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知取気亭主人の四方山話
 

『天高く…』

 

2012年10月3日

「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、多少の残暑――秋分の日(9月22日)を過ぎてもこう言えるのか自信はないが――を感じる日がたまにはあるものの、ここ金沢では彼岸を過ぎたあたりから大分過ごし易くなってきた。暫く前から駐車場の雑草はシットリと露に濡れるようになり、朝晩はすっかり秋の気配だ。それに加えて、虫たちの大合唱が、秋の訪れを一層感じさせてくれている。今となっては、あの猛暑も何となく懐かしい。嬉しいことに、これから暫くは過ごし易い爽やかな日が続く。読書の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋である。

マーケットの店先には、食欲をそそる、色とりどりの見るからに美味しそうな果物が並びだした。食べること大好き人間にとっては、堪らない季節の到来だ。ただ、嬉しいことではあるものの、少々危険な季節でもある。底知れぬ欲の赴くままに任せてしまうと、大抵食べ過ぎてしまう。私の場合も例に漏れずで、例年、「天高く 馬も私も肥ゆる秋」になってしまう。遂には“馬”から“牛”へ、そして最終的に“大トド”へと大変身を遂げることになる。

17号台風が本州を駆け抜けた30日の日曜日、雨間をぬって久し振りの散歩に出掛け、そんな秋の味覚を沢山見つけてきた。散歩コースに本格的な果樹園と呼べるものはないが、歩いていると、街路樹などに、結構色々な種類の木の実が実っているのに気付かされる。散歩ならではの特権だ。加えて、カメラ片手の散歩の楽しみでもある。中には、昔よく食べていた木の実もある。写真を撮りながら、今の子供達は食べられるかどうか知らないだろうな、とおやつ替わりに食べていた子供の頃の記憶が蘇ってきた。野山に遊んだことがある子供でないと、街路樹に実る木の実が、まさか食べられるとは思わないだろう。都会で育った大人もきっとそうだろう。

そこで、散歩中に撮った写真で遊んでみたい。以前撮り置いた写真も含め、好みの写真をいくつか紹介して、写っている“木の実の名前”と“食べられるかどうか”を答えて頂きたいのだ。突然訪れるかもしれない食料難の時代に、生きていけるかどうかを占う重要な課題でもある。さて何問できるだろうか。解答は最後に書き記しておくことにする。


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以上、10枚だ。ピンボケのものもあるが、そこは素人ということでご容赦願いたい。これ以外にもまだまだ写真はあるのだが、紙面の関係上、紹介するのはここまでとしたい。さて、貴方は幾つの木の実にありつけただろうか。

秋は旅行のシーズンでもあるのだが、こういった木の実を求めて野山を散策するのも、また楽しいものである。貴方のサバイバル力向上のためにも、秋の野山散策をお勧めしたい。加えて、野山の散策は適度な運動にもなる。「天高く 馬も私も肥ゆる秋」とならないためにも、お勧めである。

それでは最後に解答をどうぞ。

  
P-1:柿、 甘柿でも渋柿でも食用になる。甘柿の横綱は、次郎柿と富有柿だそうである。
P-2:椎の実、 生でも食べられる。私が子供の頃には、大切なおやつだった。旧石川県庁の正面にある巨大な椎ノ木にも実がなる。
P-3:椿の実、 食べたことはない。油は取れるが、多分食用には向かない。
P-4:栃の実、 食べられるが、生食には向かない。アク抜きして使う。このアク抜き作業が結構手間隙かかるらしい。
P-5:ヤマボウシの実、 食べられる。甘くて美味しい。今が旬。
P-6:無花果の実、 食べられる。店で売っているが、結構高い。
P-7:ハナミズキの実、 毒ではないらしいが、食べた人によれば不味いらしい。
P-8:栃の実、 P-4の外皮をむいたもの。一見栗のようだが、栃の実。
P-9:カヤの実、 生でも食べられる。ヤニ臭いが甘くて美味しい。私の好みの味。山形県や岐阜県などでは販売もされているらしい。
P-10:リンゴの実、 食べられる。店で売っているが、結構高い。種類も多い。
 

【文責:知取気亭主人】

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