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2010年2月3日
1月29日、総務省統計局から「住民基本台帳人口移動報告 平成21年結果」が公表された(http://www.stat.go.jp/data/idou/2009np/kazu/youyaku/index.htm)。住民票の届出に基づいて、「○○県から△△県に住民票を移した」といった都道府県間の移動や、同じ県内でも「◇◇市から××町に移り住んだ」など、人口の国内移動統計をまとめたものだ。以前の四方山話でも似たような話題で「人口の首都圏集中」を取り上げたことがあったが、公表された今回のデータを見ると、その傾向は今でも続いていることが分かる。
昨年1年間で転入の届け出を出した人数は約530万人、一昨年より約5万7千人、ピークだった昭和48年の約853万9千人からだと凡そ324万人も減っている。その内都道府県間の移動人口は約247万人で、一昨年に比べると約3万9千人減少しているそうだが、転入と転出のそれぞれトップテンを示した表-1で分かるように、移動人口は減っても首都圏への集中傾向は相変わらずだ。
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表-1 転入、転出のトップテン
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総務省統計局公表資料より抜粋
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見ての通り、「転入の上位10位」に「関東地方の5都県」が入っている。ここまでは想像通りであるが、よく見ると東京都と並び称された一方の雄"大阪府"が入っていない。そうなると少しばかり気になるのが11位以下だが、兵庫県以下には香川県、石川県と続き、大阪府は−2,273人で22位と低迷している。ただ、 "転入超過"となっているのは兵庫県までで、11位の香川県が―834人と既にマイナスに転じていることから、上表の転入トップテンを除く残りの37府県は全て"転出超過"ということになる。したがって、出産や死亡といった自然の増減を除けば、この10都県のみで人口が増えていて、しかもその内の半分が関東地方であることが分かる。
一方、「転出の上位10位」に名前を連ねるのは、3大都市圏から距離的に遠く離れた道・県が殆どである。11位に続くのが山形県であるから、北海道と東北6県のうち"宮城県"を除く全ての道・県が転出超過の11位までに顔を出していることになる。「人口の転出=雇用環境の悪化=経済の停滞」だと見なせば、如何に地方経済、特に生活環境の厳しい寒い地方の経済が疲弊しているか、想像がつこうというものだ。
また、「3大都市圏」という括りで人口移動を見てみると、首都圏集中傾向は一層際だってくる。東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を「東京圏」、また大阪、兵庫、京都、奈良の2府2県を「大阪圏」、そして愛知、岐阜、三重の3県を「名古屋圏」と定義しているそうだが、「東京圏」が大幅な転入超過(117,461人)であるのに対し、「大阪圏」が−8,555人、そして「名古屋圏」が−4,537人の転出超過となっている。「勝ち負けで論じるのは如何か」とは思うが、人口の転入出で論じれば、東京圏の一人勝ちであることは間違いない。
総務省が発表した平成20年10月1日現在の人口統計に依れば、日本の総人口は1億2594万7千人で、その内の凡そ27%強にあたる3,499万もの人が狭い東京圏に住んでいる。しかも増え続けている。北海道から沖縄まで凡そ3千キロにも広がる日本列島の中で、東京圏一極にだけ人が集まり続けていることなど、どこか歪んではいないだろうか。日本では、地方の特色ある発展など、どだい無理な話なのだろうか。
1月31日の日曜日、NHKスペシャルで放映された「無縁社会・3万2千人が孤独に死んでいた……」を見た。地方から東京に出てきて身寄りのないまま孤独に死んでいった人や、身寄りがあっても音信が途絶えていた人など、NHKが全国の自治体を調べたところ一昨年1年間で3万2千人もの人達が引き取り手のない無縁死だった、という悲しいドキュメンタリ番組だ。3万2千人の無縁死の中には身元不明が4千人近くもおり、これらの人は「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」と呼ばれ、官報に僅か数行で公告されるのだという。必死になって生きてきた人の最後が僅か数行とは、本当に居たたまれない。
無縁死となってしまった人達は特に単身者が多かったというが、地方から大都市に出て孤独な単身生活に耐え、最後は孤独死……。地方に残された高齢者もひとり住まいとなり、誰にも気付かれないまま孤独死……。
こんな短絡的な話ではないとは思うが、地方の特色ある発展があれば都会にでる必要も無く、こんな不幸な死に方も少なくなる、とは飛躍のし過ぎなのだろうか。
【文責:知取気亭主人】 |