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2013年1月23日
ある会合で手土産を貰った。色々な会合に出ているが、手土産を貰うなど滅多にない。品物そのものもそうだが、用意してくれる側の気遣いがなんとも嬉しいものだ。一本締めで“お開き”の儀式が終わった後、事務局から、用意してくれた手土産の説明があった。「結構人気のお菓子なので並んで買った」という苦労話を面白可笑しく紹介した後、「いつも家庭を守ってくれている奥さんへのお土産に用意しました」と細やかな配慮も忘れない。最近お土産など買って帰ったことが無い輩としては、大きな顔をして帰宅できる、大変ありがたい気配りである。
お土産は二つあって、ひとつは今大阪で大人気となっているらしいスナック菓子の“ハッピー・ターン”、今一つはこれも人気店の“シュウマイ”だという。説明を聞きながら、どちらも酒の肴には不向きだな、と下種な事を考えていた。どうも呑兵衛は卑しくていけない。ただ、他力本願ではあるものの、「良いお土産が出来た」という、一種の責任を果たした時に感じる安堵感がそうさせたのか、懇親会の酒の回りも良く、結構心地良い気分になっていた。そんな気分で聞いていたのが悪かったのか、「遠方の人は悪くなるといけないので保冷バッグに入れてあります」との細やかな配慮に感心するばかりで、商品名に関してはどこか上の空だった。
家に着き、土産を渡しながら、ひとつが“ハッピー・ターン”で、もう一つの保冷バッグに入っている方が“シュウマイ”だ、と聞いた通りの説明をした。午前0時を回っていたこともあり、土産に手を付けるのは次の日にして、台所に置いておくことにした。その時“シュウマイ”と聞いた家内は、ニンマリとして、「買ってある餃子と中華三昧の日を創ろう」と密かに思っていたらしい。ただ、“シュウマイ”にしては妙に箱が厚いな、とも思っていたらしい。しかし、そこで私に疑問を呈しなかったのは、「きっと沢山入っている」との甘い期待もあったのだろう。そして、いよいよ次の日になった。
朝顔を合わすなり、「甘いシュウマイありがとう」と妙な事を言う。一瞬何の事だか分からず、「シュウマイ?」と聞き返すと、「そうシュウマイ」とオウム返しで“シュウマイ”が飛んできた。「アッ、昨夜の土産?
それだったら、シュウマイではなくてシュークリームだろう?」と言うと、「イヤッ、昨夜は確かに“シュークリーム”ではなく、“シュウマイ”と言っていた」と言い張る。私はそんなこと言った覚えは微塵もないのだが、次女が加わっての多勢に無勢、加えてこれまでの数知れぬ失敗もあって、言われるとどうも自信が持てなくていけない。その辺を見透かしたのか、どうやら、変に分厚い“シュウマイ”の箱を訝しく思った家内が、私が起きてくる前に、次女と二人で真相究明をしていたらしい。
次女も“シュウマイ”にしては箱が厚いな、と思っていたらしく、「どうせお父さんのことだから言い間違えたのよ。多分“シュークリーム”じゃない」と家内に言っていたという。「どうせ…」も大きく影響を与えたのだろうが、そう言われた家内は、「それならこの厚さで分かるわ!」といたく納得したらしく、早速犯人のいぬ間にご検分と相成ったらしい。そこで、“シュウマイ”とは似ても似つかぬ、美味しそうな、そして好物の“シュークリーム”にご対面となった訳である。
甘いものを滅多に口にしない私は、お菓子の名前も良く知らないし、「どこそこの○○が美味しい」というような通の情報にも疎い。甘党にとっての常識が、私には全くと言って良い程通用しないのだ。要するに、興味がないのだ。それ位、甘いものに関する情報は乏しく、脳の中の記憶に留めようとする働きが極めて鈍いのだ。したがって、自己弁護をさせてもらえるなら、「言い間違え位あるさ」となるのだが……。
つらつら考えてみるに、言い間違えたのは、どこかの時点で「お土産は“シュウマイ”だ」と思い込んでしまった可能性が高い。酒を飲みながら良い気分で聞いていたため、「シュー…」と聞いただけで、酒の肴になる“シューマイ”がインプットされてしまったのかも知れないのだ。いずれにせよ、映像としては“甘いシュークリーム”の姿がぼんやりと記憶されているのに、言葉としては“シューマイ”がハッキリと記憶されていて、それが口から出てしまったのだろう。この摩訶不思議な失態は、呑兵衛の成せる技なのか、はたまた飲み過ぎによる脳障害の一種なのか、今もって解き明かすことができないでいる。家族からは笑いが取れたものの、本人としては、“言行”ならぬ“思考と口”の不一致、つまり両者をコントロールできていないということであり、おくびにも出せないでいる。正直、この先どうなることやら、と不安でもあるのだ。
真面目な話、興味があるものとないものでは、多分の脳の活動が違うのだと思う。それがあるからこそ、「好きこそものの上手なれ」などという諺が言われ、好きなものに対しては脳が活発に動くのだろう。ただ、興味のないものに脳が活性化しないのは納得いくのだが、“思考と口がバラバラ”となるとネェ〜!
【文責:知取気亭主人】
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私の甘い物中枢は、北陸の空と同じように暗い雲に覆われている?
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