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2010年3月17日
男の子の夢をかきたてる恐竜、その恐竜が突然絶滅してしまった原因にやっと決着がつき、以前から有力だと思われていた「小惑星衝突説」が国際的に認められたという。「今から凡そ6,550万年前に恐竜が絶滅した原因はやはり小惑星の衝突だった」と世界12カ国41人の国際研究チームが結論付けた、との記事が新聞 (3月5日、朝日新聞朝刊) に載ったのだ。
「小惑星衝突説」とは、当時は海だったユカタン半島(メキシコ)の先端付近に直径15キロほどの小惑星が衝突した、というものだ。小惑星といえども直径が15キロもあれば、その衝撃たるや凄まじかったに違いない。新聞記事に依れば、衝突の衝撃でマグニチュード(以下M)11以上の地震と高さ300mのとてつもない津波が起こった、と推定している。衝突跡には推定直径180キロ以上の「チチュルブ・クレーター」ができ、1千億トン〜5千億トンもの大量の"硫酸塩"や"すす"が大気中に放出されたと見られているらしい。
これまで観測された最大規模のチリ地震(1960年5月)でさえM9.5であることを考えると、想像を絶する破壊エネルギーだ。生物の6割が消滅したと見られているというが、「さもありなん」だ。60億人もの人間がひしめき合っている今の地球では、M7クラスの地震でさえも大きな被害が出ている。それがM11以上ともなれば……。どんな悲惨な状況になるのか、想像もできない。
「しかし、いくら凄まじい被害だったといってもあくまでも6,550万年も前のことだ」
「その上、これから小惑星が地球に衝突する確立もかなり低い」
「恐竜が絶滅したような惨劇は、もう起こらないだろう」
と思われている人も多いだろう。ところが、である。6,550万年前の巨大事件ほどではないにしても、地球全体に影響を及ぼすような大事件を引き起こすエネルギーが、他ならぬ地球自身にもあるのだ。侮ってはいけない。
今から8年前の2002年に、「死都日本」(石黒耀、講談社)という何やら気味の悪い題名の小説が出版され、話題となった。「宮崎県と鹿児島県の県境に位置する霧島火山が突如大噴火をし、日本に壊滅的な被害を及ぼす」というノンフィクションを思わせるようなストーリーと、医師が書いたとは思えない専門的な内容や緊迫感溢れる筆運びに、思わず引き込まれたことを覚えている。しかし、あくまでもフィクションであった。
ところが、その「死都日本」に描かれたような惨劇が起こる可能性がある、と警鐘を鳴らす本が出版された。「破局噴火――秒読みに入った人類壊滅の日」(高橋正樹、祥伝社新書)だ。日本に限らず世界各地に分布しこれまで度々大きな被害を与えてきた火山、中でも巨大噴火の痕跡であるカルデラにスポットを当て、どのカルデラ火山が壊滅的な被害を及ぼす可能性があるかを、一部空想ドキュメントを交えながら解説している本だ。
本のタイトルにもなっている「破局噴火」を初めて聞く人もいると思う。このような噴火の呼び名は、噴出量の程度により「火山噴火指数(VEI)」や「噴火マグニチュード(M)」などがあり、本著の中ではM6.5(噴出量300億トン)以上を「破局噴火」、その中でも特に噴出量が100立方キロ――噴出物の見掛けの比重を1.0と仮定すると1千億トン――を超えるものを「超巨大噴火」と定義している。
因みに、草千里で有名な阿蘇山が約9万年前に起こした大噴火では、噴出量は600立方キロを超え、九州から北海道の日本列島全体を厚さ15センチ以上の火山灰で覆ってしまったという。噴出物の見掛けの比重を先ほどと同様に1.0と仮定すると、6千億トンを超えていることになる。凄まじい「超巨大噴火」が日本でも起こっていたのだ。
しかも、最近10万年間でこのような「超巨大噴火」を1回以上起こしたカルデラ火山は日本全国で7つあり、12万年間に9回の噴火をしているという。少し規模の小さな「破局噴火」まで含めると17回の噴火を数え、凡そ7千年に1度の割合となるらしい。その上、こういった超巨大噴火や破局噴火には、一定の間隔で噴火を繰り返す「くせ」があるというのだ。そして最後の破局噴火が、桜島の南洋上に位置し薩摩硫黄島などをカルデラ壁として持つ鬼界カルデラで、約7,300年前に起こった「アカホヤ噴火」だという。そうなると、もうそろそろ次の破局噴火が始まってもおかしくない時期に来ている、というのが著者の見解だ。では7つのカルデラ火山のうちどれが"ヤバイ"のだろうか。実は、……。オッと、それは読んでのお楽しみにしよう。
ところで、日本ばかりでなく世界を見渡すと、9万年前の阿蘇山大噴火を遙かに凌ぐ超巨大噴火があったという。映画「2012」でも大規模な噴火のシーンがあったアメリカのイエローストーンも巨大カルデラ火山の一つで、80万年および57万年に1回の割合で超巨大噴火を生じ、200万年前の噴火では2,500立方キロもの噴出物があったという。
ところが、である。更に大規模な超巨大噴火があったというから驚きだ。インドネシアはスマトラ島に、地球上で最大と言われている凡そ100×35キロの「トバ・カルデラ」があり、本著によれば、約7万4千年前の最新の噴火では――理科年表では7万5千年前――2,800立方キロもの大量のマグマを噴出したという。約6,550万年前の小惑星衝突との規模を比較するために理科年表に掲載されているデータを引用すれば、噴出量は7千億トンとなる。小惑星衝突事件を凌ぐ噴出量だ。この大噴火によって、気候の寒冷化が引き起こされ地球の気温は平均5℃も低下し、当時生存していた人類の仲間の大半が死滅した、とされる説もある(トバ・カタストロフ理論)。恐ろしいことだ。しかも、歴史は繰り返すと言われている。
やはり地球のエネルギーは凄まじい。決して侮ってはいけない!
【文責:知取気亭主人】 |