2012年3月14日
3.11のあのおぞましい日から、1年が過ぎた。あの日、あの時から、見えていなかった、いや見ようとしなかった、日本という国の抱えるリスクや矛盾が、火山噴火のように噴き出している。日が経つにつれ、噴火は、鎮静化に向かうどころかその根の深さを浮き彫りにしている。結果、1年が過ぎても終息の道筋も見えない。本来は国家が指導して防災・減災対策を講じておくべきなのに、国家や行政の硬直した、そして利権主義がはびこる組織運営のリスクを放置したまま、また自然災害のリスクを過小評価したままここに至った付けを、今国民が払わされているように感じているのは私だけだろうか。
しかし、たとえそんな理不尽さを感じていても、迫りくる次なる災害に我々は立ち向かっていかなければならない。それが、自然災害が多発する日本に住んでいる我々に突き付けられた定めなのだ。
災害対応は、よく「自助、共助、公助」だと言われる。中でも、「我が身を守る」という最も基本的なことからすると、まず「自助」を徹底しなければならない。自分の身は自分で守る、という事だ。しかし、「自助」が基本だとしても、日本という国に、活動している地域に、あるいは自分の身の回りに、どれだけのリスクが潜んでいるのか知らなければ、自助の行動は起こせない。自らそういったリスク評価をしなければ、そしてこれが一番大切なのだが、評価したリスクに対して「危ない!」という感覚を持たなければ、人間誰しも行動には移せない。
ではどんな方法で、潜んでいるリスクを知ればいいのだろうか。多くは、テレビや新聞の関連報道、あるいはインターネットなどを情報源にすることになるのだが、私が勧めるのは本だ。手元にあれば何度でも読み返せるのが、他の情報源に比べて優れている点だ。また、想像力を働かせ小説の主人公になり切ることで、シミュレーションを疑似体験することも可能だ。そうすることによって、「危ない!」の感覚は一層磨かれることになる。
また、フィクションでなく、過去に起こった大災害の史実を追った本は、その破壊力の凄まじさをアリアリと再現してくれる。3.11以前に読んだ時と違って、未曾有の被害を目の当たりにした今読むと、突然牙をむく自然の恐ろしさがグッと身に迫ってくる。危機感の醸成は間違いない。
他方、科学的に迫った本は、「危ない!」の感覚に根拠を添えてくれる。それは、助かってほしいと思う愛しい人に、自ら感じ取った感覚を伝えるのに大事な役割を果たすことになる。納得してもらうには、矢張り科学的根拠が必要なのだ。
そんな思いもあって、3.11大震災から1年が経過した今回は、これまで読んだ中で、私自身が「危ない!」と感じた本を紹介したい。1冊毎の内容についての紹介は省略するが、どれもお薦めの本である。私自身のシミュレーションとして読んだフィクションもあれば、史実を追った本もある。また、科学的な読み物もある。これらを読むことによって、危機感を醸成させ、自助行動への手助けとなれば、望外の喜びである。
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