2011年8月3日
のっけから奇妙なタイトルでビックリされたことと思うが、今回は我々動物の健康維持にとって大変重要な役割を果たしている「ウンチ」の話をしてみたい。そう、昔の学生寮のトイレに座ると目の前の壁に良く書かれていた、「カミに見放されたら、ウンは自らの手で掴め」の、あのウンチである。尾籠な話題で申し訳ないが、ウンチは健康のバロメーターである、とよく言われる。確かに、健康であることを表す標語にも、「快食、快眠、快便」として見事に取りを飾っている。ただ、「健康のバロメーター」と言われても、ついつい要らぬ想像力を掻き立てられてしまう。したがって、「時既に遅し!」なのかも知れないが、今回のこの四方山話、できれば食事時を避けて読んでいただければ、と思っている。
生命を維持するために、我々は食物を口にする。そして、食べれば必ずその滓が出ることになり、出なければ一大事となってしまう。その滓が、小便であったり大便、即ち“ウンチ”であったりする訳だ。このウンチ、確かに健康状態と密接な関係があって、体の調子が悪くなると、下痢をしたり便秘をしたりすることになる。ひどくなると、殆ど水と同じような状態になったり、血が混じったりしてしまうのだ。決して侮るなかれ、なのである。
さて、そんな重要な滓なのだが、何時だったか「ウンチは水に浮くのが良い」と聞いたことがあった。ところが、人生の半分以上をボットン便所や、水洗になっても水が殆ど溜まっていない和式便所に慣れ親しんできた我が身にとって、マジマジと観察することなど全くなかった。したがって、我が身を離れたウンが水に浮くのか浮かないのかなど、知る筈もないし、ましてや“尻たい”と思ったことなどある筈もない。
ところが、である。皆さんご存じのように、ある年齢に達すると健康診断で検便が必ず求められるようになり、必然的にご対面が増えてきたのだ。滓とは言え、一度は我が身に宿っていたウンだ。言うなれば我が分身。当然、検便の度に良く観察するようになった。そして、観察の結果、辿り着いた結論は、「通常の比重は1.0以上あり、下痢をすると1.0以下になることがたまにある」ということであった。つまり、普通の健康状態では、これまで水に浮いている姿を見たことなど数えるしかなかったのだ。
しかし、おかしなことに、“水に浮くのが良い”のだという。当然の如く、「ホンマかいな?」と長いこと疑っていた。ところが、不思議なことにひと月程前から突然浮くようになってきた。別に下痢状態でもない。何をどうしたことだろう。こうなると、結果に対する考察をしなければ、「仮にも工学部出身の名が廃る」ということで、大真面目に「ウンチ浮上」の原因を考えてみた。
浮いていなかったモノが浮き始めたのだから「主食を穀物から藁に替えた」などの大胆な事をしているか、といえば決してそんなことは無い。或いは、肉食を止め食物繊維の多い野菜を多く摂るようになった、という訳でもない。勿論、浮くために軽い食事をしている、という訳でもない。ただ、直接の因果関係があるかどうかは別にして、浮き始める少し前からやり始めたことが二つある。ひょっとしてこの二つが関係しているのかもしれない。
ひとつは、良く噛むようになったことである。NHKの番組「ためしてガッテン」で、良く噛むと満腹中枢が刺激されて必要以上に食べなくなりダイエットできる、と放映されていたのを見て早速実践をし始めたことだ。実は、家内からも随分前から言われていたのだが、これまでは健康に自信があったため実践しないでいた。しかし、少々健康に不安が出始める“お年頃”になってきたこともあり、「メタボからの脱出」を密かな目標において、1口30回の咀嚼をやり始めたのだ。今のところ、「メタボからの脱出」は遥か先の事になりそうだが、意識していることもあってか、食事の量は減りつつある。
もうひとつが、白米から玄米ご飯に替えたことだ。これを始めたのも「30回咀嚼」とほぼ同じころだったと記憶している。玄米以外に何も加えていないのだが、プチプチした食感が結構気に入っていて、しかもそれが“30回の咀嚼”に良く合うのだ。
これら二つ以外に、変えた習慣はない。したがって、ほぼ同時に始めたこの二つの事が“浮くウンチ製造原因”ではないか、と思っている。工学部出身としては断定できないのが残念ではあるが、ひと月ほど前からほぼ毎回浮く様になり、しかも便の色も、便通も、そして量も良くなったような気がしている。加えて、腰を痛めてから便秘気味だったのが、改善されつつあるのだ。嬉しい限りだ。
こうしてみると、「水に浮くのが良い」というのはどうやら本当らしい。調べてみると、健康なウンチは然程臭くもない、とも書かれている。善玉の腸内細菌が程よく分解してくれているかららしい。「どうやれば浮くようになるか」は他人によって異なるのかもしれないが、「景気浮上」がままならない今、せめて「ウンチ浮上」を実現させて、厳しい世の中を逞しく生き抜ける健康体を取り戻そうではないか! 合言葉は、「ウンチ浮上でウンキも浮上!」だ……。
【文責:知取気亭主人】
クチナシの葉を食べるオオスカシバの幼虫 |
幼虫のウンチ |
|