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知取気亭主人の四方山話
 

『異論、正論』

 

2011年7月27日

菅首相の周りがかまびすしい。今の政治の混迷振りをみていると、致し方ないことだとは思う。ただ、野党が批判するのは真っ当な話だが、仲間の与党議員や首相から任命された大臣たちが公然と非難しているのはいただけない。菅首相を擁護する積りは毛頭ないが、同じマニフェストを掲げて選挙を戦い、代表選挙の時には菅代表を選んだ仲間たちが、自分にとって不利だと判断すると手のひらを返したように代表を批判するのは如何なものだろうか。次の選挙をにらんで保身に走った、としか思えない。内部で激論を戦わすのは当然であるが、公の場で違う意見を披露するのは勘弁願いたい。民主党を離党したうえで公然と非難するのであれば理解もできるのだが、それもしていない。

また、政界、財界、報道関係がこぞって菅おろしを叫んでいるのに乗せられた感じで、国民の多くが菅首相の早期退陣を願っているようなムードになっている。政権内や民主党内から批判している人たちは、このムードに同調しなければ次の選挙で当選できない、と思っているのではないだろうか。私にはそう思えてならない。ひねくれ屋の私からすると、どうも手をたたいて同調する気にはなれないのだ。

 

そこで今回は、巷の論調と違う私見を「異論、正論」と題して展開してみたい。まず、九州電力玄海原発の運転再開に関して、再開の許可を出す筈が一転して「ストレステストが必要である」となった問題だ。

政治評論家なども含め世の論調は、「“浜岡原発以外に停止の予定はない”と言っていたのに、今頃になって突然ストレステストを言い出すとは何事だ」となっている。しかし、私の意見は少し違う。

原子力発電所は、国が「安全である」というお墨付きを与え、地方自治体が「それだけ安全だというのであればいいですよ」と許可をして設置・稼働してきたものだ。ところが、今回の東日本大震災でそのお墨付きが脆くも破れ、国がこれまで作成してきた安全基準では決して万全ではないことが、無残にも露呈してしまった。

首長としては、それを知った段階で、住民の安全を第一に考え、「これまでの安全基準のままで再稼働できますよ、と言われてもそれは納得できる話ではない。少なくとも地域住民の安全が担保できる新たな基準を示してくれ」と言うのが、筋が通った話しではないだろうか。加えて、「福島第一原発の事故を受けて、遠く離れたヨーロッパでさえストレステストを実施しているのに、当事国の日本でなぜ実施しないのか」と、逆に政府に詰め寄るくらいの強い危機感があっても不思議ではない。

今回の福島第一原発の事故によって、「原発事故が一旦起こると、地元住民への負担がいかに大きいか」を嫌という程思い知らされた。そして予想通り、大きな被害を受けるのは、発電した電気を享受する都会の人達ではなく、原発を甘んじて受け入れてきた地元の人達であることも否応なしに学ぶこととなった。そういった地元の悲しみや苦しみを二度と起こさせないためにも、玄海町長や佐賀県知事には、菅首相を批判する前に、首長としての見識・危機意識を示してほしかった。何せ、巷で正論と思われている論を展開している政界、財界、政治評論家たちの殆どは、原発立地のところに住んでいないのだから……。

 

次は海江田経済産業相についてだ。同氏の左手に「忍」の一字が書かれていたことが話題になっていて、「菅首相に梯子をはずされた騒動」以来、あたかも被害者の如く同情を集めている。そして、「悪いのは菅首相だ」とのムード作りに、一役も二役も買っている。でも、それも可笑しな話だ。

海江田氏は、原発を所管する組織のトップである。トップであるとすれば、彼が玄海町に説明に行った再稼働問題も含め、その安全性についてはトコトン検証し、得られた結果を包み隠さず地域住民に説明する最終責任がある。特に、福島第一原発の事故により、原発が持つ危険性とコントロールの難しさを全国民が知ることとなった今、「安全性をどのように調べ担保するか」の地元説明が最重要課題の一つとなっているのは、自明の理である。ところが、安全性の検証をしないまま――少なくともメディアでは報道されていない――現地に赴き、再開の許可を得ようとしていたのは責任転嫁と同じではないだろうか。

違う視点でみれば、「菅首相のストレステスト実施方針を打ち出したのが遅すぎる」との批判はその通りではあるが、海江田氏の中に安全性の新たな検証方法として何故ストレステストの実施が浮かんでこなかったか不思議でならない。例え経済界から再稼働に向けた強い要望があったにせよ、もう少し地元住民の気持ちを思いやってほしかった。誰が考えても、福島第一原発の惨状を見れば、“再稼働する”にせよ“しない”にせよ新たな安全基準を示してほしい、というのが原発周辺地域住民の偽らざる心境であることは間違いない。

 

繰り返しになるが、悪いのは菅総理で彼らは被害者、のムードが漂っている。しかし、そのムードに流されてしまうと、何か大事なことを見逃してしまうような気がしてならない。そこで、政治門外漢の私ではあるが、敢えてそのムードに異論を唱えてみた。多少なりとも私の意見を理解していただければ幸いである。

【文責:知取気亭主人】
  


ガマの穂(花言葉:救護、慈愛) 
 

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