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2010年10月27日
10月23日の土曜日、先月22日に生まれた孫の「お宮参り」に行ってきた。前の晩に友人から電話が掛かり、お宮参りのことを話したところ、「お宮参りにじいちゃんの出る幕はないよ」と諭されたのだが、そこはしっかりと"カメラマンとしての出る幕"を用意して、晴れ着姿の女性陣の後に付いて行った。「金沢の台所」と呼ばれている近江町市場の直ぐそばにある、うっかりすると見逃してしまいそうな、小さな佇まいの神社だ。小さな神社ではあるけれど、女の子にはうってつけの名前が付いていて、市姫神社という。
有り難いことに、その日は暑くもなく寒くもなく、しかも風もなく、晴天にも恵まれて、「お宮参り日和」と表現して良いほどの穏やかな日となってくれた。天候に恵まれたせいか当日の主人公である孫は、宮司の叩く太鼓の音にビックリすることもなく、最初から最後まで殆ど寝てくれていた。それどころか、顔の直ぐ近くで鳴らされた鈴の音には、眠りながら微笑んだようにも見えた。結局写真を撮っている間も眠り続け、一度もぐずることはなかった。大変親孝行な子であった。
ところで、「お宮参り」はどうして行われるようになったのだろうか。また、いつ頃から始まったのだろうか。何か意味があった筈なのだが、神社からもらった資料を見ても良く分からない。安産祈願の時にもらってきた、全国敬神婦人連合会・全国女子神職協議会発行・編集による「うぶちゃんと学ぶ 腹帯イロハ ―命をはぐくむ心と作法―」には、いつ頃行うかの目安については書かれているのだが、「謂われ」とか「始まった時期」などには一切触れてない。我が家にあった「神様と神社 ―日本人なら知っておきたい八百万の世界」(井上宏生著、祥伝社新書)を紐解いてみたが、やはり「謂われ」などには触れてない。お宮参りの意味が簡単に書かれているだけだ。それではと、古くから愛用している広辞苑を調べたのだが、電子辞書版では「お宮参り」を調べるところまでも行き着けない。「そうなるとここはインターネットの出番しかない」と言うことで、早速調べてみた。
いくつかのサイトを覗いてみたのだが、始まった時期については「鎌倉時代から」という記述が一つはあったが、他は殆ど触れられていない。この「鎌倉時代から始まった」という説は何となく正しいとは思うのだが、一つだけでは確信は持てない。しかしながら、これ以上調べるとなると、かなりの時間と労力が必要である。そこで、時期については、「鎌倉時代が始まり」を信じ、これ以上突っ込まないことにする。
一方、「謂われ」の方は、どこのサイトもほぼ同じ様なことが書いてある。したがって、ほぼその説で間違いないところなのだろう。それをまとめると、次のようになる。
・赤ちゃんが生まれて初めて氏神様(住まいしているその土地の守り神)に参拝する行事
・赤ちゃんの誕生を報告し、健やかな成長と長寿を祈願する
・氏子の一員になったことを表している
これ以外に、母親の安産のお礼参りを兼ねて参拝する風習もあるそうだ。医療の発達した今でさえ生まれた赤ちゃんが全員無事成人式を迎えられるとは限らないことを考えると、出産が命懸けであった遠い昔にあっては、安産とその後の健やかな成長を神様に祈願することは至極当然の考え方だし、祈願が成就した場合のお礼参りも素直に納得できる。ただ、「赤ちゃんの健康と長寿の祈願」だけかと思っていただけに、まさか「お宮参りが氏子としてのデビューである」とは思いもしなかった。昔の集落にあっては、氏子になって始めて地域の一員として認められたことになるのだろう。それだけ、「氏子になる」ということが、重要な意味を持っていたのに違いない。しかし、氏神様と縁のない都会で暮らす人たちにとっては、氏子の意味すら風化し始めている。
昔からある古い集落には、必ず氏神様を祭ってあったものだ。しかし、私が今住んでいるような戦後造成された団地だと、殆ど祭られていないのが実体であろう。例えあったにしても、関わりは極めて薄い。そのようなところで長年生活していると、当然のことながら氏子になることは無いし、氏子が何をするのか知らないまま齢を重ねることになる。氏子の経験があれば、氏神様の祭り等の神事に関わることが出来るのは勿論として、正月から大晦日まで一年の間に執り行われる色々な神事についても多少なりとも知識を習得することが出来る。しかし、悲しいかな経験が無いばっかりに、今回のような神事についても、お宮参りの風習があることは知っているのだが、詳しいことはとんと分からず仕舞いである。
とは言え、日本の伝統文化を少しでも後世に残しておきたい、と願っている私としては、「仕方がない」と済ましてしまうには如何にも口惜しい。しかも、これから孫の成長に合わせていろいろな神事が待っている。その一つ一つに謂われがあり、意味がある。それを説明できるようになりたいものである。次の神事までに何とかするか!
【文責:知取気亭主人】 |