いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『孫ダンス』

 

2011年12月14日

最近、面白いテレビコマーシャルを見た。ペンギンが主役をしているアニメ映画のコマーシャルだ。映画のタイトルは良く覚えていないが、小太りしたペンギンたちが体を揺らしてダンスをしているシーンが印象的で、微笑ましいその動きが気に入っている。短い脚とぽってりとした体形で踊る仕草は、ユーモラスで憎めない。憎めない理由は他にもあって、お腹を前後に動かすシーンがあるのだが、その動きが孫娘の動きとどことなく似ているのだ。

ぽっこりお腹の孫娘が、歌を歌ってほしい時や歌に合わせて踊る時に見せる、お腹を前後ろに動かして上半身を上下させるダンスに、本当に良く似ている。

 

孫娘は、生後10ヶ月当たりから、家内が歌う童謡を覚え、リクエストするようになってきた。聴きたくなると、お目当てのモノに向かって「アー、アー」と指をさして「連れていけ」とせびり、そこに到着するや、「お腹前後・上半身上下ダンス」をして、「歌を歌え」とねだるようになった。その手口は、それは見事なものだ。お気に入りは、置時計と「♪コチコチカッチンお時計さん、コチコチカッチン動いてる、大人の針と子供の針と…♪」の歌、そして壁に掛けてある蝶の標本と「♪チョウチョ、チョウチョ、菜の葉にとまれ、菜の葉にあいたら桜にとまれ、桜の…♪」の歌である。それを何度も何度もせがむのだ。

そして1歳を過ぎた頃には、時計と蝶に加えて、絵合わせの板に書いてある動物もレパートリーに加わり、「ゾウさん」や「かえるの合唱」、さらには「どんぐりコロコロ」と「♪大きな栗の木下で、あなたと私、仲よく…♪」も良く歌わされるようになった。飽きるということを知らないため、相手をする我々大人は大忙しである。また、時々「ポッ、ポッ」と声を出して、最近覚えた「♪汽車 汽車ポッポ ポッポ、シュッポシュッポ…♪」の歌を誰彼となく歌わせている。そして、例の可愛らしい孫ダンスを披露している。

 

最初「ポッ、ポッ」と聞いた時には、「はとぽっぽ」の歌かと思ったのだが、孫の専任通訳を認じる家内の説明で、「きしゃぽっぽ」だと知った。「連れて行け」の「アー、アー」もそうだったが、何時も一緒にいないと、幼児語は本当に難しい。しかし、たまにしか会わない私でも、度々教えてもらったお蔭で、何とか孫ダンスに関する要望は、通訳なしである程度分かるようになって来た。ただ、歌が難問・鬼門なのだ。

聴く方は、「アー、アー」と言って移動をせがみ、孫ダンスで歌をねだれば事足りるのだが、ところが歌う方の大人は結構大変だ。歌う事自体には然程苦痛は感じないのだが、如何せん数十年前に歌った記憶を辿るため、曲名・メロディー・歌詞がうろ覚えで、特に歌詞が出てこない。最後は、「どうせ知らないだろうから」と鼻歌で誤魔化してしまう。すると、今まで聞いた歌詞と違うのが分かるのか、怪訝な顔をして大きな瞳でジッと見つめてくる。こちらの顔がうつろではないかと思える澄んだ目で見られると、なんだか誤魔化した自分が恥ずかしくなってしまう。

それではイカンと、大人同士で「あーでもない、こーでもない」のかすかな記憶の辿り合いをするのだが、結局、即興詩人となるか、進歩がないまま鼻歌で誤魔化すことになる。後で調べておけばいいのだが、そこまでの気力と記憶が残っていない。兎に角、同じ歌を何回となく歌わせられると、年寄りの気力と体力が少しずつしなびてくる。尚かつ、歌の後も“なんやかや”と手が掛かり、結局、歌詞が思い出せなかった記憶など、どこかに吹っ飛んでしまう。ただ、そんなことは言いながらも、孫ダンスを見せられると、自然とほころんでしまう。不思議な力を持ったダンスだ。

 

しかし、何時、どこで覚えたのだろう。不思議だ。素人考えで言えば、幼児の記憶に一番鮮明に残っているのは、体内にいる時に聞こえてきていた母親の心臓の鼓動の筈だ。そう考えると、その鼓動に合わせ、胎内で既に孫ダンスをしていた可能性もある。ただ、「嫁のお腹がリズミカルに揺れていた」とは聞かされていないから、幾ら何でもそれは発想が飛びすぎている。また、我が家の四人の子供がそんなダンスを踊って見せた記憶はない。だから、どの子も踊る、というわけでもない。

「言葉や行動の発育は物真似だ」と言われていることを考えると、周りの大人の中で、歌に合わせて孫ダンスに似た動きをしているのがいるのかも知れない。しかし、ドジョウすくいを得意とする息子夫婦がそんな動きをしているは見たことがないし、家内や次女が踊りながら歌っているも見たことがない。お腹は孫に似てぽっこりしている私も――少しばかり不安だが――そんな記憶はない。或いは、保育園の先生がそんな奇妙なダンスをしているのだろうか。尤も、幼児が踊ればほほえましい動きのダンスだが、保育園の先生が踊る姿は余り想像したくない。だから、多分先生が手本でもない。でも、そうすると、本当にどこで覚えたのだろう。不思議なものだ。

 

ここまで書いて次女に読んでもらったところ、思わぬ感想が返ってきた。あの孫ダンスは、息子が孫を膝の上に乗せ、暴れん坊将軍のメロディーで遊ばせていた乗馬の動きではないか、と言うのだ。そう言われれば、確かに似ている。しかし、暴れん坊将軍遊びで喜んでいたのは、半年以上前の4ヶ月になったかならない頃だ。もしそれが孫ダンスの基だとすれば、凄い事だ。でも、女の子が暴れん坊将軍大好きと言われてもネェ……。                      

【文責:知取気亭主人】

 


♪迷子の迷子の子猫ちゃん… も大好きな歌の一つだ
 


  
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.