いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『想定外?』

 

2011年4月13日

東日本大震災の地震・津波発生から早いもので1ヶ月が経った。行方不明者は未だに1万人以上を数え、亡くなった人と合わせた数は3万人に迫ろうとしている。ただ、亡くなった人の数は確認されているものの、行方不明者数は今もなお確定していない。破壊が壊滅的であった上に被災地が余りにも広大で、必死の捜索が隅々まで行き届かない為なのだろう。また津波によって、捜索が難しい海上にさらわれた人達も沢山いるとみられている。

こういった人的被害を含め、ひと月も経って被害の全容が未だに掴めていない現状に、地震動による被害を遥かに凌ぐ津波の恐ろしさを、改めて教えられた思いだ。世の中の出来事に関心を持つようになって40年以上経つが、日本で発生した自然災害でこんなに悲惨な事例は記憶にない。そして、記憶にない程の大被害を"より一層深刻"にさせているのが、福島第1原発事故問題だ。この人災とも言える事故によって、日本における原子力発電所の安全神話は無残にも崩れ、温暖化対策の切り札として推進派に持ち上げられていた地位も、根底から揺らぎ始めている。

  

福島第1原発の事故現場では、関係各社の作業員が放射線被曝の危険を顧みず、それこそ"必死の対応"をしている。しかし、そんな必死の努力を嘲笑うかのように、核燃料の冷却は一向に安定化せず、事態収拾の見通しは闇に包まれたままだ。放出され続けている放射線によって、汚染地域は時間と共に拡大する傾向にあり、漁業や農業に深刻な影を落とし始めている。そして、その影をより一層濃くしたのが、1万リットルを超える放射能汚染水の海への放出だ。この放出によって、日本が輸出している農産物のみならず、「日本」という国家そのものの風評被害が、ジワリと世界に広がっている。中には笑えてくる荒唐無稽な風評もあるが、この深刻な状態が長引けば、やがて企業だけでなくお金も日本から逃げていくのではないか、と危惧している

原発大国であるアメリカやフランスを始め、国際社会が関心を寄せる中、低濃度とはいえ放射能汚染水を海に放出したことで、原発近隣の漁業関係者のみならず、近隣諸国からも一斉に非難の声が上がった。国際法上は問題ないらしいが、25年前のチェルノブイリ原発事故によって放射能汚染の深刻さが記憶に残っているだけに、そしてその被害が一過性で終わらないだけに、近隣諸国の心配も良く分かる。

しかし、汚染水の放出には、本当に驚かされた。そして、「高濃度汚染水を回収するためにはやむを得なかった」と言う事なのだろうが、一般人にとってはあまりに唐突であったし、「そこまでやらなければならないのか」と事態の深刻さを改めて認識させられる事となった。必然の結果として、周辺海域での放射能汚染はこれまでにない程高レベルになっている。さらに、殆どの国民が心配していた通り、魚にも汚染は広まっている。

  

苦渋の選択だったとは思うが、こうした対策は本当に採らざるを得なかったのだろうか。最近良く耳にするようになった「想定外の地震・津波だった」が、免罪符になっていないだろうか。イヤ、言い換えよう。原子力安全保安院も東電も、「想定外」を免罪符にしたい、と思っていないだろうか。

凡そ1千百年前に起こったといわれる「貞観地震」が今回の巨大地震とほぼ同じ規模であり、その史実から考えて今回のような巨大地震がいずれ起こる、とその可能性を示唆していた先生がいたという。もしそうだとすれば、「想定」はされていたことになる。ただ、認めようとしなかっただけだ。起こる可能性が示唆されているのに認めようとしないのは、「想定外」とは言わない。否認だ。

リスクは最悪の事態を想定しなければいけない。そして、その最悪な事態に対して、その危機を最小限の被害で逃れる対策をとっておくことが基本である。また、何としてもこんな事態だけは避けなければならない、ということを決めておくことも重要だ。当然、原発に対しても同じだ。広島・長崎の経験から言って、放射能汚染は何としても防止する、が基本中の基本となって然るべきだ。そして、その為の安全対策は、念には念を入れて幾重にも施しておくことが必要だ。

その考え方からすると、すべての非常電源を失った福島第1原発は想定が甘かった、と言わざるを得ない。そこには、安全に対する驕りが見え隠れするのだが……。

  

12日、夕方のテレビで、今回の原発事故が国際評価基準で最も深刻とされる「レベル7」であると認めた、とのニュースが流れてきた。本当に深刻な事態だ。「レベルはチェルノブイリと同じだが放射性物質の放出量は○分の1……」が、空虚に聞こえてきたのは私だけだろうか?

【文責:知取気亭主人】

 


朝露の化粧水(コブシの蕾)

 
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.