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2010年5月6日
ゴールデンウィークに入り、やっと暖かくなってきた。これまでは寒暖の差が激しく、"春になったと思ったら冬に逆戻り"の不順な天候に翻弄される日が続き、気分どころか体調も今ひとつだった。それもあってか、いつもの春に感じる「伸びやかで明るく晴れ晴れとした気分」とは違う "今年の春"を感じている。不順な天候に加えて、ほぼ時を同じくして二人の母が相次いで入院したことも、いつもと違う春を感じる要因だったのかもしれない。
4月5日(月曜日)の夜8時頃、89歳になる母が高熱を出し、緊急入院した。前日に花見に連れて行ったのが仇になり、どうやらその時風邪を引いたらしい。私は単純に「風邪だろう」と思っていたのだが、嘔吐したことや腹痛を訴えていたこともあってノロウイルスの感染が疑われ、結局疑いが晴れるまで個室での隔離となった。なにやら大事だ。
ノロウイルスは感染力が強い為、患者への見舞いは厳重で、マスク、ビニール製手袋、ビニール製前掛けを着用しなければ入室が出来ず、その上手荷物の室内への持ち込みも出来ない。例えば女性のハンドバックなどもそうだ。勿論、退室の際には着用したマスク、手袋などは持ち出し禁止で、即廃棄処分しなければならない。更に、退室後の丁寧な手洗いも見舞いの条件だ。
また、ノロウイルスによる感染症なのかどうかの判断は便の検査で行うのだが、その便が中々出てくれない。最終的には私の見立て通り単なる風邪だったのだが、最初に言われた退院予定日に再度発熱したこともあって、結局30日まで、都合約4週間の入院生活となった。高齢者特有のものなのか、チョットした風邪で熱が出やすい状態になっていたらしい。
一方、実母が入院した日から数えて3日後の4月8日、今度は義母が検査入院することになった。実母と違いノロウイルス感染が疑われていたわけではないし、そう高い熱が出ているわけではない。したがって、比較的元気だった。その元気さと生来のユーモアのセンスで、見舞いに行っていた私や家内の爆笑を誘った一言がある。私が、「車で遠出をする」と義母に伝えた時のことだ。
「気を付けて行ってきて!」と義母の声。
「大丈夫、若いから!」と自信タップリに私。
すると、間髪入れずに「そう言うけど、良く忘れるじゃん!」。
余りに見事な突っ込みに、二の句が継げなかった。「『若い』と自信持って言う割には、良く物忘れをするではないか!」ということを言っているのだ。鋭い一言だ。しかし、考えてみれば義母の言うとおりだ。人の名前を忘れ、商品の名前を忘れ、物を置き忘れ、時には何を言おうとしていたかも忘れ、兎にも角にも色々な事を良く忘れるようになった。しかも、悔しいことに徐々に増えている。大きな声では言えないが、最近少々不安にもなって来た。ただそんな中で、キチガイ水を飲むことだけは未だに忘れたことがない。どういうことだ?
そんなことは兎も角として、歳を取ると色々な不具合が出てくるものだ。ただ、義母に鋭い突込みを入れられた「色々なことを忘れる」という事態は、不具合ではなく人間本来の特技である、と私は都合よく解釈している。「忘れたい事」は「忘れる事」に限る。そう、ケセラセラだ。ところが、身体に出る不具合は、こういう訳には行かない。考えてみると、二人の母の入院も「加齢の為せる不具合」なのかもしれないのだが、そんな不具合がとうとう私の身にも降りかかってきた。
最近、左の頬に直径5ミリほどの出来物が目立つようになった。ひと月前位から気になってはいたのだが、日毎に硬さも増し、色も濃くなり、膨らみもハッキリしてきた。その成長度合いを見ていた娘たちが、盛んに「病院に行って来て!」と言う。そう度々言われると気になるもので、5月1日の土曜日、意を決し近くの皮膚科に行って来た。
先生の診たてでは、娘たちが心配していた"癌"ではなく"イボ"だという。質問に答えて、「これは加齢によるもので、大きくなるのかもっと出っ張るのか、人それぞれで良く分からない」と、笑みを浮かべながら説明してくれたのだが、原因が"加齢"とはショックだ。若い頃紫外線に沢山当たっていた人はシミが出来易く、年齢を重ねるとそれがイボ化するのだそうだ。そう言えば、昔はお天道様の下での仕事が多く、その上日焼けした褐色の肌に憧れてわざわざ日に焼いていた頃もある。そんな他愛のない事で、まさか「加齢の証拠」を残すことになろうとは夢にも思わなかった。「過ぎたるは及ばざるが如し」の典型なのかもしれない。しかも、頬の中央付近に登場してきただけに良く目立ち、日毎に存在感を増してきた。これ以上の存在感はご遠慮願いたいものだ。
そこで、取る方法がないか聞いてみた。すると、①レーザーで焼き切る、②外科的手術で切り取る、③液体窒素で凍傷を起こし取る、の三つがあると言う。ただし、①、②は傷が大きく残り、③は完全性に欠け複数回の治療を行う場合もあるという。親に貰った顔に傷を残すのもイヤだし、初めて聞く治療方法に興味を持ったこともあり、③を受けることにした。
その場で治療を受けたのだが、兎に角簡単で早い。"綿棒のお化け"に液体窒素を浸け、患部に数回押し付けるだけだ。痛みもそんなに強くは無い。そうは言っても、凍傷は凍傷だ。夕方になって少し赤みが増し、翌日になると水ぶくれが大きくなってきた。2週間で治癒するらしいが、それまでは大きな傷絆が目立つことになる。さて、液体窒素は、この「加齢の証拠」を見事に隠滅させることが出来るだろうか。乞ご期待だ!
【文責:知取気亭主人】 |