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知取気亭主人の四方山話
 

『春よ来い!』

 

2011年3月30日

息子夫婦が借りている家の庭に一本の梅の木がある。かなり立派な木だ。固い蕾だった引っ越しの頃から"いつ頃花が咲くのか"気になっていたのだが、26日の土曜日、嫁に電話をしたところ今が満開だという。暦の上では既に春分(23日)も過ぎ、もうすぐ4月なのだから当然と言えば当然だ。しかし、梅の花は満開になったというのに、春の気配とは程遠い真冬並みの冷え込みが続いている。20日が過ぎても雪が舞い、26日の土曜日には一時本格的な降りとなった。二階の窓からは薄らと雪化粧した隣近所の屋根が見える。まるでひと月前に逆戻りした感じだ。一体いつになったら、防寒着が脱げるのだろうか。そして、いつになったら春の息吹を楽しめるようになるのだろうか。

この真冬並みの寒さ、私が住む北陸地方ばかりでなく、東北関東大震災の被災地をもすっぽり覆っている。そして、被災家屋や避難所で暮らす18万人を超える人達を直撃している。十分な暖房もなく、温かい食事も満足に摂ることが出来ない状況の中で、この寒さは疲れた心身に追い打ちをかけ、確実に体力を消耗させる。体力のない高齢者の中には、避難所で亡くなる人も増えてきているという。当然、行方不明者にとっても極めて厳しい状況が続いている。兎に角、一日でも早く温かい日々が訪れてほしい。

  

今回の大災害の原因となった地震や津波とは関係ないが、レイチェル・カーソンに環境問題を扱った「沈黙の春」という本がある。「春だというのに鳥たちのさえずりが聞こえない」という意味で「沈黙の春」と名付けられたのだが、今の被災地はそれを彷彿とさせる。津波に蹂躙された被災地は瓦礫の山と化し、草花の芽吹きどころか、草花そのものの姿が見えない。捜索に使われている犬などを除けば、動物の姿が見えないのも異様だ。ニュース映像とは言え、そういった光景を見ていると、本当に春が訪れるのか不安になってしまう。

しかし、皮肉にも今回の地震・津波災害がそうであるように、自然の流れは決して歩みを止めない。そして、我々人間にとってどんなに厳しく辛い状況になっても季節は巡り、必ず春は訪れる。今がいくら"季節外れの厳しい寒さ"だと言っても、この寒さはやがては終わり、綺麗な花が咲き、活力溢れる芽吹きの季節がやってくるのだ。そう、どんな苦難に遭遇したとしても、春は必ずやってくる。また、それを信じていたい。

  

沈丁花

  

話は変わるが、25年ほど前暫く滞在していたネパールで、地元の人から「授業で習ったのだけれど、広島と長崎は今でも人が住めない状況ですか」と聞かれたことがある。「原子爆弾で破壊された広島・長崎の街は暫く植物も生えないし人も住めない」と教えられたのだという。確かに、一面焼け野が原となった両都市の様子を聞けばそう思われても仕方がない。ところが、その後の両都市の見事な復興はどうだ。破壊尽くされた当時の惨状からは想像もつかいないほどの発展ぶりだ。自然も見事に回復した。緑の木々が育ち、花が咲き、鳥のさえずりも戻ってきた。そういう意味では、自然の回復力は見事だ。そして、復興に向けた日本人の努力とその逞しさも見事言うほかはない。

日本は、これまで何度も未曾有の戦禍や災害を受け、二度と立ち直れないだろうと思われた惨状から幾度となく立ち直ってきた。日本人には、そういった苦難に立ち向かう勇気と英知、そして力を合わせて苦難を乗り越えていくDNAが受け継がれているのに違いない。そうでなければ、あの世界を驚かせた大戦後の復興は成し得なかったはずだ。そんな力が日本人にあることを私は信じたい。

  

ところで、29日現在死者・行方不明者は2万8千人を超え、届け出が無い安否未確認の人も未だ沢山いるとみられている。震災発生から明日で20日目を迎えようというのに、まだ被害の全容が把握しきれていない状況が続いているのだ。どこまで被害は拡大するのだろうか。心配だ。ただ、どんなに厳しい冬であっても必ず春が訪れるように、必ず復興できる。思いを一つにすれば、必ずやできるはずだ。そう信じている。頑張ろう、日本!

  

水仙

蝋梅

【文責:知取気亭主人】

 

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