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知取気亭主人の四方山話
 

『眼力』

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2009年11月11日

ついに、とうとう、やっと、我が愛しの"ゴジラ"が吼えた! 皆さん知ってのとおり、アメリカ大リーグのニューヨークヤンキースに所属する松井秀喜選手が、先に行われたワールドシリーズで大活躍し、チームを9年ぶりのワールドチャンピオンに導いた。そして、自身も見事に最優秀選手(MVP)に輝いた。ワールドシリーズでのMVP受賞は、日本人選手として初の快挙だ。加えて、指名打者(DH)での受賞も大リーグ史上初めてだという。兎にも角にも、凄いことをやってくれた!

昨年のリーマンショック以来、ともすると暗い話や陰惨な事件・事故のニュースばかりが飛び交っている中で、久し振りに小躍りするような嬉しいニュースだ。特に、松井選手が石川県出身だけに、我々石川県民の喜びもひとしおだ。

 

優勝を決めた第6戦がヤンキーススタジアムで行われていた11月5日(日本時間、木曜日)の夕方、知人と金沢のホテルで待ち合わせしていたのだが、ロビーのソファーに座り隣の人が読んでいる新聞にフト目をやって驚いた。第一面にデカデカと、"松井選手大活躍"が写真入で報じられているではないか。ホテルに行く車の中でカーラジオから流れてくるニュースを聞いていたので、「八面六臂の大活躍」も「MVPの受賞」も知ってはいたのだが、「新聞に載るのは明日の朝刊だろう」と思っていただけにビックリだ。しかも、「これでどうだ!」と言わんばかりの見出しは、強烈で思わず引き込まれていく。

「夕刊の締め切りは昼頃だと聞いていたが、良く間に合ったな」と勝手に夕刊だと解釈していたのだが、良く良く見ると夕刊ではなく地元新聞の"号外"だ。号外であれば、間に合ったのも合点がいく。しかし、いくら大リーグでのMVP獲得とはいえ、"号外"とはさすが地元新聞だけのことはある。というよりは、「石川県出身者の中で一番の有名人、ヒーローである」ということが、"号外"まで発行させた本当のところなのだろう。

それは兎も角として、2006年に左手首を骨折して以来、毎年怪我のためにシーズンを通して出場することが出来なくなり、いつもスポットライトを浴びているイチロー選手に比べると影が薄かっただけに、この時とばかりに"号外"を出したくなる気持ちも良く分かる。これで、地元ファンもやっと溜飲を下げることが出来たに違いない。しかも、最近は「松井不要論まで飛び出している」という嫌な噂が届くようになってきていただけに、少しほっとしているところでもある。それだけに、今回の大活躍はチームやヤンキースファンにその存在をアピールするには最高のパフォーマンスになった筈だ、と固く信じている。

 

ところが、ことはそう簡単ではないらしい。「これで、球団は彼を放出することは無いだろう」と思っていたのだが、若返りを図りたいチーム事情からすると、35歳の松井は最早下り坂の選手と見られていて、「例えこれだけの活躍をしても、やはり放出されるだろう」との厳しい見方もあるらしい。そんな報道の一方で、「来期も松井は必要だ」と嬉しいラブコールを送ってくれるヤンキースファンの声もあるという。一体、どちらの声が大きいのだろうか。私としては、折角大リーグに行ったのだからこのままヤンキースに残り、「1度で良いから何か打撃のタイトルを取ってほしい」と願っているのだが……。

それにしても、我々ファンが気になる「彼の能力を正当に評価してくれる眼力」を持っているのは、球団関係者、それとも目の肥えたファン、一体どちらなのだろうか? しっかりと的確に判断し、これからも我々ファンがその活躍に喜び、自慢できるような状況を作り出してくれるのなら最終的にはどちらでもいいのだが、それにしても気になるところだ。我々ではどうすることもできないだけに、結論が出るまでの間は、他人事ながらヤキモキさせられる事になる。

 

他人の能力を評価するのは本当に難しい。齋藤孝の「眼力」(知的生きかた文庫、三笠書房刊)によれば、「眼力とは、その人物の本当の力や可能性を見抜ききる総合的な判断力」と説明されている。確かに言葉としてはもっともな説明ではあるが、中々そんな総合的な判断力を持った人はいない。ましてや、敵と戦うスポーツの世界では、体調は勿論、相手との相性や得手不得手等があり、選手の力を見抜ききるのは至難の業だ。そこで重要になってくるのが、齋藤孝も言っている「何に着目するか」である。

例えば、今年の松井選手が最後の最後で見せてくれた「ここ一番での勝負強さ」に着目すれば、同僚のスーパースター"Aロッド"よりも松井が上だ、と私は思っている。また、「打点」に着目しても、毎年100打点前後を確実に記録しているそのチャンスに強い打撃は、チームの中でもかなり上位に行く筈だ。ただ、残念ながら「年齢からくる将来性」になると、若手に劣るのは間違いない。このように、「どういったチーム作りをしたいか」によって重視する着目点が変わる。ということは、どうやらファンよりもチームの眼力に分が……。

そういえば、野球選手ではないが、私の大好きなジュビロ磐田の"ゴン中山"が戦力外通告を受けた、と昨日の新聞(11月10日)に載っていた。42歳だという。彼の場合、「ファイト溢れるプレーで、仲間を鼓舞しチームの雰囲気をガラッと変えることができる」に着目すれば、まだまだ一線級だと思うのだが……。

【文責:知取気亭主人】

 


『眼力』

【著者】齋藤 孝


【出版社】 三笠書房
【ISBN】 978-4837977001
【ページ】 205p
【サイズ】 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
【本体価格】 \560(税込)
 

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