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知取気亭主人の四方山話
 

『何だかなぁ〜』

 

2012年11月14日

永田町では、ヤレ解散だ、第三極だと、先生達の動きがいよいよ活発になってきた。国民不在の政争はもういい加減にして欲しいものだが、そんな喧騒の中、就任早々の田中真紀子文部科学大臣の突風が吹き荒れた。来春開学予定の3大学の新設認可を巡って、認可しない、するなどと、その方針が二転三転したからだ。野党や身内の民主党内からも、「手続きに則ってやっているのに、それは無いだろう。受験を予定していた受験生が可哀相だし、長い時間を掛けて準備をして来た大学関係者に対しても失礼だ」と言った批判の嵐が渦巻いている。その一方で、田中大臣が問題提起した、「大学の乱立や少子化で定員割れをきたしている大学が増えてきている」、「経営が厳しい大学が増えている」や「学生の質の低下がみられる」などは、賛同する意見も多いらしい。そしてもうひとつ、大学の設置に向けた審査体制についても疑問を投げかけ、審査体制の見直しにも言及していて、こちらに賛同する意見も報道されている。

私も、これら田中大臣の意見には賛成できる。確かに、現行の手続きに則り、長い時間を掛け、やっと認可までこぎ着けたのかもしれないが、認可が下りる前に、既に校舎やキャンパスは完成し、教授陣も決まり、果ては来春の募集も決まっているとは、何か手順が可笑しくないだろうか。多分、現行の手続きでは、それらが決まっていないと、認可されない様になっているのだろう。

認可を受ける大学にとっては、国の定めた手続きに則ってやっているのだから、なんともしようがないのは良く分かる。しかし、円の前にゼロが九つも十個も付くような大事業にしては、最後の判断が 随分形式的に思えてならない。田中大臣に認可をもらいに行った時の様子を一般的な民間ビジネスの世界に例えると、こんな感じではなかったのだろうか。想像で申し訳ないが再現してみよう。

 

「新規事業計画は、この通り、プロジェクトチームで作成しました」

「既に立派な工場は完成しましたし、新たな社員の採用も済みました」

「課長、部長まではオーケー貰いましたので、田中担当役員にサインしていただくだけです。
  承認してください」

 

如何だろう、あなたが担当役員だったとして、すんなり承認できるだろうか。まず、100パーセント承認しないだろう。社長たる総理大臣の認可まで必要だとは言わないまでも、担当役員の任に当たる担当大臣の認可が下りてから大きな出費を伴う箱物を造ったりするのが、世間一般の手順だと思う。サインをするだけの担当役員だったら必要はない。それではまるでお飾りだ。そういう意味では、ニュースを聞いていた娘も同じ意見だった様に、我々庶民感覚からしても、現行の手続きには大きな問題があると言える。

 

また、乱立や少子化の影響で定員割れをきたしていたり、経営の苦しい大学があることも、真剣に考えなければいけない問題だ。文部科学省のデータによれば、今から20年前(1992年)に523校だった大学の数は、短大から大学に移行した数も含め、今年(2012年)には凡そ5割増の783校にもなっている。ところがその一方で、主に新入学の対象となる18歳人口は、1992年の205万人をピークに、2012年には119万人と4割以上も減少している。これでは、進学率が劇的に増えない限り、学校経営が苦しいのは当然の事だ。その進学率は、増えてはいるものの、減少分を補うだけの増え方はしていない(文部科学省データによれば、18歳人口の進学率で、約40%から平成22年次には56.6%に増加)。

一方、文部科学省が発表している「平成23年度文部科学白書」によれば、平成23年度に入学定員を満たしている私立大学は349校(61.0%)、私立短期大学は113校(33.4%)しかない。「定員を満たしている」という表現が曲者だが、分かり易いように逆の表現をすれば、約4割の大学が定員割れになっているという事だ。私立の短期大学に至っては、7割近くが定員割れを起こしている事になる。

中には、入学者が定員の半分にも満たない私立大学が16校(2.8%)もあり、私立短期大学でも16校(4.7%)を数える。これらの学校の新学年を民間企業の1事業部に例えれば、スタートの時点で一年後の業績が計画の半分にも届かないのが分かってしまったのと一緒の事だ。しかも、例え決算で赤字になる事が事前に分かっていても、事業は一年間続けなければいけない。これは、実にしんどいことだ。こういった状況が続けば、早晩経営が成り立たなくなるのは、想像に難くない。同じく「平成23年度文部科学白書」によれば、帰属収入で消費支出を賄えない学校法人(大学、短期大学を持つ学校法人)が、約4割もあるというから驚きだ。

田中大臣がこれらの数字を知ってか知らぬかは定かでないが、こういった状況を考えると、彼女の不認可とした当初の判断も多少理解できるというものだ。ただ、何だかなぁ〜、この先のことを考えると、認可した方が良かったのか、それともしなかった方が良かったのか良く分からない、というのが正直なところである。

【文責:知取気亭主人】

  
コバノガマズミ
 

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