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知取気亭主人の四方山話
 

『なんじゃもんじゃ』

 

2011年5月25日

金沢市が誇る名勝兼六園から南東に凡そ1.5q程行ったところに、加賀藩3代藩主前田利常の正室“珠姫”の菩提寺として知られた「天徳院」がある。珠姫は、徳川2代将軍秀忠の 二女、つまり今やっているNHK大河ドラマ「お江」の娘である。珠姫は金沢市民に良妻賢母の象徴として慕われており、6月に行われる「百万石まつり」では、珠姫が僅か3歳で輿入れした当時の様子を再現した行列も見所の一つとなっている。

その珠姫をまつる「天徳院」は、立派な山門(写真1)と綺麗な庭が整備され、歴史を感じさせる佇まいのお寺である。幼稚園も併設されており、我が家の4人の子供たち全員もこの幼稚園に通っていた。通っていた当時は知らなかったのだが、「この天徳院に変わった名前の木がある」という事が、暫く前からニュースになるようになってきた。丁度今頃の季節になると花を咲かせ、その花自体も変わっているところから、良くニュースに登場するようになってきたのだ。木の名前を「なんじゃもんじゃ」と言う。

 

お寺から貰った説明書によれば、ラテン語の学名を「Chionanthus retusus」、また英語名を「Snow-flower Fringe-tree」と言うらしい。日本語の名前として「ヒトツバタゴ」と名付けられていて、長崎県上対馬町には大規模な自生地があり国の天然記念物に指定されている、とある。では、表題にも使った「なんじゃもんじゃ」というヘンテコな名前は、どこから来たのだろうか。説明書きには、本当の名前が分からないため「なんじゃもんじゃ」と呼んだのが始まりと言われている、と書かれている。植物学者でも分からなかったのだろか。それにしても、奇妙な名前だ。

そのヘンテコな名前が気になり「いつか見たい」と思っていたところ、お寺に用事があって出かけた妻から「花が満開で今が見頃だよ」と教えられ、遂にご対面のチャンスが巡ってきた。早速、カメラ片手に、久し振りのデートと洒落込んだ。妻から事前の説明を受けていたのだが、聞くのと見るのとではやはり違う。実物は、イメージしていた花よりも数段美しい。5mを超すほどの高木なのに(写真2)、付けている花は純白で驚くほど可憐だ(写真3、4)。英語名で「Snow‐flower ……」と表記されているのがピッタリくる程の白さだ。葉の形や花を見て木の名前が分かるほど詳しくはないが、少なくとも子供の頃遊び回った野山や仕事で分け入った山林ではお目に掛かった事がない珍しい花だ。

 


天徳院の山門(写真1)


「なんじゃもんじゃ」の全景(写真2)

 

兎に角、花が可憐で愛らしい。柳葉の形をした細長い4枚の花弁は、長さは僅か2センチ程しかない。しかも、下の写真で分かるように本当に純白なのだ。まだ散り行く姿を見てはいないが、クルクルと回転しながら舞い落ちて行くのだろうか。もし、そうだとすると、それこそボタン雪が舞落ちるようで、何と優雅ではないか。そんな優雅な連想さえさせる可憐な花だ。一目で気に入ってしまった。

こうなると気になるのが、「どんな形の、どんな色の実をつけるのか」と「秋はどんな色に染まるのだろうか」である。是非、どちらも写真に納めたいと思っている。嬉しいことに、楽しみがまたひとつ増えた。それにしても、この「なんじゃもんじゃ」に限らず、自然は大した芸術家だ。かくも私たちの目を楽しませてくれる。柔軟な発想で、時に大人を驚かせ、時に人々を感心させる子供たちとまるで同じだ。

そう言えば、今私が一番行ってみたい国マダガスカルには、バオバブと呼ばれている木がある。引き抜いて逆さに植えたような、根っこが空に向かって伸びているような、あの木だ。あれなども、大人の発想では到底思いつかない格好だ。ヒトがどれだけ頑張っても、やはり自然には脱帽だ!

これからも、「なんじゃもんじゃ」と言いながら、色々な動植物達と、心ときめかせる出会いを楽しみたいものである。

 


満開の花をつけた枝(写真3)


花弁の長さは2センチ程度(写真4)

【文責:知取気亭主人】

 

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