2009年12月23日
いよいよ今年最後の四方山話となった。一年の長さは年齢分の一だとか。60の声を聞いたこともあってか、今年は一段と早かった。決まり文句で言えば、アッという間であった。そんな一年を振り返ってみると、今年も色々な出来事が沢山あった。中でも、8月の衆議院選挙で民主党を選択し、長年続いた自民党政権にノーを突きつけた画期的な出来事が、ベストワンだろう。日本丸の舵取りを、期待を持って民主党に任せたのだが、3ヶ月を過ぎた今、どうも期待通りの航海となっていない。行き先が闇に包まれたままだ。「緩やかなデフレ状態にある」との景気判断も出され、しばらくは雇用不安も解消されそうにない。
しかし、そう悲嘆に暮れてばかりもいられない。新しい年を新たな気持ちで迎えるためにも、昨年同様一年間書き綴った「四方山話」を紐解いてみることにする。楽しい話題も思い出したくも無い話題も多々あるが、例年通り印象深い出来事を拙い狂歌で振り返ってみたい。
鳥よりも 豚が流行った 新種鍋 奉行迷って 食えぬは庶民
豚インフルエンザが世界的に流行し、世界保健機構はついに新型インフルエンザの世界的大流行を意味する「パンデミック」を宣言した。しかし、流行したのが恐れていた強毒性の鳥インフルエンザではなく弱毒性の豚インフルエンザであったことが幸いして、水際作戦と称した初期の頃は別として、大混乱に陥ることも無く時間が経つにつれ多くの人が冷静に対応している。年少者や糖尿病などの既往症がある人を除けば、比較的症状も軽く致死率が低いことも、冷静に対応できている大きな要因だ。
ところが、ワクチンの接種を巡り厚生省の方針が中々定まらず、国民や現場の医療関係者はヤキモキさせられた。厚生省の中に、「パンデミックなど起こらないさ」に近い思い込みがあったのではないだろうか。余りにも対応が遅いし、お粗末だ。
必殺を 凌ぐ人気の 仕分け人 裁き見せられ 地団太自民
民主党政権になり、来年度の予算要求の無駄取りをすることを目的とした「事業仕分け」が、国民に全面公開の下行われた。これにより、これまで国民には全く見えていなかった予算要求のプロセスが、ほんの一部ではあるが見えてきた。インターネットにも公開されたお陰で、仕分けの現場にいなくても、国民に隠してきた――そう感じていて欲しい――“後ろめたい予算”の中身が透け、無駄な事業を知ることができた。
「仕分けの俎上に載せた事業選定に問題がある」とか、「仕分け時間が1時間では短い」とか、果ては「スーパーコンピューターの開発予算をカットするとは何事か」とか、色々な意見もメディアを賑わしている。しかし、例え激しくとも、色々な意見が交わされるのは良いことだ。しかも。国民目線であるところがまた良い。これも、「事業仕分け」の効果だろう。
この国民的な盛り上がりを見た自民党の先生が、「何故我々の政権のときにこれをやらなかったのだろう」と、地団太を踏んで悔しがったという。確かに、それが出来ていれば、あれほど大敗することはなかっただろう。
秋の宴 吠えて主役を するゴジラ 天使になって ディズニーデビュー
WBCでの日本の優勝やイチロー選手の9年連続200本安打達成、あるいは巨人の日本一など、今年も野球に関する大きな話題がいくつもあった。その中でも、石川県民を大いに喜ばしてくれたのが、秋(10月末~11月初め)に行われたワールドシリーズでMVPを獲得した松井選手の大活躍だ。
2006年に左手首を骨折してからというもの、怪我に泣きシーズンを通して活躍することが無かっただけに、ファンとしては胸の空く思いだった。しかも、「ヤンキースには不要だ」との声が出るようになり、ヤキモキしていたときだけに残留の可能性が高くなったと安堵していたのだが……。
結局、12月に入り、ディズニーランドのあるカリフォルニア州アナハイムを本拠地とするエンゼルスへの移籍が決まった。これで、同じアメリカンリーグ西地区のマリナーズに所属するイチローとの対戦が増えることになる。これも楽しみだ。いずれにしても、新天地でのこれまで以上の大活躍を期待したい。因みにエンゼルスとは、ロスアンゼルスの地名の由来である「天使たち=the
angels」から名付けられたという。天使の一員となった松井を早く見てみたいものだ。
しばらくは 飛ばしてみるか 新種鳩 宇宙人でも 仕方があるめぇ
今年一年を表す漢字として、「新」が選ばれた。「新型インフルエンザ」に「新政権」などなど、振り返ってみると、確かに今年は新しいものが目立った年であった。中でも、8月の総選挙で新しい第一党に選ばれた民主党を中心に発足した新政権は、「脱官僚」を公約に掲げ、新鮮味に溢れ期待もしていた。
「次官会議」の廃止や「事業仕分け」など、鳩山新政権が実施しているこれまでにない試みにより、「経済一流、政治は三流」などと揶揄され続けている日本の政治がよい方向に変わるのではないか、と大いなる期待を抱かせた。ところが、発足後3ヶ月が経ち、明るく見えた日本丸の周辺に、俄かに暗雲が垂れ込めてきた感がある。普天間基地問題然り、歯止めが効かぬデフレ然り、一向に改善されない経済状態然りである。難問山積だ。
とは言うものの、まだ3ヶ月がたったところである。心配が無いわけではないが、我々国民が選んだ以上、もう少し長い目で見て任せるしかない。誰が言ったか、鳩山首相を称して「宇宙人」と呼ぶようだが、例え宇宙人であっても我々国民は一向に構わない。ただし、日本のことを最優先に考えて集団を引っ張ってくれれば、の話だが……。
今年も何とか休刊することなく、年末を迎えることができました。これもひとえに、拙い文章にお付き合いくださる皆様のご声援の賜物と深く感謝しております。本当にありがとうございました。皆様にとって迎える年が素晴らしい一年になりますように、そしていさぼう会員皆様のご多幸とご健勝を祈念して、四方山話2009年の締めと致します。
【文責:知取気亭主人】 |