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知取気亭主人の四方山話
 

『ここだけの話だけど・・・』

 

2010年11月10日

ニキビ面の青春時代、「ここだけの話だけど、実はA君はBさんが好きなんだって!」などという噂話を楽しんだ人も沢山いるだろう。ひょっとして、ニキビが消え、頭髪の色も本数も当時とすっかり変わってしまった今も、当時と同じように噂話を楽しんでいる人もいるかもしれない。ただ、今も続けているかどうかは別にして、伝言ゲームよろしく次々と「ここだけの話」を披露していく人は、大体決まっている。陰で「スピーカー」とか呼ばれ、殆どの場合、仲間内での評判は芳しくない。

しかし、当の本人に言わせれば、聞いた情報は例え「他言無用」と言われていようと次なる人に伝えるのが自分の使命だ、と思っているに違いない。あるいは、他人に漏らさなければ胃腸が痛くなる持病を持っている、のかも知れない。いずれにせよ、「ここだけの話だから絶対に他人に言ってはダメ」と耳元で囁かれると、「ここだけの話」に収まったためしはない。ところが「逆も真なり」で、ある意味、話を広めてくれる確実性は極めて高い。それを逆手にとって、噂を広めたい時にはわざわざ"スピーカー"相手に、「ここだけの話」を繰り返す仲間もいた。そして、その目論見はかなりの高確率で成功したものである。

さて、そんな目論見があったのか、そして「スピーカー」と呼ばれる御仁が居たのかどうかは判然としないが、今日本の情報管理の根幹を揺るがすような漏洩事件が立て続けに起こり、日中関係も含め国会の場は騒然となっている。そして、警視庁と海上保安庁という陸上と海上の犯罪を取り締まるお役所が絡んでいるだけに、私などは"国家としての情報管理のお寒い現状"に底知れぬ不安を覚えてしまう。

  

お寒い現状が露見した一つは、横浜市でアジア太平洋経済会議(APEC)が開かれようとした矢先に、こともあろうに国際テロに関する警察の内部資料がインターネットに流出した事件だ。7日の朝日新聞朝刊によれば、流出した文書にはどうやら作成途中のものも含まれているという。誤字や脱字などが見られるというのだ。どんな管理の下で作成されていたのだろうか。機密情報を扱う職場なのに、ノートパソコンもUSBメモリーも、持ち込みも持ち出しも自由に出来る環境だったのではないかと、訝ってしまう。

そんな野放図な職場環境ではないことを願っているが、意図して漏洩したものかどうかは捜査にお任せするとして、「国際テロ」などという高度な機密情報がいとも簡単に漏洩してしまう管理体制は、お粗末としか言いようがない。こんな体たらくな状況をみると、3年ほど前に発覚し、アメリカから日本への武器輸出にまで影響を与えた「イージス艦情報漏洩事件」が、全く教訓になっていないことだけはハッキリとした。当時"杜撰管理"を糾弾されたのが身内ではない防衛省だっただけに、今回の火元である警視庁は"対岸の火事"と高をくくっていたのかも知れない。

それにしても、お粗末だ。これだけIT機器に頼るのが極普通の社会になってくると、最早パソコンがない仕事場は考えにくい。したがって、そういった現状を踏まえた上で、少々作業効率が落ちたとしても、扱う情報の厳格な管理が必要だ。特に、機密性の高い情報については、念には念のセキュリティーが求められる。ところが、例え万全に見えるセキュリティーを構築したとしても、IT機器を扱う人間の"掟破り"によっていとも簡単に綻びが生じ、情報は洩れていく。一旦漏れた情報は、「情報漏洩を意図する、しない」は別として、現代ではインターネットを通じアッと言う間に広まってしまう。そして、現代の「スピーカー」にとっては、その広がりの早さと、大騒ぎをしている政府や権力者たちの右往左往振りを見るのが最大の楽しみなのだろう。また、誰が発信者なのか特定しにくいことも計算済みで、関係者による必死の犯人探しも、声を潜めて密かに楽しんでいるのに違いない。愉快犯であれば、多分そう考えるだろう。

そういった意味からすると、お寒い現状を露見させたもう一つの事件を起こした犯人の意図は、この「国際テロ情報漏洩事件」とは全く違うのかもしれない。

  

もう一つの漏洩事件とは、そう「尖閣列島沖の中国漁船衝突事件」に関する映像がインターネット上に流出した問題だ。私も見たが、衝突の様子が手に取るようにわかる、衝撃的な映像だ。8日朝のニュースでは、衝突時の映像は石垣海上保安部内で研修用に何度もコピーされていたという。原本は那覇地検に提出し、複製を手元に残しコピーを繰り返したということだ。しかも、8日の朝日新聞朝刊によれば、那覇地検内部ではやろうと思えばUSBメモリーにコピーして持ち出すことも可能だった、というから如何にもお寒い。流出させた犯人は国益を考えた上での漏洩だったような気がしないでもないが、図らずも犯罪調査資料の杜撰な情報管理が露見してしまった。

  

「国際テロに関する情報漏洩事件」も、「中国漁船衝突の映像漏洩事件」に関しても、誰が漏洩させたのかはこれからの捜査で明らかになるのだろう。しかし、捜査結果が出る前に、世界中に明らかにさせてしまったことがある。何度も繰り返すが、日本の情報セキュリティーの脆弱さだ。これらのニュースに接した外国人は、余りのお粗末さにビックリしていることだろう。そして、日本組み易し、と思っていることだろう。「日本はスパイ天国だ」と言われていると聞くが、この体たらくでは"然もありなん"だ。

ひょっとして、日本人の根底に流れている、「ここだけの話だけど…」の甘い囁きに心奪われる弱さを、徹底的に鍛え直す必要があるのかも知れない。

【文責:知取気亭主人】

セイタカアワダチソウ(ミツバチも必死で情報収集している)

 
 

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