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2010年6月30日
先週の週末、仕事で新潟に行ってきた。金沢から新潟まで距離にして凡そ300q、時間にすると北陸自動車道を使って約4時間のドライブだ。金沢―新潟間にまだ高速道路が部分的にも開通していなかった40年程前には、その倍以上の時間が掛かっていたことを考えると、随分と便利になったものだ。北陸自動車道が全線開通してくれたお陰で、いつも工事をしていて必ず渋滞していた、国道8号線随一の難所"親不知"を通らなくて済むようになっただけでも、運転する者としては大変有り難い。
また、余程の事がない限り、目的地までの所要時間を計算できるのも嬉しい。地下鉄などの公共交通機関が整備されている都会の人には実感できないだろうが、仕事で高速道路を使う人間にとっては、大変有り難いインフラだ。40年程前の免許取立ての頃、金沢から静岡の実家まで東名高速道路も使わずにズット下道を走って12時間も掛かった頃と比べると、この便利さは隔世の感がある。今では、順調に行けば4時間余りで行くことができるのだから。
隔世の感といえば、建設から随分時間が経った事もあり、法面や路側帯の緑が周りの自然に溶け込んできたのも、建設当初の見るからに人工的な植生だった頃と比べると随分と変わってきたところだ。元々地元に自生していた植物が生育し始めた証なのだろう。ところが今回のドライブで、植生が豊かになった、とそう単純に喜んでばかりもいられない事に気が付いた。どうやら、「物言わぬ脅威」が静かに勢力を拡大し始めているようなのだ。
脅威とは、丁度今頃花を咲かせている黄色の可憐な花のことだ。名前を「オオキンケイギク」と言う。丁度1年ほど前の第312話「今日は何の日?」でも取り上げた、あの「オオキンケイギク」だ。後で一般道のここかしこでも発見することになるのだが、金沢―新潟間の北陸自動車道にはかなりの頻度で、法面や路傍にこの黄色い花の群落があることに気が付いた。本来こういった場所では咲いていてはいけない筈の花であるから、運転しながら「もしや?」と思っていたのだが、休憩に立ち寄ったサービスエリアで見た群落は、正にその「オオキンケイギク」だった。
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サービスエリアで見つけた「オオキンケイギク」の群落 |
第312話の繰り返しになって恐縮だが、何故「オオキンケイギク」が「脅威」かと言えば、その驚異的な繁殖力により帰化植物として全国的に野生化し、在来植物を衰退させている原因の一つになっているからである。環境省からは、通称「外来生物法」によって「特定外来生物」にも指定されている。元々道路の法面緑化に大量に使われていたこともあるので、高速道路で多く見られても致し方ないところもあるのだが、2006年2月に同法により指定を受けてからは、栽培が禁止され、駆逐されてしかるべき植物なのだ。
法律を破った場合の処罰は、私たち庶民に法律そのものが余り知られていないにも拘らず、結構重い。販売もしくは頒布する目的で栽培したりすれば量刑が重いのは勿論だが、頒布の目的がなく他人に譲渡したりしただけでも、個人で「懲役1年以下、もしくは100万円以下の罰金」、法人で「5千万円以下の罰金」の罪に処せられるのである。「綺麗だから」と言ってお隣さんにあげただけでも罪に問われることになりそうなのだ。
その罪作りな特定外来生物の「オオキンケイギク」が、高速道路で堂々と咲き誇っている。上の写真に示した群落になるには、数年の年月が掛かっている筈だ。すると、2006年に「特定外来生物」に指定されて以降に行ったであろう草刈の時にも、既にかなりの数の花が咲いていたと考えられるのだが……。
残念ながら、見事な群落は今もそこにある。多分、草刈を実際担当した職員も発注者側の担当者も、そういった法律があることは知っていても、その法律に縛られる植物がまさか仕事場に咲いていようとは思っても見なかったのではないだろうか。あるいは、私と同じように、法律は知っていてもどんな生物が「特定外来生物」に指定されているのか知らない可能性もある。何しろかくいう私も、昨年の今頃まで知らなかったのだ。
そこで、「オオキンケイギク」だけでも皆さんの協力で駆逐に向かって進んでいこう、ということで花の写真を掲載することにした。下の2枚の写真がそれだ。スーッと伸びた茎と笹舟のように細長い葉、そして落花した後の実にも特徴がある。調べた処によると結実前に根こそぎ抜き取るのが効果あるそうだ。
さあ皆さん、家の周りにこの花がないか調べてみましょう。あったら即駆除ですぞ。ただし、河川や道路などの公共施設では、管理者に一報する事を忘れないでいただきたい。
【文責:知取気亭主人】 |