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2009年7月1日
先週(6月24日)の四方山話で「特定外来生物」のことを取り上げた。書いては見たものの「あまり話題性のある内容ではないな」と思っていたところ、二日後の朝日新聞朝刊(6月26日、金曜日)に、メインキャスターとして登場させた「オオキンケイギク」と同じ外来植物のことが特集されていて、「まさか私の声が編集者に届いたのではないか?」と一瞬驚いてしまった。そんな事がある筈はないのだが、あまりのタイミングの良さにビックリだ。
記事の内容は、「どうして外来植物が増えているか」を、二つの方向から説明しているものだった。ひとつは、河川敷を中心に広まっている外来植物の繁栄要因だ。日本の河川は元々急流河川が多く、河川敷が度々洪水に見舞われていて、そのような環境では「多数の種子をばらまく在来種」の方が有利であったのだが、河川改修によってめったにしか洪水に見舞われない河川敷が増え、「大きな種子で水に浮く外来種」が有利になった、としている。
いまひとつは、人為的な施肥やコンクリートから溶出する塩類の影響で、土壌のpHが変わってしまった、というものだ。元々日本の土壌はpHが低く酸性土壌だと言われている。それが、施肥などの原因でpHが高くなり、そんな土壌に適した外来植物が増えてきているのだという。
どちらの説明もなんとなく合点がいくのだが、それでは、「オオキンケイギク」はいったいどちらの影響を受けて"はびこるようになった"のだろうか。種子のような気もするし、土壌のpHのような気もしないではない。二者択一ではなく、もっと他の理由もありそうな気もするし……。兎に角よく分からん!
そんな癇癪を起こす話でもないのだが、物言わぬ植物のこととて、明確な理由は定かでない。理由が定かでないといえば、今を盛りと咲いている「紫陽花」の色についてもそうだ。
紫陽花といえば、上の写真のようにピンクや青の花が色鮮やかに咲いているのを良く見かけるが、「酸性土壌だと青くなり、アルカリ性だと赤い花が咲く」と言われ、私もそう信じて疑わなかった。ところが、不思議なことに同じ株から青やピンクの花が入り乱れて咲いているものもある(左下の写真)。その上、右下の写真のように「土壌のpHなぞに影響されないぞ!」とでも言いたげな、白い紫陽花もある。そうなると、土壌のpHだけでは説明が付かなくなる。まさか、丁度中性だと白い花になる、という訳でもあるまいが、一体どういう加減でそうなったのだろうか。どうやらことはそう単純ではなさそうだ。
インターネットのご厄介になり調べたところによると、色が変化するのは土壌pHの問題だけではなく、細胞内のアルミニューム濃度が大きく係わっているのだという。赤色色素のアントシアニンがアルミニュームと結合すると青色になるらしい。ただ、アントシアニン以外にも発色に影響する補助色素などが係わっている、というから複雑だ。その上、開花から日数が経つにつれ色が変化することもある、などと言われると益々こんがらかってしまう。色々な色の花が見える左上の写真などはその部類なのかもしれない。いずれにしても、要因ひとつだけを取って、「この影響で色が変わるのだ」と断言できるものは今のところないらしい。土壌pHは花の色を決める要因のひとつではあるが、それが全てではない、ということだ。
それにしても植物でこれだけ花の色が変わるのは、他には朝顔ぐらいのものだろうか。「♪貴方好みの色に染めて……♪」とは詩の世界だけのことだと思っていたのだが、身近なところに意外な植物がいたものだ。
紫陽花は"七変化"とも呼ばれ、「男心と……」とか「女心と……」などと心変わりの比喩として使っていたような記憶もあるが、その花言葉は以外や以外、その逆だ。「辛抱強い愛情、元気な女性」が花言葉なのだそうだ。降りしきる雨にじっと耐え、色鮮やかな花を咲かせている姿に、そんな女性を重ねたのに違いない。或いは、開花から日数が経つにつれ色が変わるところなどに、女性の一生を垣間見たのかもしれない。すると、さしずめ土壌が男性に当たるのだろう。「土壌と植物」、この絶妙な関係に男女の機微を見た、とは少しキザかな?
【文責:知取気亭主人】 |