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2010年1月20日
今年も1月17日がやってきた。15年前の1995年1月17日未明、6,434人もの命を奪ったあの阪神淡路大震災が発生した日だ。テレビ画面から流れてくる"黒煙を上げて燃え広がる街並み"や"近代構築物がもろくも崩れ去った恐ろしくも無残な姿"に釘付けになり、日本中が地震の怖さを再認識させられた日でもある。私も、この目で見たあの忌まわしい光景を決して忘れることはないだろう。そして、あの日以来、世界各地で大地震が多発するようになった、と思えてならない。
「近代都市でも甚大な地震災害を被る」ということを皮肉にも実証することになってしまった阪神淡路大震災、あの出来事が引き金になったのか、まるで無分別な開発に警鐘を鳴らすかのように、日本を始め世界各地で毎年のように大きな地震が頻発し、悲しいことに数多くの犠牲者をだしている。下に示したように、2000年以降に大きな被害を出した主だった地震だけを列挙してみても、こんなにも起こっていたのかと驚かされる(「理科年表」より抜粋、一部加筆)。
2000年6月4日、インドネシア・スマトラ島(M8.0、死者103人(90人の説もある))
2001年1月13日、エルサルバドル/グアテマラ(M7.8、死者852人)
2001年1月26日、インド/パキスタン(M8.0、死者20,023人)
2001年6月23日、ペルー/チリ(M8.2、死者139人)
2002年3月25日、アフガニスタン(M6.2、死者1,000人)
2003年5月21日、アルジェリア(M6.9、死者2,266人)
2003年12月26日、イラン(M6.8、死者43,200人)
2004年10月23日、新潟県中越地震(M6.8、死者68人)
2004年12月26日、インドネシア・スマトラ島沖地震(M8.8、死者283,100人以上)
2005年3月28日、インドネシア・スマトラ(M8.4、死者1,303人以上)
2005年10月8日、パキスタン・カシミール(M7.7、死者86,000人以上)
2006年5月26日、インドネシア・ジャワ(M6.2、死者5,749人以上)
2007年8月15日、ペルー(M7.9、死者514人以上)
2008年5月12日、中国・四川(M8.1、死者69,227人)
2008年6月14日、岩手・宮城内陸地震(M7.2、死者17人、行方不明6人)
2009年9月30日、インドネシア・スマトラ島沖地震(M7.6、死者約1200人)
2009年9月30日、南太平洋サモア諸島近海(M8.3、死者100人以上)
そして、年が明けたばかりの1月12日(日本時間13日)、カリブ海に浮かぶ島国ハイチでM7.0の大きな地震が発生した。1月19日朝のNHKラジオによれば、「ハイチではこれまで250年ほど大きな地震は無かった」という。ただ、ハイチはプレートテクトニクスでいう"北米プレート"と"カリブプレート"の境界付近に位置していて、基本的には地震の多いところだと考えられる。実際、前述のラジオからの情報によれば、首都のポルトープランス近くの活断層が年間7o移動していることをアメリカの学者が確認し、近々大地震が起こる可能性があると警告していたという。しかし、国連のハイチ安定化派遣団が駐留しているほど不安定な国情故に、政府による地震対策や防災の啓蒙など殆どやられていなかったらしい。また、250年もの長きに亘り大きな地震に見舞われていなかったとすれば、「住民の地震に対する危機意識は殆ど無かった」と言ってもいいだろう。そんな無防備な状態で激しい揺れに襲われたのだから、甚大な被害に見舞われていることは容易に想像が付く。しかも、首都のポルトープランスが壊滅的な被害を受け、政府機能が麻痺しているというから深刻だ。
ニュースに依れば、日本時間の19日現在、無政府に近い状態にあるということで正確な被害状況は把握されていないが、死者の数は5万人とも20万人ともいわれている。「ハイチは西半球で最も貧しい国」だというから、住居も耐震性の低い粗末な作りが多いのだろう。政府関係の建物の2階部分が潰れている映像からも、建物被害の深刻さがうかがえる。
台湾よりも更に南の北緯20以南に位置していて温暖であることがせめてもの救いだが、各国から派遣された救援隊の活動もままならないニュース映像を見ていると、被害の拡大が心配だ。また温暖故に、遺体の腐乱進行が早く、既に首都では捨てられた遺体の山が異臭を放っているという。一刻も早い救助が必要だが、国連を始めとする各国の救援隊が本格的に活動できるのは何時のことになるのだろうか。気が気ではない。
それにしても、「首都が壊滅的な被害を受け、政府による統治が機能してない」などということは、国家にとってはあってはならないことだ。だが、そういったことが戦争以外にも起こりうることを、今回のハイチ大地震は教えてくれた。では翻って、日本は大丈夫なのだろうか。
首都圏直下型地震が危惧されているにも拘らず、政治も経済も東京へ一極集中していることを考えると、日本の国家運営は余りにもリスキーだと言わざるを得ない。しかも、何年か前に新築されたガラス張りの首相公邸を見せられると、免震、制震、耐震、いずれかの技術を結集して造られているとは思うが、「被害は必ず受ける」という発想ではなく「被害は絶対受けない」という発想に危うさを感じるのは私だけではないだろう。
自然に対してもう少し謙虚になるべきだ。特に地震に対しては、度々甚大な被害を受けているだけに、ハードで対応できない分をソフトで対応すべきだ。リスク分散の観点からは勿論、地方の活性化という観点からも、以前議論されていた「首都機能の移転」を今一度真剣に考えるべきだと思っている。そして、早急に実行に移すべきだろう。
【文責:知取気亭主人】 |