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知取気亭主人の四方山話
 

『思わずニッコリ!』

 

2011年11月23日

人生を長くやっていると、思わずニッコリしてしまう、予期しない嬉しい出来事に出合う事がたまにある。子供の頃で言えば、テストの答案用紙や成績表を返されて、予想以上の好成績だった時などがそうだ。或いは、「腹ぺこで帰ったら大好きなカレーの匂いがしていた」なども、食いしん坊の私にはニッコリの部類だった。更には、我々が子供の頃にはそんな習慣などなかったが、後一月もするとやってくる恒例のクリスマスで、枕元にサンタから送られたプレゼントを見つけた時も、小さな子供は「思わずニッコリ!」するに違いない。ニッコリどころか、歓声を上げるかも知れない。

サンタといえば、次女はちょっと珍しい体験をしていて、その話をすると今でもニッコリとしている。まだ幼稚園のころだったと思うが、障子に映るサンタさんの影を見た、というのだ。それ以来、随分大きくなるまでサンタの存在を信じていたというから、余程嬉しかったのだろう。多分、靴下に入っていたプレゼントそのものよりも、サンタの影を見た事に感激したに違いない。今でもその話題が出ると、私や家内は「夢だろう!」と夢のないことを言ってからかうのだが、「そんなことはないよ」とニッコリしている。親のニッコリを見たいのか、幼い子供の頃の思い出に浸っていたいのか、それとも本当に信じているのかは判然としないが、今でもニッコリできるところを見れば、予想外の嬉しい出来事のベスト3には入っていそうである。

さて、そんな「思わずニッコリ!」を、つい最近私も体験させてもらった。全く予期していなかった事でもあるのだが、内容が内容だっただけに、チョッピリどころか大層幸せな気分に浸ることが出来た。

 

毎年今頃の季節とゴールデンウィークを過ぎたあたりになると、近所のクリーニング屋さんで2割引のバーゲンが行われる。衣替えに合わせたバーゲンだ。そのバーゲン期間の最終日が土曜日(19日)だったことを家内が思いだし、あたふたとスーツを出す準備をし始めた。

ポケットにティッシュやガム等、取り出し忘れている物がないか、一着一着丁寧に手を入れて調べ始めた。手を入れてまさぐりながら、皆さんと同じように、「金でも入っていれば良いのにな」と密かに指先に神経を集中させていた。妙に緊張し期待している分、トリックを使う程器用な指先でもないのに、不思議とマジシャンになった気分だ。ところが、「ゴミよりお札だ、宜しく!」と念じてみたものの、ズボンの捜索が終了し、上着の実地検分が終わりかけても、お金どころか紙切れ一枚も出てこない。

余り何も出てこないものだから、「お金などと贅沢なことは言わない。折角期待したのだから何か出てこいよ!」と思い始めたその瞬間、願いが叶ったのか、しっかりとした感触の紙切れが手に当たった。その感触、その手のひらより少し小さめの大きさ、それらから推理すると、この紙切れは多分領収書だ。そうなると、どこの領収書だろう。家のやつか、それとも仕事上のやつか。その紙切れを引っ張り出すまでの僅かな間、上着を見ながら思い出そうとしたが、指先に触れた段階でお金をあっさりと諦めたためか、元々血の巡りが衰えてきた上に意欲が減退してしまい、脳味噌は一向に回転してくれない。仕方なしに思考は諦め、「どうせロクなモンじゃない!」と、全く期待せずに取り出した。

ところが、である。取り出した紙切れを見た瞬間、思わずニッコリした。イヤ、多分“ニンマリ”していたに違いない。3週間は袖を通していなかったジャケットのポケットから取り出されたその紙には、日本髪を結った樋口一葉さんが、澄まし顔で描かれているではないか。そう、期待が完全に失せていたお札が、しかも5千円札もの大枚が二つ折りになって出てきたのだ。そばにいた家内に向かい、「やったぁ!5千円だ!」と、思わず大きな声を上げてしまった。その後に続いた両者の“使い道に関する白熱した議論”はまたの機会に譲るとして、懐も心も暖まる会心の「思わずニッコリ事件」となった。

しかし、善く善く考えると、ニッコリはしたものの、マジックのように降って湧いた5千円ではない。私にとっては、暫く行方知らずだった“一葉さん”が戻って来ただけで、本質的に儲かった訳ではない。ところが、何となく得した気分になって、気が大きくなってしまう。「思わずニッコリ!」には、そんな損得勘定を麻痺させてしまう、媚薬効果があるのかもしれない。

このように、予期しない嬉しい出来事には滅多に遭遇できるものではないが、出会った時には本当にうれしいものである。予期していない分、それがどんなに小さな出来事でも、幸せな気分にさせてくれるのだ。

 

話はとんでもない方向に飛ぶが、「幸せな気分」と言えば、先日国賓として来日したブータンのワンチュク国王夫妻は、外国人にも拘らず、多くの日本人を幸せな気分にしてくれた。お二人の立ち居振る舞いやお言葉からは、日本の事を心から敬愛していることが伝わってきて、失いかけていた自信を多少なりとも取り戻せたような気さえする。その上、仲睦まじい新婚のお二人は、見ているだけで微笑ましく、それこそ、損得勘定抜きで幸せな気分にさせてくれた。そんな人は中々いない。

そんな素敵な国王夫妻との晩さん会を損得勘定だけで欠席した大臣がおいでたが、予期しない厳しい批判に、思わず「しまった!」と思ったに違いない。こういった御仁から、国民が「思わずニッコリ!」する、損得勘定抜きの政治を期待するのは、難しいのだろうな? 大臣だけに始末が悪いのだが……。                      

【文責:知取気亭主人】

 


予期せぬ虹に思わずニッコリ!
 


  
 

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