
そういった外来生物の中でも「特に日本の在来種に大きな影響を与える」として、今から4年前の2005年(平成17年)6月1日に施行された「特定外来生物による生態系に係る被害の防止に関する法律(通称:外来生物法)」によってその取り扱いが規制されている生物が、「特定外来生物」と呼ばれるものだ。2009年2月現在、動物、植物合わせて148種類も指定されている(環境省:http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html)。その中に、我々の仕事に深く関わっていた「オオキンケイギク」が含まれているというのだ。
私も知らなかったのだが、この法律では指定された「特定外来生物」について、
@ 飼育や栽培、運搬・保管・輸入の禁止
A 野外に放つ、植える、蒔くことの禁止
B 許可を受けていない者に対して、譲り渡し、引渡し、販売することの禁止
などの規制があり、これに違反すると個人の場合でも「懲役3年もしくは300万円以下の罰金」などという重い罰則が課せられることになる。確かに、法律を破れば罰則が課せられるのは仕方がないことだ。しかしそれは、「特定外来生物」であることを知った上で違反していれば、の話だ。しかし、動植物に関心のある人でなければ、いったいどれだけの人が「特定外来生物」について知っているのだろうか?
頻繁にニュースに登場したりその姿かたちが特徴的だったりする生物は別にして、名前を聞いただけでその姿を思い浮かべることができる人は極僅かしかいないだろう。かく言う私も、以前からちょくちょくニュースに登場している「カミツキガメ」や「ブラックバス」でさえ、実物を見たことがない。テレビ映像や新聞に掲載された写真のおぼろげな記憶が、唯一の頼りだ。ましてや、聞いたこともない生物を「これが△△だ」などと特定することなど不可能に近い。そうなると、「特定外来生物」とは知らずに飼育や栽培をしている一般市民も結構いるのではないだろうか。「オオキンケイギク」のように、見た目が綺麗で法律ができる以前から身近だった生物、となれば尚更だ。
それほど、「外来生物法」は国民に認知されていない、と感じている。我が家の家族も「ご多分に漏れず」だ。法律が施行された当時は、新聞やテレビもこの話題で盛り上がったのだろうが、今ではその面影もない。
そこで、「特定外来生物」の駆除を国民的な広がりにするためにも、「日本在来種の日」と銘打った記念日を是非制定してもらいたい。そして、記念日には大々的なキャンペーンを行い、写真入のパンフレットを作り一斉清掃をする町内会や学校に配るのだ。さすれば、国民の認知度は勿論、駆除の効率も格段に上がるはずだ。ただし、知らずに飼育や栽培していた人たちを犯罪者扱いするのは避けるべきだろう。
因みに、日にちは法律が施行された6月1日がお勧めだ。調べてみると、関連性のある記念日として5月22日が「生物多様性の日」に制定されているが、やはり知名度は低い。法律を作り罰則で縛るばかりでなく、多くの国民がもっと積極的に取り組める仕組みを真剣に考えるべきではないだろうか。
【文責:知取気亭主人】 |