いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『健康と宇宙』

 

2012年7月11日

私には、定期的にお世話になっている先生(医師)が二人いる。先月の四方山話にも登場してもらった眼科の目玉無垢像先生と、体調が崩れるとまずもって診察してもらっていて、「我が家の主治医」と勝手に決めているT先生である。このT先生には、家内と結婚して以来、30年以上もずっと変わらず主治医をお願いしている。必然的に、我が身は勿論、家内や子供達の体の事も良くご存じだ。仮病を装っていた次女の盲腸を触診だけで瞬時に見破ってくれた、大変頼りになる先生でもある。

目玉無垢像先生もそうだが、これだけ長いお付き合いになると、診察は1分足らず終わるのに、診察以外の話に盛り上がって10分以上も話し込む、という事もしばしばだ。T先生の所には生活習慣病の診察で2週間に一度、土曜日になるとは通っているのだが、週末になると四方山話のネタ探しに苦労していることもあって、健康の話を中心に、度々専門家ならではの貴重な話を聴かせてもらっている。

先週の土曜日も、雨の中、行ってきた。そして例に漏れずで、話は大いに弾み、健康の話から宇宙の話、そして生命誕生まで興味ある話をして頂いた。健康の話から壮大な宇宙の話まで一見関係なさそうな事柄が、実は長い生命の歴史を辿ってみると何処かで繋がっている、という話を聴かせてくれたのだ。

本来の診察は何時もの通りものの1分ほどで終わり、時々腸の調子が崩れる家内の様子を心配して、「奥さんの調子どうですか?」と質問された。「お陰様で、近頃は調子良さそうです」と答えると、「腸の調子が崩れるのは、交感神経と副交感神経、所謂自律神経のバランスが悪いからですよ」と教えてくれた。そして、このバランスを整えるには、呼吸法が大切なのだという。鼻から息をゆっくりと吸い込み、その数倍の時間を掛けて口から吐き出すのが良い呼吸法で、ヨガが呼吸法を重要視しているのと同じだとか。この呼吸法によって、自律神経もバランスが良くなり、その結果腸の調子も良くなるのだという。更に、「腸は体にとって重要な器官で、腸の調子が良くなると体全体も健康になる」とも教えてくれた。

ここから壮大な話に繋がっていくのだが、腎臓でも肝臓でもなく腸が“肝腎要”なのは、「腸が体の基本だから」らしい。口から肛門に至る消化器官が動物の基本で、原虫などの下等生物には最初にこれが出来、後から徐々に心臓や腎臓や肝臓などの臓器が創られていったのだそうだ。その流れで行くと、「腸は体の根幹を成すもだから、それを健康に保つことは体全体にとって大変重要だ」という事なのだろう。確かに、深海底で発見されているワームと呼ばれる下等生物は、臓器らしいものは何もなく、ただ一本の管に見える。それからすると、先生の説明には素直に納得である。

更に原虫など下等動物のもっともっと素を辿れば、我々の根源は、今回発見された17番目の素粒子、ヒッグス粒子のお蔭だと言える。「神の粒子」と呼ばれるこのヒッグス粒子のお蔭で、素粒子同士が結びついて原子が生まれ、原子同士の結びつきで分子となり、やがて生命が誕生した。物理学会で「世紀の大発見」と話題になっているビッグニュースを織り交ぜながら、そう先生は話を続けた。

それを受けて、「確かに、精子と卵子が結び付いて受精卵となり、細胞分裂を繰り返してやがて誕生してくるヒトの赤ちゃんの成長、そのお腹に宿ってから誕生までの映像を見ると、地球の歴史46億年の進化を垣間見るような劇的な変化を見せますよね」と話を振ってみた。

すると先生は、「イヤイヤ、宇宙の誕生という意味からすれば、ビッグバンからだから、137億年の歴史かな」と話を受けた後、「ところで受精卵と言えば、猫に関して面白いことが分かった」と言い、興味ある話をしてくれた。「猫が合体した後、メスがオスに牙をむく事があるのだが、その理由が分からなかった。ところが調べてみたら実に面白い事が分かった」と言うのだ。

オス猫のペニスには棘のようなものが付いていて、しかも抜く時抵抗になるような付き方をしているらしく、メス猫にとってそれがかなり痛いらしい。余りの痛さに牙をむくのだそうだ。ただ、この棘にも理由があって、「この痛みに刺激されて初めて排卵が行われるのだ」と説明してくれた。確かに、私も調べてみたのだが、猫には生理が無いらしく、この痛みが無いと排卵が行われない、と書いてある。どういう進化の過程を辿るとこのような事になるのか想像もできないが、全くもって不思議な仕組みである。何らかの必要性が在った事だけは間違い無いのだが……。

以上、猫の話で診察は終わった。身近な腸からまさか猫の排卵まで話が繋がるとは思ってもみなかったが、この“猫の秘話”には驚かされる。しかも、これら多岐に亘った話が、何の脈略も無い独立したものではなく、何らかの繋がりを持っているのだから凄い。

それにしても、健康の話は当たり前のこととしても、生活習慣病の診察で宇宙や生命誕生の話まで聞けるとは、普通の病院では考えられない。そういう意味では、紛れもない「我が家の主治医」であるとともに、誠に有難い「四方山話ネタ欠乏症」の名医でもある。

今回の四方山話を書き終えて気が付いたのだが、どうやら、冒頭の目玉無垢像先生ともどもお二人の先生には、持病以外の治療でもお世話を掛けているようだ。先生、これからもお世話を掛けますので、宜しくお願いします!

【文責:知取気亭主人】

  
ガクアジサイ(隅田川)
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.