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知取気亭主人の四方山話
 

『のリピーの覚せい剤騒動に思う』

 

2009年8月12日

日本の司法史上初めての裁判員裁判が執り行われ、東京足立区の路上殺人事件で逮捕・起訴された72歳の被告に対し、懲役15年の判決が言い渡された。検察側の求刑16年に対し出されたその量刑にはいろいろな意見があるようだが、それ以外は大きな混乱もなく、無事新たな制度がスタートしたことになる。

4日間に亘る裁判は、「裁判員の構成は女性が5人で男性1人」、「初めて裁判員が質問した」、「2日目に女性が体調を崩し、補充裁判員の男性に代わった」などを含め、その様子はかなり細かに報道されていた。「何時自分がその立場になるか分からない」ということもあってだろう、国民の関心は極めて高かったようだ。報道各局もその当たりのところを理解していたらしく、珍しくしっかりと報道していたように思う。

 

ところが、芸能人の"のリピー"こと酒井法子に対し「捜索願が出された」、そして急転直下「覚せい剤取締法違反で逮捕状が出された」、続いて「逮捕された」との報道が流れると、「初めての裁判員裁判」は言うに及ばず「衆議院総選挙」をも隅に追いやり、のリピー関連がトップ記事に躍り出た感がある。一体、この軽さは何なんだろうか。

確かに美人ではあるし好感度の高いタレントではあるが、いち芸能人の、しかも他人に被害を及ぼしたものではなく全く本人の自己責任に帰する犯罪に、大の大人が「あーでもない、こーでもない」と議論を戦わしているのを見ると、「日本は平和だな」と言わざるを得ない。平和ボケの極みだ。「酒井法子被告が逮捕された」とのニュースが流れた翌日の9日(日曜日)、ふと見たテレビで正にその手の番組をやっていたのだ。長崎に原爆が落とされた日だというのに……!

 

一般人と違い、確かに、酒井法子は人気タレントだったかもしれない。その人気タレントが、夫の逮捕後行方不明になり、あろうことか本人まで逮捕されたのだ。ファンにしたら、それこそ転地がひっくり返るような大事件だったことは想像に難くない。ファンならずとも、有名人だっただけに驚いた人も結構沢山いただろう。そして、多くの日本人が事の成り行きに興味を持ったのも良く分かる。かく言う私も、会社や家で多少なりとも興味本位の話をしていた。しかし、結果が分かればそこまでで、それ以上のことを知ろうとも思わなかったのだが、日本のテレビはそれだけでは許してくれないらしい。

日本の行く末を左右するような、国家にとっての大事件ではないのに、長々と電波に乗せている。「何を考えているのだ。ばか者が!」と一刀両断にすれば事は済んでしまうのに、である。そう出来ないのは、テレビ局も含めた"業界の仲間意識"があるからなのではないだろうか。特に、出演者にとっては同じ仲間の芸能人が逮捕されたのだから、彼らにとっても人ごとではないのかもしれない。ひょっとしたら「明日はわが身」と戦戦恐恐としているタレントもいるのではないか、と"あらぬ詮索"もしてみたくなるほどだ。何しろ、今テレビでよく見かけるタレントの中にも、大麻や覚せい剤で逮捕された前歴を持つ有名人が結構いるのだ。その上、今も芸能人の逮捕者は後を絶たない。

最近大学生などの若者に薬物汚染が広まっている、と言われているが、そのことと芸能界の薬物汚染とが決して無縁だとは思われない。若者にとって華やかな芸能界は、憧れの的であるはずだ。若者が憧れの芸能人気取りで薬物に手を出しているとすれば、そうした誤った憧れを抱かせてしまう芸能界の罪は重い。

 

そういったことを考えるならば、一刀両断が出来ないまでも、せめて「どうやったら芸能界の薬物汚染を一掃できるのか」ぐらい議論して欲しいものだ。何かあると何時も言論の自由を標榜する報道であるのであれば、それぐらいの見識がテレビにあってもよさそうなものなのだが……。

勝手気ままに言わせてもらえば、いっそのこと、タレントを抱える芸能プロダクションは、大相撲の向こうを張って"抜き打ちの薬物検査"を行ったらどうだろう。テレビ局や、芸能人をコマーシャルに使う企業がやるのも効果がありそうだ。どちらにしても、"自分たちの業界を清浄化する取り組み"を真剣に考えるべき時期にきていることは間違いない。

テレビ局も興味本位の番組作りをするのではなく、もう少し高い視点での捉え方が不可欠だ。そうしなければ、やがて視聴率は下がり、終焉を迎えるのもグッと現実味を帯びてくる。

【文責:知取気亭主人】

 


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