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知取気亭主人の四方山話
 

『人間力』

 

2011年11月2日

「人間力」という言葉を最近ちょくちょく目にするようになった。人が社会と関わりを持って生きていくための力、と私なりに理解していたのだが、先日ある集まりの仲間から貰ったメールにこの三文字が書き添えられていて、改めて「人間力って何だろう」と考えるようになった。家内や次女に聞いてみたのだが、私と同じように“ぼんやりとしたもの”は持っていても、いざ説明するとなると、お互いが納得できるような定義は浮かんでこない。そこで、折角前話で「定義」をテーマとした事もあり、「人間力の定義とは何ぞや」を調べてみた。

調べてみると面白いことが分かった。驚いたことに、2002年に「人間力戦略研究会」なる組織が内閣府に置かれ、2003年4月には、「人間力戦略研究会報告書:若者に夢と目標を抱かせ、意欲を高める:〜信頼と連携の社会システム〜」というお堅いタイトルの報告書まで提出されている。今の政権もそうなのかも知れないが、当時の政府が如何に人間力向上に力を注いでいたか、その意欲が伺える。「国家の成長には人間力の向上が欠かせないのに、今の日本人は人間力が低下している」、と考えたのだろう。ご推察の通り、特段「若者に夢と…」と大上段に振りかぶらなくても、3.11以降のこの難局に於ける政治家の無能ぶりを見ていれば、人間力の低下は明らかだ。悲しいかな納得、である。

さて、お堅い名前の報告書に書かれている気になる定義だが、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力と定義したい」となっている。この文言だけを読めば、冒頭に書いた私の理解と大して変わらない。報告書にはもっと具体的な「三つの構成要素」も書かれているが、詳しくは報告書に譲るとして、その「三つの構成要素」になぞらえて、私が考える「三つの力」を述べてみたい。

第一は、「社会力」である。社会の一員として、周りの人達と関わりを持って生活していくためには、コミュニケーションスキルや対人スキルといった要素が必要であり、コミュニティーで決められた規範を順守することも重要である。また、他人を思いやる気持ちやコミュニティーをより良くしていこうという前向きな思考と行動、そしてそういった行動の中でリーダーシップを発揮できることも含め、これらの要素をまとめて「社会力」と定義することにする。

第二は、「俯瞰力」である。社会生活をしていくために必要な「知識」や「知恵」、或いは「創造力」を基盤として持ち、物事の全体を見渡すことができる力である。物事の全体を見ることが出来ると、目標を定めたり、目標に辿り着くまでのプロセスを設定出来たり、物事の優先順位を失敗することなく決められる。社会の一員としてより良い社会を構築するためには、俯瞰する種類や大小は兎も角として、大局を見ることが重要である。そして、俯瞰した状況を照らし合わせて判断するお手本が、「経験」や「知識」であったり、それらから醸成された「知恵」であったりする訳である。知恵といっても、社会の規範に照らし合わせて恥ずかしくない能力であって、間違っても前に「悪」が付く「知恵」ではない。

第三は、「意志力」だ。「意欲」といっても良い。「社会力」や「俯瞰力」を折角持っていても、それらの力を発揮する意欲が無くては何もならない。また、社会との良好な関わりを保つにはその関わりを継続させることが大切で、それには継続させようとする意志が必要である。そして、そういった意欲や強い意志は、周りの人達に少なからず良い影響を与え、社会との繋がりをより一層強いものにする。勿論、「社会の規範を守る」、「間違いに気づいたら即止める」という行動力も含んでの意志力だ。

以上、独断と偏見で、「人間力」を三つの力に分解してみた。納得がいくかどうかは皆さんの判断に委ねるが、これら三つの力の掛け算が「人間力」だと考えている。つまり、どれか一つ突出していても、残り二つが極端に低ければ、人間力としてはそう高くない、という事になる。

例えば、各力が5点満点だとする。A氏は全て2点だとすると、人間力は2×2×2=8点となる。一方、B氏は社会力が5点で残りは各1点だとすると、5×1×1=5点となり、A氏より劣ってしまう。この例えを今話題の人物に当てはめてみよう。大王製紙の井川意高前会長は如何だろうか。

前会長は、関連子会社から私的に106億円を超える大金を借りた件で、使途を巡りカジノ三昧が取り沙汰されている。10月31日のニュースでは、約60億円が未返済になっていて、特別背任罪も噂されている。さて、この御仁の人間力、125点満点で何点になるだろうか。

これまで、多少の問題は周りが我慢してきたとして、一応社会人としてやってきたことから、「社会力」は4点ぐらいを付けておこう。「俯瞰力」があれば今の異常事態は予想できた筈だから、これは1点。規範を守ることも、ギャンブル熱にブレーキを掛けることもできなかった訳だから、「意志力」はマイナスを付けたいぐらいだが、これも1点としておこう。すると、人間力は4×1×1=4点となる。事件発覚前までは成功者と見られていた御仁だが、私が判断した人間力は、ご覧の通り低い。この結果について、恣意的であることは勿論否定しないが、多くの人には納得していただけると思う。つまるところ、人間力とは総合力であることが良く分かる。

と、そんな格好いいことを書いてみたものの、読み返してみると結局“ぼんやりとした”定義付しかしていない事に気が付いた。いい加減なのである。このいい加減さがどの力に入るのか私も分からないが、どうやら私の人間力も大したことがなさそうである。

【文責:知取気亭主人】

  

「蜘蛛力」はもっと単純なのだろうな…

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