2012年12月12日
もうすぐクリスマスだ。小さな子供達にとって、年に一度の、飛び切り待ち遠しい日がやって来る。その一方で、昔に比べて大分軽くなってしまった懐具合を考えると、サンタさんにお願いした物によっては、親が複雑な心境にもなる日でもある。それでも、プレゼントを手にした時の子供の笑顔は、親の苦労を吹き飛ばすに十分な魔力を持っている。そして、この時ばかりは、サンタさんの株が親以上に上がることになる。そんな子供達に大人気のサンタさん、一人だけかと思っていたら、驚くなかれ何と“公認制度”があるという。情報源は、以前紹介したNHKラジオの番組「すっぴん」だ。
グリーンランドに住んでいる長老のサンタさんは、一人で世界中を駆け巡らなければならないため、「グリーンランド国際サンタクロース協会」という組織が、サンタに相応しい人を公認して、長老サンタの補助をしてもらっているのだという。インターネットの情報によれば、現在世界に120人位いるそうだ。日本にも一人だけ公認サンタさんがいるという。その日本にいる公認サンタさんが、「すっぴん」にゲスト出演していたのだ。どうやら音楽関係の人らしい。名前(芸名)を言っていたが、子供の夢を壊さないよう、ここでは伏せておこう。仮に、「日本のサンタさん」と呼ぶことにする。
「グリーンランド国際サンタクロース協会」は、デンマークの首都コペンハーゲンにあって、ここで公認試験が行われている。「日本のサンタさん」は、1998年にその試験を受け、7人の受験者の中から唯一人合格したという。正に選ばれし者なのだ。しかも、誰もが受験出来るわけではなく、厳格な(?)受験資格まであるという。
まず、子供がいる事。そして、サンタのイメージを壊さないように、ふくよかである事も必要だという。つまり太っている必要があるのだ。運転中にラジオから流れて来た情報だったため記憶は定かでないが、確か体重が130kg(もしかしたら120kg)以上ないとダメ、と言っていたような気がする。いずれにしても、痩せはダメ、かなり太っていないとダメ、ということだ。
そして、試験もユニークらしい。サンタの格好をして煙突に上り、煙突の中を通って部屋に行き、プレゼントを置いたら、サンタさん用に焼かれた沢山のクッキーを平らげ、
ミルクを飲み干し、そして入って来たのと逆コースで帰る、という競技もあるのだそうだ。これが結構しんどくて、特にクッキーと
ミルクがきつかったという。
また、公認サンタになってからも大変らしい。毎年、日本の夏真っ盛りの7月に、協会の本部で「世界サンタクロース会議」が開かれていて、公認サンタも出席しなければいけないのだが、その時の格好(服装)が指定されているのだ。勿論、あなたの想像した通り“サンタの格好”をするのだが、どこでその格好になるかが問題で、何と自宅を出る時からサンタの格好をしていなければいけないのだという。街を歩く時も、空港までの移動手段の中でも、飛行機の中も勿論、兎に角会議の会場までずっとあの格好だというから徹底している。
ところが、日本の7月は蒸し暑い。そんな中で、いかにも暖かそうなサンタの着ぐるみを着ているのは、兎にも角にもしんどいらしい。途中で脱ぎたくなるのだが、夢を壊さないようにと最後まで着続けるのだという。その上、日本からコペンハーゲンまでの旅費は自己負担だというから驚いてしまう。流石サンタさん、太っ腹だ!
ところで、その「世界サンタクロース会議」で、「日本のクリスマスは変だ」と指摘されることがあるらしい。どういう事かと言うと、日本では「靴下を置いてお願い事をするだけでサンタさんがプレゼントを持ってきてくれる」と信じているようだが、それは可笑しいというのだ。ギブアンドテイクではないが、ちゃんとお礼をするのが本家本元のクリスマスだという。
クリスマスは、日本人が思っているほど宗教的な色合いは濃くなく、それよりも躾としての色合いが濃いのだという。ヨーロッパでは、12月1日になると、サンタさんがプレゼントを持ってきてくれる時に通る(家の中の)コースや部屋を、子供達が綺麗に掃除し始めるのだそうだ。汚いところにはサンタさんは来てくれない、と躾けられているからだという。そして、サンタさん大好物のクッキー(特に生姜入りが好物らしい)を親子で焼き、暖かい
ミルクと一緒にサンタさんへのお礼にするのだという。ここで、お手伝いを学ばせるのだ。また、サンタさんへの手紙を添え、感謝することを覚えさせるのも必要な事だという。昨年のプレゼントへのお礼や、今年お利口にしていたことなどを書かせるのだという。
躾の極めつけとして、ドイツには黒いサンタクロースがいて、空の袋を持ち歩き、お利口にしていない子供をさらっていく、という恐ろしい話もあるらしい。“秋田のなまはげ”に良く似た話だが、そんな怖いサンタがいることもあって、ドイツでは12月に入ると目の色を変えて良い子になるのだという。確かに、躾には効き目がありそうだ。
さてさて、小さい子供をお持ちのお父さん、お母さん、サンタさんがいることを信じている今の内ですぞ、躾を身に付けさせるのは。
【文責:知取気亭主人】
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サンタさん、こんな靴下でも大丈夫?
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