2012年2月1日
先週から日本列島を寒波が襲い、各所で大雪を降らしている。地方自治体の中には、除雪用の当初予算が底を突きそうなところもあると報じられている。雪国の宿命とは言え、雪掻き用のスコップを知らない地域が羨ましくなる。とは言え、この駄文にとっては有り難い雪でもある。毎年この時期になると、雪の話題で話題不足を補って貰っている。今回もこの話題に登壇して貰い、加えて写真をメインに据えて、「除雪で疲れた体の骨休み」とさせていただくことにする。
27日、北陸自動車道を使って、新潟県の新発田市まで行ってきた。出発した金沢は30センチ程度と大した積雪量でなかったのだが、富山市を過ぎた辺りから徐々に雪が増え、P-1の写真の様に高速の路面にも、うっすらとではあるが雪が残っている。やがて県境付近に差し掛かると、トンネルが増え、眼に入る坑口の山肌は、どれも立ち枯れした木々も隠れ美しく雪化粧している(P-2)。降り続く雪に辟易としている地域の人達には申し訳ないが、見ている分には、白一色の世界は本当に美しい。
サービスエリアやパーキングに植えられている木々の雪化粧も美しい。落葉樹は、白銀の景色の中で木肌の暗褐色が骨格の様に際立ち、力強い生命力がみなぎっているように見える(P-3)。一方、雪化粧した針葉樹をみていると、生命力よりは静寂を感じてしまう(P-4)。隣り合わせに配置されている落葉樹と針葉樹だが、随分違うものである。
しかし、こんな鑑賞が出来るのも、雪掻きをしなくてすむからだ。雪掻きという肉体労働をしなくて済む雪景色は、美しさを楽しむ余裕が生まれる。何時もこうありたいものだが、そうはいかない。そして、連日の肉体労働は、その余裕を少しずつ奪っていく。たまの雪掻きは、運動不足解消に好都合だと思っているのだが……。
雪の高速道路も、いつも以上に神経を使う。しかし、眼に入るいつもの景色は、降り積もったばかりの真っ白い雪で純白に染まり、新鮮な景色となって目を楽しませてくれる。中央分離帯の植樹帯も、巨大なマシュマロの様だ(P-6)。ややもすると眠気に誘われる高速の運転だが、これだけ美しい景色が次から次へと飛び込んでくると、眠気はどこかに吹き飛んでしまう。車の運転で一番苦労する眠気覚ましに苦労しなくて済むのは、厄介な雪のささやかなプレゼントなのかもしれない。ささやかなプレゼントと言えば、雪の遊びも忘れてはいけない。スキーや雪合戦、かまくら作りもそうだろう。そして、子供にとっては、そり遊びもそうだ。
そんなこともあって、孫や近所の幼児を喜ばせてやろうと、28日の夕方、駐車場の除雪も兼ね、長さ7〜8mの小さな滑り台をこしらえた(P-7)。2時間半余りの奮闘だったのだが、次の日にそりを楽しむ子供達を見ていたら、不思議と腰の痛みも和らいできた。大人と違って、子供は雪を遊び道具として捉えるから面白い。
ただ、平年の1.4倍も積もっているという青森市酸ケ湯の400cmや、同様に1.7倍も積もっている新潟県津南町の329cmの様に、人の背丈を遙かに超える豪雪では、雪と戯れるなどと悠長なことを言ってはおれない。生き死に、に拘わる問題だ。例え雪を遊び道具と捉える子供にとっても、程度というものがある。日頃の生活の場が、背丈を遙かに超える積雪で覆われていては、多分遊びどころではないはずだ。
降り積もったばかりの雪は確かに美しいが、半端でない量は勘弁願いたい。そして、ただでさえ3.11の大震災で弱った日本を、もうこれ以上痛めつけないで貰いたいものである。
【文責:知取気亭主人】
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