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知取気亭主人の四方山話
 

『男の美学』

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2009年9月30日

いよいよ鳩山政権がスタートした。ひと月前の衆議院選挙で自民・公明の連立政権にノーを突きつけた国民に、大いなる期待と一抹の不安を抱かせての船出である。新政権には日本の舵取りをしっかりとやってもらい、「日本で暮していて良かった」と我々国民が世界に向かって胸を張って言える様な、そんな国にしてもらいたい。そのためには、「私利私欲のために」ではなく、「国民のため、国のために」を基本に据える政治家や官僚に活躍してもらうことが一番だ。

そういった意味では、新政権になってまだ国会が開催されず、楽しみにしている野党との論戦がお預けの状態であるため、本当にしっかりとした舵取りが出来る政権なのか、まだ見えていないところがあるのも正直なところだ。しかしながらこれまでのところ、連立政権ゆえの課題や多少の問題が浮き彫りになってきてはいるものの、「マニフェストで公約した通り政治主導が動き始めた」と実感している。特にニュースで登場する各大臣の言動は、「これまでの政府と違い、何かが変わり始めている」とハッキリと感じさせてくれており、順調な滑り出しと言っていいだろう。

 

また、鳩山首相の国際舞台へのデビューも順調だった。国連での演説を始め、ピッツバーグで開かれた金融サミットでの演説など、ともすると世界の中で埋もれがちであった歴代首相と比べると、これほどまでに各国首脳に好意的に受け取られたことは記憶にない。CO2の対1990年比25%削減、という画期的な―― 一部には無謀と言われている ――目標を世界に向けて宣言したことも大きいだろうが、「日本の存在感を世界に示したくれた」という意味に於ては、久し振りに胸の空く思いをさせてくれた。

麻生前首相の失言や一国の首脳とは思えない軽はずみな言動、あるいは嘲笑をもって世界に伝えられた中川昭一元財務・金融大臣の酩酊会見など、「経済一流、政治は三流」とか「経済三流、政治は五流」と世界から揶揄された通りだった前政権とは雲泥の差ではないか、と感じている。それは、私ばかりでなく、今回の総選挙で自民・公明の連立政権を支持した人達の中にも沢山いるのではないだろうか。

 

一体、鳩山首相と麻生前首相ではどこが違うのだろうか。少し古めかしい言葉で言わせて貰えば、「男の美学」が感じられるかどうかではないか、と思っている。「確固たる信念」と言い換えてもいいのかもしれない。まだスタートしたばかりで、この先どう転ぶか分からないことも重々承知で敢えて言わせてもらえば、自らの言葉で自らの思いを伝える、その事に鳩山首相の男の美学を感じているのだ。ところが、残念ながら麻生前首相には、それが感じられなかった。

郵政民営化に絡み「本当言うと、私は反対だったんだ」と国会で臆面も無く答弁したように、「自らの立場を守る事を主眼においている」と感じさせる言動が多かったのも事実だし、首相として最後のぶら下がり記者会見で、記者の質問に対し「アッそう、あなた、裏を取っているの?」などと答えた映像は、まるで子供の逆切れと同じだ。ニュースを見ていた人の中には、呆れた人も沢山いたことだろう。あれでは、男の美学どころの話ではない。

男の美学とは、戦後の混乱期に吉田首相の下で活躍した白洲次郎が良く使っていたとされる言葉、「プリンシプル」と合い通じるものなのかもしれない。あるいは、知らず知らずのうちに染み込んだ「武士道の精神」なのかもしれない。いずれにしても、その人の根底にある「ぶれない考え方」とでも言えるものだ。敗者に追い討ちを掛けるのは、それこそ「武士道」に反することなのかもしれないが、麻生前首相にその「男の美学」を感じなかったことは、紛れも無い事実だ。

 

話は大きく飛んでしまって申し訳ないが、26日(土曜日)に総合格闘技のK-1が放映されていた。その中で、引退を掛けた武蔵選手の試合が行われていたのだが、試合内容は兎も角として、「負ければ引退」と心に決めて臨んだ武蔵選手の闘う姿に男の美学を感じたのは私だけではあるまい。勿論、その外の選手たちが試合後に見せるお互いの健闘をたたえあう姿も、すがすがしいものだった。このように、男の美学とは後にすがすがしさを感じるもの、と私なりに解釈している。そういった意味では、残念ながら麻生前首相にすがすがしさを感じることはなかった。では、鳩山新首相は? 国連で演説する彼を見ていて、私はすがすがしさを感じたのだが、皆さんは如何だっただろうか。

鳩山首相には、大いなる期待を込め、今私が感じている男の美学をこれからも持ち続け、是非「暮しやすい日本」の実現に向けての舵取りをしっかりやっていただきたい。そして一日も早く、「経済一流、政治も一流」と世界から称賛される国にしてほしいものである。本当に頼みますよ、鳩山さん!

 

なお、白洲次郎に興味のある方は、彼の人となりが良く分かる、白洲次郎著「プリンシプルのない日本」(新潮文庫)の一読をお勧めする。痛快な物言いが心地よい本だ。

【文責:知取気亭主人】

 


『プリンシプルのない日本』

【著者】白洲 次郎


【出版社】 新潮文庫
【ISBN】 978-4-10-128871-0
【ページ】 295p
【サイズ】 15 x 10.7 x 1.3 cm
【本体価格】 \500(税込)
 

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