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知取気亭主人の四方山話
 

『生肉の恐怖』

 

2011年5月18日

ユッケ騒動が、焼き肉業界に衝撃を与えている。4人が死亡し20人を超す人たちが重症に陥っている集団食中毒事件は、全国的な"客の減少"という焼き肉業界そのものの被害に発展している。今回の中毒事件と関わり合いのない焼き肉屋や卸問屋には気の毒だが、死亡者が4人も出た上に、「今の日本では生食に適した肉は流通していない筈だ」と聞かされれば、こういった現象はある程度予想された事だ。

当事者である焼き肉チェーン店が悪いのか、卸業者に落ち度があるのか、或いはどちらも同罪なのかはこれからの調査を待たなければならないが、これまで気にせず食べていたユッケ等の生肉に対し箸が遠のくのは、食材の賞味期限等あまり気にしない私でも同じだ。しかも、ユッケ以外の食材や商品には可哀そうだが、"焼き肉"という括りで見てしまえば、「流通していない筈の商品が堂々と売られている業界って本当に大丈夫?」と疑ってみたくもなるし、火を通していてもどれも"同じ肉の仲間"ということになる。そんな食材から何となく足が遠のいてしまうのは、ある意味"人間の危険回避の基本行動"とも言える。もっとも、過剰反応とも言えるのだが……。

  

今回食中毒を起こしたユッケ用生肉は、精肉される時に腸などに寄生していたO111やO157等の大腸菌が付着したのではないか、とみられている。成程「人間の腸には善玉菌の他に大腸菌もウジャウジャいる」というから、同じように牛の腸に大腸菌が沢山住み着いていても何ら不思議はない。ただ、住み着いている菌の中に毒性の強い、今回のような病原性大腸菌と呼ばれる"悪玉の腸内細菌"も住んでいるとなると、話は別だ。実際、17日に放映されたNHKのクローズアップ現代に出演した東京医科大の中村明子教授によれば、2〜20%の牛がこの大腸菌を保有しているとみられているらしい。だとすると、人間を死に至らしめる程の強毒性大腸菌を飼っていて、牛は何故発症しないのだろう。

特別な解毒酵素でも分泌しているのだろうか。それとも、ヒトに比べて10倍ほども体重のある牛は、耐毒性も人間の10倍あって、O111やO157程度の毒では"屁の河童"なのだろうか。或いは、「住み着いている」とは言っても、少しぐらいの数では健康体のヒトでも発症しないのと同じように、健康体の牛が中毒症状を起こす程の数はいない、ということなのだろうか。もっと想像力を発揮すると、ヒトに対しては毒性を発揮する大腸菌であっても牛とは共生関係にあって毒性を発揮しない、なんて事も考えられる。兎に角不思議だ。

  

不思議と言えば、大腸菌のキャリアである牛が発症しないのもそうだが、動物を捕食する自然界には"食中毒"らしき現象を聞いた事がないのも不思議だ。自然界ではライオンやクマなどの肉食獣が、或いはハゲタカ等の猛禽類が真っ先に獲物の内臓を食べている映像を良く見るのだが、彼らが食後腹を押さえてもがき苦しんでいるところは見た事がない。余り想像したくもないが、百獣の王ライオンがムーを食べた後腹痛で七転八倒している、ということも聞いた事も見た事もがない。彼らが武者ぶりついている内臓には腸内細菌が住みやすいといわれている大腸も含まれている筈なのに、である。動物を襲い彼らの内臓をも食らう猛獣たちは、何故食中毒を起こさないのだろ。

自然界の動物には、そもそも大腸菌は住み着いていないのだろうか。或いは、少し悪くなった食材を食べた時に日本人が正露丸や赤玉等の薬を飲むのと同じように、ライオンなども食中毒に効く薬草を知っていて食後のデザート代わりに食べているのだろうか。だとすれば、凄いことだ。それとも、病原性大腸菌は、動物が生きている間は僅かばかりしか生息する事が出来ず、死亡すると急激に増殖してしまうのだろうか。生モノが腐っていくのと同じように、である。そうなると、ユッケ用生肉の提供者である牛や、内臓を真っ先に食べる自然界の猛獣たちが、O157等強毒性の大腸菌に苦しめられないのも理解できる。

  

話を元に戻すが、そういった興味本位からくる私見の真偽はともかくとして、報道されている内容からは、焼き肉チェーン店も肉の卸会社も、危険な食材を扱うには余りにもお粗末な管理マニュアルしか持っていない実態が浮き彫りになっている。それは、これまで取ってきた政府の安全管理にも言える事だ。10数年前にレバサシを食べた人が集団食中毒に罹り8人が死亡した事件をきっかけに、「生肉を提供する場合のガイドライン」が出来たそうだが、法的な強制力を持たせないまま今日に至ってしまっているという。その結果が、今回の悲惨な事故を引き起こしたと言っても過言ではない。

クローズアップ現代に出演した中村明子教授は、「フグの調理師免許と同じように生肉を扱える資格を創るべきだ」と提言していたが、「扱いを間違えると死者を出すほど危険な物を客に提供している」という事を考えると、私も大賛成だ。しかも、クローズアップ現代に出演していた肉の卸会社社長が「新規参入店も多く、3分の1は肉の扱いを知らない」とインタビューに答えているのを聞くと、1日も早く資格を創ってほしいと思わずにはいられない。

  

ここに来て、ユッケばかりでなくトリ肉の生食でも食中毒が発生した、とも報じられている。自己防衛としては、今しばらくは肉の生食は避けることだ。加えて、信頼のおける焼き肉店を利用する事と、毎日口にしなければいけない食材に関しては、人任せにしないで5感をフル活用する事も必要な事ではないだろか。

【文責:知取気亭主人】

 


風にとばされる準備の整ったタンポポ(自然界の知恵は凄い!)

 
 

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