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知取気亭主人の四方山話
 

『ツキ』

 

2011年8月24日

15日間に亘って熱闘が繰り広げられた「夏の甲子園」が、20日の土曜日、日大三高の優勝、光星学院の準優勝で幕を閉じた。終わってみれば、優勝した日大三高の投打にバランスがとれたチーム力は群を抜いていた、と言えるだろう。本当に素晴らしい優勝だった。また、「陸奥に初の優勝旗を!」と期待が掛けられた青森県代表の光星学院は、強打の日大三高の前に惜しくも準優勝に終わったが、その天晴な戦いぶりは多くの高校野球ファンを魅了した。

振り返ってみると、今大会は例年以上に手に汗握る接戦が多く、延長戦が8試合、サヨナラ試合が7もあった。その他逆転、再逆転の試合もあって、見ている者に高校野球の面白さや最後の最後まであきらめない事の大切さを改めて教えてくれた大会だった、と言って良い。また、大会のスローガンだった「がんばろう! 日本」を見事に体現し、多くの被災者に勇気と感動を与えた素晴らしい大会となった。

高校球児が一所懸命戦っている姿は、本当に爽やかだ。そして、そのエネルギッシュな躍動からは、明日への活力を分けて貰えたような気がする。全ての高校球児、チームに拍手を送りたい。ありがとう!

 

それにしても、滋賀の八幡商業が9回の満塁本塁打で帝京を下した試合に見られるように、勝利の女神がどちらに微笑むか、最後の最後まで分からない試合が多かった。それまでの堅守が嘘のようにエラーをしたり、安定していたコントロールが突然乱れたり、更にはその時に限ってバウンドが変わったり、とそれまでの流れが突然大きく変わることが良くあった。解説者が「○○高校の流れになっている」とか、「流れが変わった」等と使う、あの「流れ」だ。賭け事の世界では、俗に「ツキ」とも言われている。

同じ勝負の世界でも、スポーツの世界では、「実力」以外の要素である「ツキ」はあまり好まれない。しかし、今夏の甲子園大会を見ていて誰しもが、「ツキ」は確かにある、と思ったに違いない。私もそうだ。しかも私の場合は、妄想癖も手伝って、「ツキ」を操る女神様がファンを喜ばせるためにイタズラをしているのではないか、と疑ってもいる。

「ビギナーズラック」と言われるように、初心者がスポーツや勝負事で思わぬ好成績を収める事がたまにあるが、アレなども女神様のイタズラだろうと思っている。必死になって戦っている選手諸君や監督さんには申し訳ないが、『もうチョッと面白くしてやろう!』等と呟きながらイタズラしたのではないか、と半分冗談、半分本気で思っているのだ。それ程、“実力以外の何か”が作用している、と思える面白い好ゲームが多かった。

とは言え、私も一応理系の人間だから、理論的に説明できない現象は基本的に無いだろうと思っている。ただ、矛盾はするが、今の科学を以てしても説明できない現象があることも承知はしている。その筆頭が、私の中では「運」、つまり「ツキ」なのだ。

 

例えば、今大会のラッキーボーイもそうだが、宝くじに良く当たる人、クジ引きや懸賞などで度々高額商品をゲットする人等、身の回りで「運が良い」と言われている人が一人や二人いるだろう。そういった人たちは、端から見ると、「ツキがある人」という事になる。

この「ツキ」、これを何とか自分に呼び込みたい、と随分前から切望しているのだが、なかなか私の思いが神様に届かないらしく、その兆候すらない。イヤ、もしかしたら“その兆候に気が付いていないだけ”なのかもしれない。或いは、これまで2回ほど当たった4等の宝クジで「運」を使い果たしたのかもしれない。しかし、余程欲深いのか、「ツキ」はまだ巡ってきていない、と信じている。しかもあろう事か、甲子園の熱戦を見ていて、浅ましくも「何とかこの“ツキ”をコントロールできないだろうか」と思い始めてしまったのだ。

 

コントロールするためには、「ツキ」を科学的に解明する必要がある。つまり、「幸運を呼ぶ○○」等といかがわしいグッズを売り込む“新興宗教”や“占い”の力を借りないで、「ツキ」が巡ってくるための条件を見つけなければならないのだ。しかし、そんなことが可能なのだろうか。

そんな時、ひょっとしたら、と想像を掻き立てる最先端施設が完成したニュースを聞いた。独立行政法人理化学研究所の播磨研究所で、「X線自由電子レーザー」の施設、SACLAがX線レーザーの発振に成功した、というものだ(http://xfel.riken.jp/information/index.html)。

X線レーザーは、極めて波長が短く(最短波長0.06nm、1nm=10億分の1m)、しかも明るい光で、光パルス(100フェムト秒以下、1フェムト=1000兆分の1)をストロボのように使うと、一瞬の原子の動きを撮影でき、これを何枚も並べることで瞬時に起きている化学変化を観察できる夢の光だという。この夢の光を使えば、我々が「ツキ」と呼んでいる“訳の分からぬ変化”を観察できるのではないか、と考えたわけである。

ところがよくよく考えてみると、結果は良く目にするが、「ツキ」そのものを見たことが無い。また、理論物理学のようにツキを理論上解明した、という話も聞いたことが無い。そうなると、いくら夢の光であっても、その光に当てるサンプルが無いのだから、スローモーションビデオのようにツキ始めてからの変化を観察することはできない。残念だ!

尤も、「ツキ」という分からない要素があるからこそ、勝負事は面白いのであって、最後まで諦めない気持ちも持ち続ける事が出来るのだろう。そういう意味では、「ツキ」という摩訶不思議な現象をツキ詰めようとはせずに、そっと静かにしておく方が、幸運の女神は微笑んでくれるのかも知れない。

【文責:知取気亭主人】
  


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